1984年 105min.

 

言わずと知れた、エディ・マーフィーの出世作、ですね。

 

なんてフツーに言ってますけど、わたしこれよく考えたら、我々の世代なら「言わずと知れ」てても、今の若い子たちは、全然知らない映画なのかもですねー。

1984年ですから、なんとまあ40年近くも前の映画ですよ。ちょっと驚愕です。

 

さて、まあそれは置いといて、この「ビバリーヒルズ・コップ」。とにかく面白い。面白いことこの上ない。これぞエンターテインメント!てやつです。

 

主演のエディ・マーフィーは、もともとコメディアンで、テレビのコメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」で大人気だったそうですが、その人気にあやかって初出演した「48時間」で、主演のニック・ノルティや悪役専門で名を馳せていたジェイムズ・レマーなんかをことごとく食ってしまう存在感で、華々しく映画デビューを飾った人です。

その翌年、ジョン・ランディス監督と組んだ「大逆転」でそのコメディアンぶりをいかんなく発揮して人気を不動のものとして、さらにその翌年の1984年に、満を辞してこの「ビバリーヒルズ・コップ」に主演した、とまあ。

そらエディ・マーフィー楽しいやろ、的な雰囲気がありありとわかって、観ているこっちもずーっと笑顔でした。

 

そもそも、演出が良いです。

監督のマーティン・ブレストは、この映画以外にはデ・ニーロの「ミッドナイト・ラン」、アル・パチーノがアカデミー主演男優賞を獲った「セント・オブ・ウーマン」、ブラッド・ピットの「ジョー・ブラックをよろしく」くらいしかないのですけれども、実はわたしはそのどれも好きではありません。極め付きは、2003年の「ジーリ」なんて映画で、その年の最もヒドかった映画に贈られるという「ゴールデンラズベリー賞」を受賞してるという。

だからどうしてこの「ビバリーヒルズ・コップ」だけがこんなに面白いのか、まったくもって理解不能なのではありますが、まあそれはそれとして、最後まで観客を飽きさせないその演出力は、お見事だと思いますよ。

 

 

冒頭数分でこんなシーンですからね。大型トラックとパトカー数十台によるカーチェイス。トラックが目の前の車や建物を、根こそぎぶっ壊していきます。😆

 

 

アクション映画ではないにもかかわらず、ちゃんとこういうシーンを持ってくるなんてのは、なかなかできないワザでありますね。

 

コメディセンスにも長けてて、エディ・マーフィーともそうとうウマが合ったんでしょうね。ムダなところがなにひとつありません。

 

二作目の監督だった故トニー・スコットは、どちらかというとアクションに重点を置いてて、それはそれでまた違った趣の「ビバリーヒルズ・コップ」になってましたが、この一作目のワールドで堪能したわれわれはやっぱり物足らず、ならばと持ってきた三作目のジョン・ランディスで、史上稀に見る大コケをカマしてしまったことを考えると、やはりさすがの一作目、という感じで、40年近く経った今でも、まったく時間を感じさせずに最後までアッと観というのも、当たり前っちゃ当たり前ですかね。

 

 

そら、してやったりでしょうよ。🤣🤣🤣

 

さらにさらに、素晴らしいのはコメディだけじゃありません。音楽の使い方も群を抜いてる感が満載です。

一世を風靡した、ハロルド・ファルターメイヤーのシンセサイザーによる「アクセル・フォリーのテーマ」(アクセル・フォリーはこの映画でのエディ・マーフィーの役名です。念のため☺️)を効果的に使いながら、ロックミュージックをそこかしこに散りばめて、オリジナルのテーマ曲と融合させる。これがほぼ全編流れてて、またそれがこの上なく軽快ですから、自然と気持ちも入り込んでいきます。音楽が映画に命を吹き込む、いい見本と言えるでしょうね。

今ではすっかり廃れましたが、これら80年代中盤の映画たちは、作中にアメリカの有名バンドの楽曲を流す、流れた曲は必ずと言っていいほど全米ヒットチャートの上位に食い込む、という構図がデフォルトでしたよね。映画のサウンドトラックも、映画音楽なのかヒット曲全集なのかわからない、なんて状態でしたけど、それはそれで醍醐味でもありました。この「ビバリーヒルズ・コップ」でも、オープニングで流れるのが故グレン・フライの「ヒート・イズ・オン」。この曲聴くと「ビバリーヒルズ・コップ」を思い出す、「ビバリーヒルズ・コップ」を思い出すと「ヒート・イズ・オン」が頭に流れる、なんて相乗効果でもありますね。

エンディングの、パティ・ラベルの曲もこの映画のために作られたと言っても過言ではなく、エンドロールが終わるまで聴き入ってしまいました。

ハロルド・ファルターメイヤーはこのあと「トップガン」で一流の仲間入りをしましたが、まあ当然ということです。

 

しかしまあほんとに、この時代の映画は素晴らしい。

どこからこうもたくさんアイディアがうまれてくるのかと感服してしまいますが、逆に今はアイディアも出切った感が大勢を占めてて、シリーズものか原作本に頼るのが当たり前になってしまっているのは、80年代中盤に映画にハマった身としては、ザンネンでならないところです。

考えたらこの映画、製作がドン・シンプソンとジェリー・ブラッカイマーのコンビですから、そら面白いはずですわ。ドン・シンプソンの方はドラッグ乱用で52歳という若さで1996年に亡くなっちゃいましたけど、ジェリー・ブラッカイマーは今でも精力的に映画製作に携わってます。「トップガン」とか「パイレーツ・オブ・カリビアン」とか、テレビの「CSI」シリーズもこの人ですし、そらもうたくさんです。😅

 

もう二度と、こうした観たこともないエンターテイメントで、次どうなるんだろう、何が出てきて驚かせてくれるんだろう、という思いを味わうことはできないのでしょうか...

 

だって舞台がビバリーヒルズなんですよ!だれがこんなとこで映画撮ろうと思いますか。

 

 

留学時代にわたしもこのホテル行きましたけど、ほんとにスゴイ街でした。故ポール・ニューマンの家の玄関前で写真撮りましたけど、門と塀の向こうには生い茂った木々しかなく、家など見えやしませんでした。

ビバリーヒルズ・ホテルのコーヒーなんか、一杯17ドル80セントでしたよ。🤣

 

 

またこのオトボケ凸凹コンビがいいのです。

 

左のジャッジ・ラインホールド、わたしの初見は「グレムリン」でのイヤなヤツで。その同じ年にこの「ビバリーヒルズ・コップ」に出てますから、真逆の役どころと考えると、なかなかな芸達者と言えるかもしれません。二作目になると、この一作目で垣間見せていたオタクぶりに拍車がかかりますので、それは乞うご期待、といったところでしょう。

 

 

ヲタ全開の場面です。ちなみにこのシーン、大銃撃戦中です。😅

 

右のジョン・アシュトンは、ベテランのいい味を出してましたねー。二作目ではエディ・マーフィーを信頼する相棒、的な存在となってます。しっかりした演技力が裏打ちされているからこその、ドタバタコンビ、ということですね。

 

 

エディ・マーフィーが一人で、まるで戦争のような銃撃戦を繰り広げている最中に、こんな楽しそうにはしゃいでるんですよ!🤣🤣🤣

 

 

ロニー・コックスもかっちょえいです。

 

最初はエディ・マーフィーに振り回されて、ウザさ満点の表情で接してましたが、ストリップバーでの一件の詳細を聞いて、このデトロイトのど田舎から出てきた薄汚れた刑事が、実は凄腕の刑事と認識するや、すぐさまリスペクトの表情に変わります。そういう演技がしっかりできる人です。

二作目で、エディ・マーフィーの良き理解者となるのは当たり前なんでしょうね。

 

出演はこのほか、冒頭部分でのみの出演でしたが、ジェイムズ・ルッソ。

 

 

このころは、同じイタリア系のデイヴィッド・カルーソと対みたいな感じで出演することが多かったですが、その相方(?)がテレビドラマ「CSIマイアミ」で製作とチーフの役をやるほど、アメリカエンタメ界の大物になってしまい、逆にこの人はさっぱり見なくなってしまいました。オールドファンからすると、ちょっと寂しいです。😢

 

他にも、チョイ役専門のジョナサン・バンクス

 

 

 

本名はスティーヴン・バークスと言うイギリス人なのに、風貌がロシア人風のためロシア人ぽい芸名にしたスティーヴン・バーコフ、

 

 

(よくルドガー・ハウアーに間違えられてます。😆

 

そして激カワ、リサ・アイルバッカー。

 

 

 

ただね、この人たちみんな、日本じゃ馴染みが薄いんですよねー。出演してる映画自体が日本で公開されないんですよ。もったいない気がするのはわたしだけでしょうか。

 

 

エンターテイメントに徹した、超娯楽大作のこの「ビバリーヒルズ・コップ」。今でも決して色褪せてないと、わたしは思います。

もし観られることがあったら、ぜひ原語(英語、字幕付き)で観てみてくださいね。

 

 

バカにしたりウザがってたのが、エディ・マーフィーがことの真相を話し出して一気にみんな、刑事の顔になる、という良いシーンです。

 

 

 

今日の一言

「田園調布デカ(笑)」

 

 

レビュー さくいん