★★★★★★★☆☆☆
1987年 103min.
ネタバレ え、知ってますよね?
敬称略
監督 ポール・ヴァーホーヴェン
製作総指揮 ジョン・デイヴィソン
製作 アーン・L・シュミット
脚本 エドワード・ニューマイヤー、マイケル・マイナー
音楽 ベイジル・ポウルドゥリス
アレックス・マーフィ:ピーター・ウェラー
アン・ルイス:ナンシー・アレン
オールドマン会長:ダン・オハーリー
リチャード・“ディック”・ジョーンズ:ロニー・コックス
ボブ・モートン:ミゲル・フェラー
ドナルド・ジョンソン:フェルトン・ペリー
クラレンス:カートウッド・スミス
レオン:レイ・ワイズ
エミール:ポール・マクレーン
ウォーレン:ロバート・ドクィ
これは、いやあ攻めたなあ、という映画でありましたね。内容もさることながら、ピーター・ウェラーよ、お前それでええんか、とか思ったりもしましたし、サイボーグというヒーローもんなわけですけれども、仮面ライダーとかの石森章太郎作品とはまた違いますしね。アイディア的には、なんかありそうなんだけどなかったよねー的ななるほど感でしたし、ちょいちょいザンネンなところはあるにはありましたけど、グロ映像もアリでなかなかにおもしろい映画だったよなあ、と思いながら観始めました。
ザンネンと言えば音楽で、主題がすごくカッコよくって有名なものですからね、なかなか聴きごたえあるんじゃないかなんて思ってたんですけど、いざ映画館で観てエンディングタイトルで流れたこの曲を聴いたら、カッコよかったのは最初のその主題のところだけで、あとがほとんど退屈な凡曲になってしまっていたのでとてもガックシしたのは覚えてます。
↑このオライオン・ピクチャーズのロゴはほんと懐かしいですね。
↑主役のピーター・ウェラー。
まさかこの人が、と。けっこうな男前ですしね、わたしほかの作品も好きなの多いんですよ。演技派ですしね。なんかもったいないな、という気はしました。初期の作品ですからね、まあ下積みってわけじゃないでしょうけれど、これがあって今がある、ってんならそれはそれでいいですけどね。
↑ヒロイン(?)のナンシー・アレン。
この人はメジャーにはなり切れませんでしたかね。日本ではなじみが薄いと思いますけど、わたしはこの人は好きな役者さんでしたよ。でした、ってまだ引退されてないですけどね。でも出演作が日本でほとんど観られないってのはやっぱりメジャーになり切れんかったんやなと思うわけです。有名になったのが「キャリー」のいじめっ子の役だったからなのかなあなんてうがった見方までしてしまいますが。「フィラデルフィア・エクスペリメント」ではいい演技してましたけどね。ブライアン・デ・パルマの奥さんだったこともある方ですね。
話は、オープニングのニュース映像でオンタイムでアメリカがどういう状況になっているのかを軽妙に説明していきます。今のアメリカは荒廃していてタイヘンなことになっていて、それを治めなきゃいけない警察もけっこうヤバいことになっていてその経営を民間に任せている、なんてすっかり世紀末的な世界の様相ですよ。実際、西暦何年との提示はなかったですから、「北斗の拳」の世界のようでもありましたね。入りとしてはわたしはとてもいいと思いましたよ。
で、その警察に代わる未来型の治安維持を考えたのが、
↑こちらのロニー・コックス、と。で、
↑出てきたのがこのロボットだ、ということですね。
こちらのロボット、「ED-209」だそうです。決して「勃起障害」のことではないですよ。
まあ、それはいいとして、こいつが出てきてすっかり観ているこっちはイヤな予感しかしないわけですよ。こんなんで治安維持なんて、てなるじゃないですか。そしたらやっぱりそのデモンストレーションで暴走しまして、
↑こやつが無残にも
↑ハチの巣になりました。
で、そうなりますと、ここぞとばかりに
↑ミゲル・フェラー(右)がロボコップを売り込む、
という流れなわけです。
そうなりますとそらまあロニー・コックスとしてはおもんないわけで、わずか15分でこの流れなら、そら観ていてのめりこむわさ、ということになるわけです。ロニー・コックスとミゲル・フェラーのこのあとも気になりますしね。
↑くやしそうですねえ。
ちなみに、ハチの巣になった彼にはだれもなんの感情も抱いてないようですね。まあ未来の世界はこんな感じ、ということなのでしょう。
ただロニー・コックスは「ビバリーヒルズ・コップ」がありますからイヤなヤツってイメージないですからね、そこだけはちょっと違和感ですかね。でもそれは映画の内容とはカンケーないですから、まあいいです。
ちなみにミゲル・フェラーはもう7年も前に亡くなられとります。喉頭がんだったそうですけどまだ61歳ですよ。ザンネンでなりません。たしかドラマ「ER」に出演したときは肺がんの患者役だったと思いますが、なんのインネンかと思ってしまいました。
↑その後、銀行強盗を追ってアジトに潜入します。
ナンシー・アレンが相棒ですから、ナンシー・アレンも一緒に潜入しとりますね。で、わたしこれ最初に観たとき、こりゃ、ということは、ピーター・ウェラーかナンシー・アレンのどっちかがロボコップになるんやな、と思っていましたよ。
いえね、当時はわたし、新しい映画の予告編てゼッタイに観ないようにしてたんですよ。だって予告編て、その映画のいいとこばかり見せちゃうじゃないですか。わたし一回「ランボー2」の予告編観てものすごく頭にきましてね。だってあれ、スタローンの人狩りのすごいシーン全部やっちゃいましたからね。予告編観て、こりゃすごい映画やと思ってワクワクして映画館に行ったのに、けっきょく予告編以外のシーンはなんもなく、映画館の椅子蹴飛ばして帰ってきたなんてことになりましたよ。日本の配給会社に電話してやりましたけど、そんなもんなんの解決にもなりゃしなくって、だから自己防衛としてゼッタイに観ないようにしてたんですよ。ということで本作も、ロボットの刑事が出てくるということしか知らなかったので、だから、ピーター・ウェラーかナンシー・アレンのどっちかがロボコップになるんやな、と思ったわけですね。
予告編観ないと、監督とか主要な出演者はナレーションで言っちゃいますからダメですけど、そうじゃないスタッフやキャストはサプライズになるので、なんとか映画を楽しめる、ということにはなります。
なのでわたし、本作ではどっちかがロボコップになるんならピーター・ウェラーはならないでほしいなあ、なんて思って観てたのを思い出しました。
銀行強盗の親玉は
↑こちらのカートウッド・スミス。
わたし本作で初見だったですけど、なんかフツーのおじさんぼくってそんな悪党には見えなかったものですから、けっこうな違和感ではありましたけど、そんなこと思ってたらいきなり
↑ピーター・ウェラーの手を吹っ飛ばしましてね、そらド肝抜かれましたね。
↑で、我らがピーター・ウェラーはこうなってしまいました。
まあ、ということはやっぱりピーター・ウェラーがロボコップやったわ、ということですね。
ここのシーンは、まさかこんなグロい映画とは思ってませんでしたから、けっこうなショックだったのを覚えてますよ。
ていうか、それにしてもピーター・ウェラー、よう生きとったな、とは思いました。のちにミゲル・フェラーが「法的には死体だ」とか言ってましたからね、生きていたのでしょう。そもそもこれ、やつらのアジトからナンシー・アレン、どうやってピーター・ウェラーを運び出したんですかね。アジトではなかったのでしょうか。そこらへんの詳細は語られてませんでした。ハッキリさせろよ~、と思いながら観てたものです。死んじゃったからほったらかしにしたとでもいうのでしょうかね。でもそれはそれで、あとあとあの死体はどこへいったんや、てならないのでしょうか。まあいいですけど。あ、いや、よくないか。
↑メガネ、大きすぎんか、とは思いました。
こういう目線映像は、これロボコップになったのであろうピーター・ウェラーの目線、ということなのですけれども、これはこれでとても斬新でした。ここからしばらくずっと目線映像ですから、なんかわたしもピーター・ウェラーと感情がリンクしてしまって不思議な感じになりましたよ。
で、こんな感じでしばらくまだロボコップの全貌は出てきません。普通だったらこんなんされると、もったいぶってんじゃねーよ、と言いたくなるところですけど、いや実はこれ展開がとってもスピーディなので、まったく苦にはなりませんでした。
で、
↑すりガラス越しに見せて、
↑後ろ姿からの~、
↑正面、となりました。
これも、いよいよじゃじゃ~ん、てんじゃなくってサラっと見せてるあたりがなんかこにくったらしい演出でいいですよね。観る方の好奇心はすっかり煽られてるわけです。
↑ミゲル・フェラーがさきほどのメガネっ子にちゅーしとりますね。
いえこのシーン、ロボコップが予想以上にいい出来だったということでテンション上がりまくったミゲル・フェラーが、助手のメガネっ子にいきなりちゅーした、というシーンなんですね。こういうシチュエーションのシーン、わたしよく観ますけれども、それはちょっとうらやましいです。まあされた方もまんざらではない、という事実は必要ですけど、上司のテンションが上がって部下もうれしい、みたいな距離感なのでしょうね、きっと。いまだとセクハラだろうなんて言われちゃうんでしょうけど、まあそれも誰にされたかによって変わりますから、本作でのこのシーンは今でもオッケーなのでしょうね。やっぱうらやましいです。
↑で、いよいよロボコップ、街に繰り出しますよ。
スーパーマン的なワクワク感、ですかね。しかもこれすぐに
↑こういう悪いヤツが出てきますからね、
観ているこちらも、よっしゃあ、てなるわけですね。
なんかいいですよね。単なるロボット、てわけではなくって、ちょっとなんか人の心も残っててそれなりの心の葛藤があるのかもとか思わせてくれますからね、そこらへんでひきつけられてしまうわけですよ。
さらにナンシー・アレンもいい味出してくれます。
たまたま署でロボコップとすれ違いましてね、ちょっとした所作でじつは相棒だったマーフィなのではないかなんて思ってまして、だから名前を確認しようとするわけですよ。そら複雑なしがらみは知りませんからね、マーフィでしょ、ってなるじゃないですか。よく生きてたわね、って。
↑笑顔のナンシーですよ。なんならもう夏色のナンシー。
そら笑顔にもなりますよね。記憶がなくなってるなんて知らないわけですからね。
そしたらそれがアカンかったらしいですわ。突然
↑ミゲル・フェラー、キレます。
ちょっとね、ロボコップが署に帰ってきて安置している時に誤作動起こしたわけですよ。そしたらそれはナンシー・アレンが気軽に声かけていろいろ説明したからだとかなんとかでいきなり怒りだすという。
それ、お前らなんも説明してへんやんけ、とはなりますよね。なんか観ててめっちゃムカつきますよ。今の職場とおんなじやないか、とわたしは余計に激怒です。そしたらそのあとに署長が
↑“These guys are serious ass hole.” て。
笑いました。そういうちょっとしたコメディ味もスパイス効いてるんですよ、本作。いい映画なんですね。
さて、さらにロボコップ、街に繰り出しますとGSにいたポール・マクレーンと遭遇しますね。
↑こちらの方ですね。
まだ人間だったピーター・ウェラーを殺した銀行強盗団の一人です。で、それがこのロボコップ見て、一見で
↑気づきました。“I know you.” て。
いやここはわたし、なんでやねん、ではありました。気づくかよ、て。気づくんですかね。わかんないですけど、フツーに考えたら、気づかない、とわたしは思いますけどね。ちょっとムリがあるかなあ、という感じではありました。まあ、突っ込みどころやろ、と言われれば、それはそれで許容範囲ですけどね。
↑いやそしたら、こいつらツルんでましたよ。
これ、ミゲル・フェラーの家なんですけどね、おお、そうくんのかあ、てわたし言いました。だってカートウッド・スミス、ミゲル・フェラーを殺しに来たわけですよ。その親玉がロニー・コックスだったわけですからね。わたしまったく予期してませんでしたね。まあそもそも映画観ながらあんまり先読みとかはしないんですけどね、わたし。
↑で、ミゲルのおうち、爆破されました。
なんの慈悲もないです。徹底してますからね、逆に心地いいです。初見で普通のおじさんだったカートウッド・スミスはもうすっかり、「めっちゃ悪いヤツ」、になりました。
ところで。
↑麻薬工場撲滅キャンペーンでの銃撃戦ですが。
なんかすごい煙ですけど、これひょっとしてみんなコカインじゃないんでしょうかね。それはそれでみんな大丈夫やったんか、と不安にはなりました。致死量ではないのですかね。
まあ、そんなこんなで銃撃戦になろうがロボコップはいっさいお構いなしで、
↑カートウッド・スミスもこうなりました。
↑無敵なわけです。
わたし、アラレちゃん思い出しましたよ。
でもロボコップにだってできないことははあるわけですよ。
↑ロニー・コックスはオムニ社の重役なわけですが、
ロボコップはオムニ社の製品ですので、オムニ社の重役には逆らえないわけですよ。だからこうして痛めつけられても反撃できないわけです。よくできた脚本じゃないですか。なるほどですよ。
ただザンネンなのは、
↑ちょっと特撮が……、てとこでした。
まあね、CGのない時代ですしね、しかたないっちゃないんですけど、いずれにしてもの低予算、てことでしょうね。この勃起障害209ロボットの動きはコマ送りですからね。やっぱり観劣りはしてしまうわけです。
内容はね、いいんですよ。ほんといいんです。ロボコップは常に葛藤と闘ってるようですし、ロボコップだけじゃなくって周りの人間の警官たちもさまざま葛藤を抱えているって感じがいいじゃないですか。
↑ここのシーンは観ていて胸が痛みました。
↑自分で自分を修理しようと頭のボルト抜いてます。
「ターミネーター」とかぶりましたけど、まあどちらもオライオン・ピクチャーズですからいいのでしょう。きっと。だからというわけでもないでしょうけど、
↑こういう衝撃シーンも出てきますね。マーフィコップです。
ただこれ見ると、お、ひょっとして人間の心を取り戻せるんじゃないか、って期待感は出てきますね。
↑マーフィコップ、銃を撃つんですけどね。
こうして銃を撃つ瞬間にどうしても目をつぶってしまいますけど、ロボコップが目をつぶってしまってはアカンのじゃないかという気はしました。人間らしさが残っていて、というのとはちょっと違いますしね。
ラストは大団円で、全面対決ということなのですけれども、にしては少人数の闘いになってしまいましたよ。もうちょっと悪人のほうが人数いても良かったのではないかとは思いましたけどね。ロボコップ+ナンシー・アレン vs 悪党4人。しかも悪党、開戦早々に一人殺られましたからね。まあいいですけど。そこまでもちゃんと映画としておもしろかったわけですし、許容範囲ではあります。
なんて言ってたら、それを補うかのように最後はド派手になりました。
↑ポール・マクレーン、ここはホラーでした。
有毒廃液に突っ込んでただれるの図、なんですけど、このあとカートウッド・スミスが運転する車に轢かれて
↑こうなられました。木っ端みじんです。
このポール・マクレーン、本作の10年後にドラマ「ER」にロケット・ロマノって名前の外科医で7シーズンにわたって出演されとりましたけど、まさかこの演技が認められたということではないでしょう。ロマノの最後も悲惨ではありましたけど。
まあ最後はみなさんボロボロで、
↑カートウッド・スミスは首から血が噴き出し、
↑夏色のナンシーは泥水につかり、
↑ロボコップの最後のセリフはイキでありました。
で、めでたしめでたし、といきたいところだったんですけれども、最後の最後でトンデモなシーンが用意されとりました。
さきほど、重役に手出しできないならああすればいいのに、なんて言ったそのとおりのことが起こってロニー・コックスがロボコップにビルの上から落とされるんですけれども、そのシーンがこちら。↓
↑いやこれはアカンでしょう、と。
いくら低予算でも、これは観せたらいかんのですよ。はっきり言ってこれはヒドイです。
いっそ人形にしてしまった方がよかったのかもとすら思いましたね。本作の翌年に「ダイ・ハード」が公開されまして、同じようなシチュエーションでラストにアラン・リックマンがビルから落ちましたけど、あれは見事でしたからね。予算てのは恐ろしいものだと痛感させられた次第です。
特撮がザンネンすぎたのと、最後のタイトル曲が思っていた通りつまらない曲だったので★-2、加えてさまざまななんでやねん案件でさらに★-1として、★7つで落ち着きました。「もうひといき」であります。
今日の一言
「あ、ロボコップも街に出るときは普通のパトカーなのね」
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