★★★★☆☆☆☆☆☆
1974年 83min.
ネタバレ この映画は周知されているかと
敬称略
監督 トビー・フーバー
製作 トビー・フーバー ほか
音楽 トビー・フーバー ほか
脚本 トビー・フーバー ほか
サリー:マリリン・バーンズ
ジェリー:アレン・ダンジガー
フランクリン:ポール・A・パーテイン
カーク:ウィリアム・ヴェイル
パム:テリー・マクミン
ヒッチハイカー:エドウィン・ニール
コック:ジム・シードウ
レザーフェイス:ガンナー・ハンセン
グランパ:ジョン・ドゥガン
カウボーイ:ジェリー・グリーン
えと、スタッフのとこ見てもらうとおわかりかと思いますが、要するに、トビー・フーバーやりたい放題の映画、というわけですね。後年「死霊のはらわた」で大ブレイクすることになる、「スプラッタームービー」の先駆けとでも言うべき映画でありますよ。
ていうか、なんか調べましたら、もう古い映画ですから当時けっこうなお歳だった人は亡くなっちゃってる人もいらっしゃるのですけれども、でもその亡くなった人たちって、なんかみんな早くに他界されてるんですよね。サリー役のマリリン・バーンズは享年65歳、フランクリンのポール・A・パーテインは享年58歳、レザーフェイスのガンナー・ハンセンは享年68歳と。だからって呪いがどうのと言いたいわけではなくってですね、でもやっぱりこの年齢を考えるとなんかもったいないというか、ザンネンな気がしてなりません。ご冥福をお祈りしたいところです。
さて、タイトルから入りますが、まあこれ原題、すごいですよね。“THE TEXAS CAHINSAW MASSACRE”。これにDVDの翻訳者が訳をつけると「テキサス 電ノコ 大虐殺」だそうですよ。タイトルの下に字幕でそう書いてありましたからね。わたし、大爆笑いたしました。そらあまりにも、です。直訳はそうかもしれませんけどね、「悪魔のいけにえ」でいいじゃないですか。邦題のアホさ加減にはわたしもいいかげん頭に来るところではありますけれど、この「悪魔のいけにえ」はけっこういい邦題だと思うわけですよ。それをなにをどうしたのか、「テキサス 電ノコ 大虐殺」て。しかもごていねいに、「テキサス」スペース「電ノコ」スペース「大虐殺」ですって。笑うなというほうがムリですね。なんならわたし、ぱっと見「テキサス電ノコ大作戦」かと思いましたからね。爆笑案件なわけです。
まあ、それはそれとして、気を取り直して映画に入ります。
↑オープニングでこれですよ。
たしかにこの時代からしたらこれはけっこうキツイかもですね。映画館での観客の反応はどうだったのか、知りたいところではあります。
ただね、シチュエーションはどうなんですかね。
↑この5人が今回の犠牲者たちなのですけれども、
なんか夏のドライブだそうで……。エアコンもない車で夏にドライブすんのか、ってそれはそれでギモンではありますね。
で、途中でヒッチハイカーなんか乗せるから、てことなんですけれど、いえね、昔も今もアメリカですよ、ヒッチハイカーなんか乗せたらアカンやろ、なんですよ。本作の時代はアメリカでもフツーに乗せてたんでしょうけれど、けっこう事件もあったそうですよ。それでもどうして乗せるんでしょうかね。やっぱアメリカ人はアホなんか、て思いますよ。そもそもわたし、この映画観る直前に「ヒッチャー(2007年)」観てますしね。あーあ、なわけです。
で、もうひとつ思うのは、やっぱり古い映画ってダルいシーンが多いなあ、て。まあね、ここではそのヒッチハイカーの狂気ぶりを見せたい、てことなんでしょうけれども、スプラッターを期待しているこちらとしては、そういうのはどうでもいいんですよね。時代の違いっちゃそれまでですけど、まあなにしろ映画観ながら感想をメモ書きして目を離しても、ぜんぜん支障はないわけですよ。それはそれでどうかな、ということですね。
なんて思ってましたら、とつぜんそのヒッチハイカーがキレました。
↑なんとか車から放り出しましたけど。
だから言わんこっちゃないわけですよ。アメリカで、ヒッチハイカーなんか乗せたらイカンのですよ。
さて、その後この若者たちは、車を走らせてなんか古民家的なところに来るんですけど、まあおそらくそこで惨劇が繰り広げられることになるのでしょうね。これはホラーの王道、てところでしょうか。どっちかっていうと、年代的なものを鑑みれば、本作がそういう王道の始まりなんですかね。そう考えるとやっぱり貴重な映画なわけです。でもやっぱ、長いなあ、という思いは続きますけどね。
じつはわたし本作、「悪魔のいけにえ2」が公開されるってなってそちらのほうを先に観て、それから何年後かに本作を観たんですけど、ぜんぜん本作のことは覚えてないです。まあそれだけの映画だった、てことなんでしょうか。たしかに、長くてダルいんですよ。現代の、ていうか、「死霊のはらわた」以降のホラーを何本も観てしまっている身としたら、やっぱりこのダルさは受け入れられないんですよね。緊張感もないですし。観る順番が違うといえばそうなんでしょうけれど、それはもうどうもできないですからね。
なんか、日本の映画配給会社の連中は、「悪魔のいけにえ2」を公開するにあたって、とりあえずまず本作を先に観たそうなんですけど、ものすごく怖かった、て言ってましたね。リップサービスもあったのでしょうけれども、わたしが今観ると、怖くはないです。なんかスミマセン、てことなんでしょうけれど、ほんと、スミマセン、です。
↑まあこうして歯が転がったりして、いろいろ布石はあるんですけどね。
でもやっぱりいちいち長いもんですから、緊張感は持続できません。開始30分過ぎても、事があったのって、車イスのフランクリンがヒッチハイカーに切りつけられるとこだけ、でしたからね。それ考えると、前回観た「ヒッチャー(2007年)」のすごさが際立ちますね。
↑なんて言ってたら、レザーフェイス出てきましてカーク死んじゃいます。
やっとやん、て感じでしたけど、でも死ぬ演技はうまかったですよ、カーク。
↑畳みかけるようにしてパムが捕まりました。
ことが始まると、その後の畳みかけはいい感じですね。さすがにちょっと緊張してきました。
↑パム役のテリー・マクミン。
この人も演技上手いです。迫真です。
でもザンネンなのは、肝腎なところ、要するになんかが刺さってるとことか切りつけられてるとことか、そういうのは見せてくれないのですね。まだもったいぶるんか、て思ってしまいます。
↑サリーとフランクリンの姉弟です。
えと、このシーン、友達のカークとパムが殺られて(姉弟はその事実は知りませんけど)いなくなっちゃったので、ジェリーが捜しに行って、だから必然的にこの二人が残る、というシーンです。そうなるとこちらは、そうか、ひょっとするとじゃあこの二人が生き残るのか、とも思うのですけれども、でも実はオープニングのナレーションで、この二人が一番ひどい目に合う的なことを言っていたので、いやいやじゃあこれからいよいよスプラッター満載なんやな、と期待することとなりますね。その期待を胸に秘め、よしよし、そんならやってもらおうじゃないの、という感じで観進めることになります。
音楽だっていいんですよ。トビー・フーバー自ら担当してますしね。おどろおどろしくっていいわけですよ。音楽はもちろん映画の重要な構成要素ですからね、特にホラーをつくる人って頭の中に音楽も描いて撮ってるとも思うんですよ。ならばこうして監督が担当するってのは、それこそが本来の姿なのかも、と思ったりはしました。ジョン・カーペンター監督もその一人なわけですね。これだけ映画を観ているわたしでさえ、いまさらながらにそういう新たな発見をさせてくれるのなら、たしかに伝説の映画ではありますよね。
↑なにやら物音がしたのでジェリーが冷蔵庫の扉を開けようとします。
このシーンはけっこう緊張したわけですよ。いいじゃんいいじゃん、てなります。
↑あ、ちなみにレザーフェイス役の人はこんな人です。ちなみに、です。
↑でもですね、サリーとフランクリン姉弟がジェリーたちの帰りを待っていて、
あまりに遅いものですからクラクション鳴らして呼ぶんですけど、いやこれ、いつまで待っとんねん、と突っ込みました。「アミューズメント」でもそうでしたけど、待ちすぎやろ、ですよ。もう真っ暗じゃないですか。そういう細かいところまで行き届いてないところがどうしてもマイナス要素にはなってしまうんですよね。
あと、車イスもなあ、て。ハンディがあってなにかとめんどうになるから、こういう追われる、襲われる的なホラーには持ってこい、ってのはわかるんですけどね、でもこれはっきり言ってめんどくさいですよ。しかも、やっぱりいい気はしないですよね。ほんとに車イスの人が観たらどう思うか、なんて考えちゃいます。そういう思いになるのは今の時代だから、なのかもですけれど、いつにしてもいい気はしないと思うんですよね。なんかねらった感も好きじゃないですし。そこが今いち、なわけです。
↑で、夜の闇に紛れて襲われる、と。
だから言わんこっちゃないわけですよ。
↑サリー、大声で叫びながら逃げます。
いや、こんだけ暗いんですからね、叫ばずに闇に紛れれば逃げられるんちゃうか、て思いました。レザーフェイスはそうして暗闇に乗じて襲ってきたわけですしね。でもやっぱりムリなんでしょうね、サリーとしてみたら。だからわたし、もし自分がこういう場面に遭遇したら、ゼッタイ声は上げずに逃げようと思った次第です。
↑ここはけっこう緊張、いうか、手に汗握りましたよ。
でもまあやっぱり、長いですけど。レザーフェイスとサリー、ずっと追っかけっこしてました。
↑サリーです。
ここは一瞬「死霊のはらわた」かとは思いました。
↑このシーンは長いです。もう、いまさらですけど。
まあね、要するに全体的にやっぱり長いわけです。先にも言いましたけど、狂気の演出ってのはわかりますよ。でも長すぎると、せっかくの緊張感も薄れてもったいないんですよね。
↑アホがみんな映ってますね。家族だそうです。
母親はどんなだったのか、それが一番気になりました。
↑て、ミイラだとばっかり思ってたグランパ、実は生きてるという……。
それはいくらなんでも、という感じです。もうゼッタイにミイラじゃないですか。ここへきてとうとう、う~ん、トビー・フーバーよ、となってしまいました。
↑なんかじじいに殺させようとしてますけど、じれったいし。
↑で、サリーがなんとか外へ脱出すると、もう明るいわけですよ。
暗いうちに逃げとけばねえ、と嘆息なわけです。
↑あ、でもなんかアホ一家の長男がこうなりましたよ。
トレーラーに轢かれました。ようやくなんとか溜飲が下がりましたが、よかったあ、というよりは、やっと終わったあ、て感じになりました。ところが、です。
いえね、最後の最後にサリーが映ったんですけどね……。
↑これ、サリーだそうなんですけどね、いやこれ別人ちゃう?て。
わたし、「え、え、だれ?」て言いましたもん。あの、7枚前の写真に「サリーです」て書いてますけど見比べてみてください。これ同一人物ですか?髪の色もちがうし、いったいこれはどういうことやねん、と、もう最後の最後で突き落とされた感じになってしまいました。
↑夕日のレザーフェイス。ここで終わりです。
なんか唐突すぎて、またまた「え?」てなりました。
う~ん、なんか、です。たしかにこれ当時はそうとう盛り上がったのでしょうけれども、今観るとやっぱり長いってのが一番の苦痛ですね。どうにかならんかったのかと思いますが、それをどうにかするとものすごく短い映画になってしまいそうな気もしますしね。ただ、「悪魔のいけにえ2」ではもうちょっとなんとかなってたはずですので、それ考えるとやっぱりザンネンな気がしてなりません。
スプラッター映画の先駆者ということと、5年も前に亡くなってしまいましたが、ほとんど全部を担当した監督に敬意を表して★4つとはしますけれども、そこが限界でした。トビー・フーバー、「ポルターガイスト」の監督でもあるわけですし、2作目の「悪魔のいけにえ2」に期待、ということです。
今日の一言
「いつも思うけど、殺られる側にスタローン入れてくんないかなあ」
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