★★★★★★★★☆☆

2007年 83min.

ネタバレ リメイクですから

敬称略

 

 

監督 デイヴ・マイヤーズ

製作 マイケル・ベイ

音楽 スティーヴ・ジャブロンスキー

脚本 ジェイク・ウェイド・ウォール

 

ジョン・ライダー:ショーン・ビーン

グレイス:ソフィア・ブッシュ

ジム・ハルジー:ザカリー・ナイトン

エストリッジ警部:ニール・マクドノー

 

 

 1986年、ルトガー・ハウアー主演の伝説のホラー映画の完全リメイク、だそうですよ。ルトガー・ハウアーの役を今回はショーン・ビーンがやるってんで、ものすごく楽しみなわけです。ただ、製作がマイケル・ベイということで一抹の不安がよぎり、脚本がなんとあの「アミューズメント」の人と聞いたときにもうザンネン感しかなくなってしまいました。さて、どうなりましょうか、ということですが。

 

 まあですね、上のタイトルの写真を見てもらえばわかりますように、いきなりウサギが轢かれます。もちろんCGですからいいんですけど、う~ん、いくらアメリカといえど、ウサギを轢いて平気なものなのだろうか、とは思いましたよ。もちろんこれで不安感(ホラー的な、です)をあおるということに関していうのなら、まあ正解ではありますが。

 

↑で、すぐにこうやって日常のシーンとなります。

 

 まあリメイクするとこうやって現代ぽく、とりあえず学内のシーンにBGMでロックをかける、的な演出にはなるわけですね。しゃあないんでしょうけど、わたし的には、もうちょっとオリジナルに寄せて最初っから最後まで不穏な空気のままで流せばよかったのに、とは思います。オリジナルが伝説になったのは、そういうところでしたからね。最初っから最後まで、もうずーっと不気味で、ずーっと救いがなかったですからね。だからって、じゃあマイナス、とはならないですが、いかにもな現代的手法で、ちょっと期待外れ、という気はしました。

 

↑まあとはいえですよ、こうやってすぐにジョン・ライダーは出てきました。

 

 彼をはねそうになって、あわててブレーキ踏んでエンストして、ほんでもってジョン・ライダーが近づいてきて、って。ここで一気に緊張感走るんですけどね、だからこそ、ならやっぱり最初からそうしたらよかったのに感は否めないところなのですね。

 

↑ジョン・ライダーのショーン・ビーン。ルトガー・ハウアーよりは普通っぽいかな、という感じですが、まあこの整った容貌ですからね。ちょっと違うかなあ、なんて思ってたら、車に乗ったとたんにトンデモないやつに豹変しますよ。こちらは期待通り、であります。

 

↑顔つきも話し方もいきなり変わります。さすがですねえ。緊張感がハンパなくなるのです。

 

 ちなみにショーン・ビーン、イギリスの方で、テレビ界で有名だったのがハリウッドに進出、若かりしころは「パトリオット・ゲーム」にも出てましたし、わたし的には2005年の「フライトプラン」、2010年の「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」の全能の神ゼウス、2012年「白雪姫と鏡の女王」の王様が好きなところですね。でも巷では、2014年にハリウッドで「よく死ぬ映画俳優トップ10」の1位に選ばれたそうですよ。神様やったり王様やったりはたまた殺されたり、タイヘンなのですね。敬意を表します。

 

 ところで本作、オリジナルと根本的に違うのは、主人公がカップル、しかも主役は女性、というところですね。これなんでこうしたんでしょうね。オリジナルは一人で車の陸送をしていたC・トーマス・ハウエルがルトガー・ハウアーに絡まれて、逃げ込んだレストランのウェイトレスだった激カワ・ジェニファー・ジェイソン・リーと知り合って恋仲になって一緒に逃げるって感じでしたからね。最終的にまた孤独に戻ったわけですから、本作も同じだと言えばそうなんでしょうけれど、オリジナルはだから、ものすごく孤独感があって、それも恐怖の一因にもなってはいたんですよね。ひょっとしたら今は「車の陸送」なんて仕事はないからなのでしょうか。でもそんなのいくらでも理由はつけられそうですし、真意を聞いたみたいところではあります。

 

 で。

 

↑車停めてなんか飲んで、

 

↑そしたら襲われて、

 

↑やっぱり夢落ち、と。

 

 なんかね、「死霊の牙」を観たばっかりでしたからね、食傷ではありますよ。やっぱそういうのはいらんわあ、てことですよね。

 

↑主人公のグレイス役、ソフィア・ブッシュ。激カワですよ。

 

↑てっきりこちらが主人公だとばかり思っていましたが、最後はザンネンなことになるジム・ハルジー役、ザカリー・ナイトン。こちらも男前ですが、若干ジャッキー似ではあります。ジャッキー・チェン。ていうことは、ジャッキーちゃんにも似てるんですかね。ま、いいですけど。

 

 さて、そうこうしてると展開は速いです。それはオリジナルと変わりませんから、いい緊張感は持続できますよ。

 

↑ジョン・ライダー、容赦なく後ろから襲ってきます。

 

 にしても、車によってこんなにスピード違うもんですかね。まあこういうカーチェイスみたいなシーン観るといつも思いますけど、どうなんでしょう。逃げるほうは簡単に追いつかれますからね、たいがいの場合。「探偵!ナイトスクープ」に検証してもらうといいかもしれません。

 

 まあ、でも、なんです。なんだかんだ言ってますけど、でも怖いんですよ。これひょっとしてオリジナルと比較しちゃいかんのでしょうかね。オリジナルはなくって、本作は本作としたら、じゅうぶん楽しめるとは思いましたよ。なにせしっかりわたし、緊張してましたからね。怪物とか、ピエロとか、狼男とかなんかより、よっぽど怖いじゃないですか。なんでカップルで、ともいいましたけどね、例えば間違って警察に捕まったりとか、そのあと別々に尋問されて双方ともにまったく信じてもらえない、なんてとこもこれ、二人分なので倍くらい緊張できるわけですよね。そこをねらったのかどうかはわかりませんけど、これほんとにあの「アミューズメント」の脚本家が書いたのか、ってビックラですよ。いじゃん、これ、ってわたし、この映画観て笑みを浮かべてしまいましたよ。

 

 ただね、とはいうものの、手放しでの賞賛、というわけにはいきませんね。だって、

 

↑ケンカしちゃうんですよねえ……。

 

 わたし再三言ってますけど、せっかく映画ならこんなギスギスしたとこ見たくないわけですよ。イヤな気持ちにしかならないじゃないですか。ケンカするほど仲がいい、なんて言ってらんないですよね。言ってらんないくらい大ゲンカの時もありますしね。で、ケンカが収まってまた元通り、なんて都合のいい話、受け入れられないわけですよ。ハリウッドの映画って、どんだけ仲のいい友達でも恋人でも、必ずと言っていいほどケンカしますけど、ほんとそんなシーン、いらんのですよ。ザンネンでなりませんね。

 

↑まあこうして、ボニーとクライドみたいなところもすぐに出てきて、緊張感の持続は続いてるんですけどね。だからこそ、なんですよ。

 

 それさえなければ、こんな怖い映画はないとさえ思いますね。そもそもショーン・ビーンのジョン・ライダーも、ルトガー・ハウアーよりもさらに頭良くなってて、策略がうますぎるんですよ。まったくムリがありません。

 

↑ほえ~、かっちょええ、て思ってしまいますよ。

 

↑で、ジム・ハルジーのザカリ―・ナイトン、先に言いましたように、ザンネンなことになってしまいました。こっちかあ、て思いましたね。

 

↑半分になりました。う~ん、足と手をつながれてトラックで逆方向に引っ張られれば、こんな真っ二つにはなりませんけどね、まあそこはいいです。オリジナルではたしかボカしてあったと思いますけどね。まあでも、悲惨さは過ぎるほど伝わってきます。

 

↑そしてラストを迎えるわけです。

 

 総括しますと、まあ最後まで緊張はしてました。久々に良質のホラーを観た気がします。「アミューズメント」、「死霊のはらわた(2013)」、「死霊の牙」と続きましたからね。比べるのも申し訳ないくらい、いい映画でありました。オープニング(学内のシーン)とエンディング(曲)にケンカのシーンで2つマイナスですが、全体を通してはしっかり楽しめたのでした。

 

 ショーン・ビーンをますます好きになったことです。

 

 

今日の一言

「いや、美男美女すぎるやろ、うらやましいわ」

 

 

レビュー さくいん