★★★★☆☆☆☆☆☆

2013年 91min.

ネタバレ まあ、オリジナルもあることですし。

敬称略

 

 

監督 フェデ・アルバレス

脚本 サム・ライミ ほか

製作 サム・ライミ、ブルース・キャンベル、ロバート・G・タパート

音楽 ロケ・バニョス

 

ミア:ジェーン・レヴィ

デイヴィッド:シャイロ・フェルナンデス

オリビア:ジェシカ・ルーカス

エリック:ルー・テイラー・プッチ

ナタリー:エリザベス・ブラックモア

少女:フェニックス・コノリー

ハロルド:ジム・マクラーティ

老女:シアン・デイヴィス

 

 

 2013年のほう、です。

 

 1981年に公開されたあの伝説のスプラッター「死霊のはらわた」を、サム・ライミ監督が製作して一から設定を作り直したリメイク、だそうです。まあ、リメイクってのは良し悪しありますからね。どうしてもオリジナルと比較してしまうと、やっぱりオリジナルのほうが、なんてなっちゃうこと請け合いなわけですが、でも今回は、オリジナルを作った人自らが脚本も書いてるわけですしね、そら期待して観るわけですよ。ブルース・キャンベルまで製作に名を連ねてますからね。出演者はだれひとり知らない、ってのもオリジナルと同じでいいですよね。

 

↑トライスター!いやこりゃなつかしいわい、という感じで、つかみはオッケーです。

 

 で、のっけから怖いです。たしかにネームバリューってのもありますけれども、怖いもんは怖いんですよ。さきに「アミューズメント(アミューズメント | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」なんて映画を観たからなのかもしれませんけど、でもやっぱり怖いです。演技力なんて雲泥の差ですからね。

 

↑いきなりこんなん魅せられたら、そら身も引き締まる、てなもんです。

 

↑間髪をいれずこうして例の山小屋が出てきます。ワクワクすらしますね。まあ、ていうか、普通はこんなとこには泊まりませんけどね。汚いし、生活するところではないです。

 

↑オリジナルでは、なにこのダサいペンダント、なんて思ってたのもこうしてちゃんと立派なプレゼント仕様になってますよ。それなりにいい感じです。

 

 ただ、若干ですね、やっぱりオリジナルのようなのっけからもう隙間なく不穏な空気、ってのはないんですね。それこそが現代風にアレンジ、というところなのでしょうけれども、だからやっぱりオリジナルと比較してしまうと、なんか物足りないところではあります。本作では、オープニングで時代の違う古い話をもってきて、そこからオープニングタイトルになる、というよくあるパータンです。「アミューズメント」のときも言いましたけど、そういうのはいいんですよ。いらないです。最初っからたたみかけてもらったほうが楽しめるじゃないですか。もちろん「アミューズメント」なんかは足元にも及びませんよ。でも臭いは同じでは、続けて観てしまったわたしにはやっぱり食傷、となってしまうわけです。

 

↑小屋を裏側から見たのはオリジナルにはなかったことですから、それはそれで、なるほど、とはなりましたけど、それだけです。そんなこだわりも、いらないっちゃいらないです。とりあえず、この小屋は、主人公的なミアとデイヴィッドの兄妹が昔住んでた家のようですけどね。

 

↑そうこうしまして開始15分。いわくつきの扉が出てきました。地下室の扉ですよね。これを開けさえしなければ、なのです。

 

↑ワクワクします。

 

↑で、このエリックが、厳重に封印してある本を開いちゃうもんだから、てなりますと、

 

↑何かが森の中を走ってくるわけですね。ワクワクはここでドキドキに変わります。こうしたところはオリジナル通りですけど、だから緊張感はありますよね。

 

 どうやら内容としては、ミアを薬物中毒から救うためにみんなが集まって、という設定のようでして、そのミアがなにか得体のしれない邪悪なものに取り憑かれるのですね。で、その「なにか」をミアが見てしまうわけですよ。

 

↑ミアが見たのがこれです。オリジナルではこの「なにか」は具現化されてませんでしたから、現代風にわかりやすくしたということがここでもわかります。

 

↑その「なにか」がこれです。こりゃ怖いですよ。

 

↑伝説の「森にレイプされる」シーンもちゃんとあります。

 

↑ミア。やっぱ演技はうまいです。

 

 開始30分、ことが起こりだします。30分ですから、全編の3分の1過ぎてるわけですが、ようやくの感もありますけれども、わたし的にはそれほど長くは感じませんでした。ここまでは良質なホラー、という気はします。

 

↑こういうシーンも、さすがです。「死霊のはらわた」の名に恥じないシーンですよ。

 

↑激カワなオリビア。でもこんな激カワなのに

 

↑真っ先にこうなっちゃうのですね。一番頼りにしていた看護士、という役でしたから、観ているほうの救いをなくす、ていうのはさすがとしか言いようがありません。

 

 で、たたみかけるように、あれよあれよでみんな憑かれて、デイヴィッド一人になってしまいました。ほんとにあっという間でしたから、まったく救いがないのです。

 

 でも、なんです。わたしここで冷静になって考えてみましたけど、やっぱりどっちかってえとオリジナルのほうがはるかに怖かった気がします。そらあね、まだわたしも国立の大学受験が終わって合格発表待ち、という時期に観たのですからね、ホラー映画どころか映画自体をあまり観ていませんでしたしね、だからという部分もあるにはありますけど、でもそれを差し引いてもやっぱりオリジナルのが怖かった、て思っちゃうんです。なんか本作は、洗練されすぎている、ていうか。オリジナルはもっとB級感満載で、ずーっと怖かったと思うんですよ。

 

↑こういうシーンもありますけどね、これは「ソウ(ソウ | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」でも観ましたし。

 

 あと、デイヴィッドが、主役のくせにいつまでたっても呪いを信じない、っていう設定もめんどくさいです。

 

 これ、どこまでサム・ライミがかかわってんでしょうかね。いや、脚本はサム・ライミか。ならやっぱり現代の観客に忖度しすぎたんじゃないか、って気はしますね。釘打ち機で何本も釘を打ちこんだり、自分の腕を切断したりって、「ソウ」とか「死霊のえじき(死霊のえじき | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」とかで何度も観てますからね。そういうのがなくってもオリジナルはめちゃめちゃ怖かったですよ。

 

 一瞬、あれオリジナルと同じか、ってほどよく似てる感じの音楽も、やっぱり現代風っちゃそうですし、本作ではなんか音楽が必要以上に流れてる気もして、耳に邪魔な部分もあるんですよ。

 

↑エリックがボロボロになるのは相変わらずですけど……。ハラにもなんか刺さってますしね。逆にこれ、よう生きとるな、てことでして、わたし笑ってしまいました。

 

 えと、で、エリックが言うには、憑かれた人を解放するためには、①生き埋め、②バラバラに切断、③火あぶり、ということだそうなんですけど、いやいや、生き埋めはアカンやろ、とは思いましたね。しかもそれを聞いたデイヴィッド、ミアを生き返らせようと生き埋めにしちゃいます。そらやっぱりアカンわ、てなりました。だってブルース・キャンベルはバラバラにしてたじゃないですか。まだ彼のほうが骨がありましたよ。

 

↑ミアもミアで、顔がキレイになっとります。

 

 たしかにオリジナルでも、カットが変わると顔についてた血の配置が変わってるとか、なんかちょっとキレイになってるとかありましたけどね、でもあっちは終始怖かったんですよ。本作だと、こういうちょっとキレイになったりとかのシーンでは、なんかホッとしちゃうんですよね。要するに、全体的にホラー感が足りない、てことなんです。

 

 最終的にミア、覚醒して戻ってきます。でもこれもわけわかんないです。生き埋めにしたから解放されて?いやいや、埋めたって言ったって途中まででしょうに。たしかにデイヴィッド、愛する妹のミアを生き埋めにしようとしましたよ。でもちゃんと埋める前に、やっぱアカン、とか言ってすぐ土をどけてたじゃないですか。そんなんでいいのか、ってなりますよね。そもそも解放するって、生き返ってくるって意味じゃないと思うんですよね。安らかに眠れるようになる、てことじゃないんか、って。最後の最後で全然怖くなくなっちゃいました。

 

 ラストはほんとにあっけないです。え、こんで終わりなん?みたいな。そらないわー、て。終わった感、まったくありませんでした。最初はよかったんですけどね。なんか尻すぼみで、ザンネンな4つ、ということです。

 

 

今日の一言

「あ、ブルース・キャンベル」

 

教訓

 森の中のこぎたない山小屋で呪いの現象が起こったら、ゼッタイに一人になってはいけません。よく覚えておきましょう。

 

 

レビュー さくいん