★★★★☆☆☆☆☆☆

2021年 112min.

ネタバレ してしまってます。

敬称略

 

 

 えと、う~ん、です。

 

 とりあえず、邦題はクズですね。よくもまあこんなクソみたいな邦題を考えたものだと、そいつに殺意すら覚えますが。ムキー「IT(IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」のときもそうだったんですけどね、あちらはまだ最初だから、まあ許そうという気にはなりましたけどね、今回は、タイトルそのものがクズなうえにパクリという……。プライドはないんかと言いたいですね。邦題って、いったいどうやってつけられるのでしょうか。ちゃんと会議とかするのでしょうか。会議せずにだれか担当者の一存で決められるというのもなんですが、会議してこれならもうそいつらには映画にかかわってほしくないと思いますね。ええかげんにせえ、です。ムキームキームキー

 

 まあ、それはそれとして。

 

 監督はマイケル・チャベス。「ラ・ヨローナ ~泣く女~(ラ・ヨローナ ~泣く女~ | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」の人ですね。われらがジェイムズ・ワンは製作に回ります。で、音楽は安定のジョゼフ・ビシャラ、と。まあここまで聞くと、期待は持てる、ということにはなるのですが、ちょっと今回はわたし的には、いったいどうした「死霊館」ではありました。せっかく夫妻が出演しているというのに、です。ガーン

 

 ウォーレン夫妻のネタはとってもたくさんあるそうですのでね、まあここでひとつちょっと違う趣向の映画を、ということはよかったのでしょうが、それにしてももうちょっと作り方はあったのでは、という感じでしてね。「死霊館 エンフィールド事件(死霊館 エンフィールド事件 | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」からは5年、「死霊館(死霊館 | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」からは8年が経ってますね。たっぷり時間はあったはずなんですけれどね……。

 

 オープニングは、1981年のお話です。ずいぶん最近にはなりました。夫妻も、8年経ってもお変わりなく美男美女ではあります。

 

↑パトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガ。もうわたし大ファンですよ。ラブ

 

 そしてさっそくの神父登場、と。要するに、悪魔祓いがはじまる、というわけですね。

 

↑不気味でいいです。ここでも「エクソシスト」をオマージュしているかのようですね。

 

 子供がターゲットというのもいつも通りで、ここらへんは安定感抜群という感じですから、立ち上がりは絶好調に見えますよ。

 

↑少年デイヴィッド役、ジュリアン・ヒリアードくんです。

 

↑とっても頑張ってますよ。

 

↑若干飛ばしてる感で、激しいですね。なんでもいいですけど、いくら悪魔の仕業だといっても実際にこんな格好になってるわけですからね、デイヴィッドくんの元の身体って大丈夫なんでしょうかね。「エクソシスト」でもリンダ・ブレアの頭、一回転してましたけどね。幻覚を見せられている、ということなのでしょうか。ていうか、そうじゃないとナットクできないですけどね。

 

 で、じつは今回は、この悪魔祓いのせいでエドが重傷を負うことになります。大ピンチの時に、はたしてそこに付け込もうとする悪魔と対峙して愛を貫けるか、というところが観どころなんかな、と漠然と思い観てました。

 

↑涙目のヴェラ・ファーミガも美しいですが、とっても気持ちの伝わる良い演技ですよね。

 

↑アーニーのルアイリ・オコナー。めっちゃやさしいんですよ。

 

↑その彼女のデビー、サラ・キャサリン・フック。めるる似でめっちゃかわいいです。

 

 じつはこのアーニーに、悪魔祓いによってデイヴィッドくんの身体を離れた悪魔がとり憑いてるんですね。デイヴィッドくんを助けるためにアーニーが、自分の身体に乗り移らせたわけですよ。それはこの時点では、アーニー本人と観客しか知らない、ということになってまして、そこらへんで不安をあおってきますよ。ただ思ったのは、アーニー、自分自身であれだけ「おれに乗り移れ!」とかって叫んでたのに、乗り移られた自覚はないんかな、ということではありました。ショボーン

 

 ちなみに夫妻ですが、撮影時はおふたりとも48歳だったそうです。全然見えませんね。あまりの若々しさにビックリですが、でも歳は歳なので、この先いつまで夫妻役をやってくれるのかと、ちょっと気になったりはしました。もちろんわたしは大ファンですから、応援し続けますけどね。

 

 あ、閑話休題。

 

 ところが、です。このオープニングの話が終わりまして、ちょっとひと段落、てことになってからガラッと趣が変わってくるのですね。例えば挿入される音楽もそうです。なんかロックバンドの曲がかかってましてね、時代背景を考慮したのだろうと想像はできるのですけれども、なんかそれが逆にこの映画をB級ホラー映画みたいにしちゃってる気がするんですよ。もったいない気がしてなりません。曲がうるさすぎて、ホラー感が薄くなっちゃってるのです。びっくり

 

↑今回の本当の主人公のアーニーは、クリスピン・グローヴァー似ですね。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のマイケル・J・フォックスのお父さんの役やった人です。ニコニコ

 

 で、悪魔に憑依されたアーニーが殺人を犯しましてね、それで裁判になるのですが、アーニー側は「悪魔に憑依されていた」として無罪を主張する、という話になってきます。まったく今までとは内容が違ってますね。

 

 あ、もちろんこちらの話も実話なんですよ。だからこの裁判も、「悪魔に憑依されていたから無罪を主張する」ってのもほんとの話だそうです。けっきょくアーニーは有罪になりましたが、夫妻の尽力もあって禁錮5年で出所したそうですけれども、その内幕をウォーレン夫妻側からの目線で追う、というお話です。だからこの時点でわたし、覚悟はしました。「死霊館」シリーズでのジェイムズ・ワンの手法は、とにかくこれでもかというほどに恐怖を畳みかけて、それで観客の脳みそをパニックに陥れる、そしてそれに愛で立ち向かう、という構図でした。でも今回は、そんな畳みかけるなんてことはできないだろうと思ったからですね。で、その覚悟はすっかり正解だった、というわけなんですよ。ショボーン

 

 アーニーとデビーの家族との関係性がいまいちよくわからないのも、これまでになかった部分ではありました。ジェイムズ・ワンが監督してたら、細かいところにもすべて行き届いていたはずなのに、と、ザンネンしかありません。

 

↑ベッドに横たわるデイヴィッド君を上から撮ってます。ベッドはウォーターベッドで、デイヴィッドくんのすぐ横に得体のしれない顔が浮かんでいる、というカットですね。

 

 こういう怖いはずのシーンも、とにかく物語がゆっくり進んでいますのので、いまいち怖くないです。そもそも引っ越し先の備え付けのベッドがウォーターベッドてなんやねん、とも思いましたが、これは実話なんでしょうかね。実話だとしたら、ちょっと考えられませんが、それはわたしが日本人だからなのでしょうね、きっと。そう思うことにします。

 

 やっぱり監督が代わるとこうも違ってしまうものなのでしょうね。せっかく製作にジェイムズ・ワンがいるのに、あまり口出ししなかったのでしょう。それはそれでよいことだと思いますよ。けっきょく映画は監督のもの、ってことですからね。でも、観客としてはナットク行かない部分もこうしてでてくるわけで、ジェイムズ・ワンなら気づかなかったはずはないのに、と思ったりもしました。「ラ・ヨローナ ~泣く女~」はほんとに怖かったですから、釈然としないものもあります。趣向が違うとは言ってもなんとかならんかったんか、という思いです。

 

↑夫人が床下に入って探索するシーンも、長いです。開始40分近くですが、ずいぶんあくびが出るようになってしまって、これまでにはなかった生理現象に、わたし自身ビックリです。びっくり

 

↑ここでカスナー神父が出てきます。演じるのはジョン・ノーブル。ドラマ「フリンジ」に出てた方ですね。「フリンジ」が終わって8年の73歳。老けたなあ、というのが印象ですかね。ちなみに、「フリンジ」では吹替を声優の菅生隆之さんがゃっておられましたが、あまりの声のそっくりさにビックリしたことがあります。今回もこの人の演技観てて、まるで菅生さんが英語をしゃべっているかのようでした。

 

 わたし的にうれしかったのは、前回「死霊館 エンフィールド事件」ではすっかり影が薄かったドルー役のシャノン・クックが出ていることでしたね。ぜひ「死霊館」での活躍再び、なんて思って観てましたよ。本作でも最初のうちは影が薄かったですけど、あとの方で活躍してくれました。うれしい限りです。爆  笑

 

↑シャノン・クック。アジア系の顔立ちで、なかなかにハンサムではあります。

 

 今回は、ていうかいつもですけど、警察は協力的でしたね。これも実話なんでしょうね。日本ではこんなことはありませんが、捜査に霊能者を積極的に起用することもあるアメリカですから、そこらへんはさすがです。

 

↑まあ一応、ある殺人事件の凶器はどーれだ、的なクイズはありましたけどね。夫人の霊能力がほんものかどうか確かめる、的な。

 

 とはいえ、です。そうなんですよ、こういう話がずっと続いてるんですね。すなわち、怖いシーンが極端に少ない、ということなんです。もちろん最後の方では畳みかけてくれるのでしょうけれども、それにしても開始50分、これではわたしとうとう、音声をヘッドフォンで聴いているというのに寝落ちしてしまいました。15分後に目が覚めて、あわてて戻して観なおしたわけですけれども、15分寝たおかげで頭はスッキリ、あとは最後まで寝ることなく完遂することができたのでした。なんて言ってる場合ではないですね。とにかく、好きな「死霊館」シリーズにこんなこと言いたくはないですけど、退屈なんですよ。ショボーンショボーンショボーン

 

↑悪魔に追われてがけ下に落ちそうになる夫人を助けにヘッドスライディングするエドです。ここはパトリック・ウィルソン、身体張ってましたよ。こうして、いいシーンはあるんですよ。

 

↑愛は貫かれていると思わされます。ラブ

 

 それにしてもこの二人、ほんとに愛し合ってんじゃないのかと思うくらい、キレイなツーショットをいつも演出してくれますね。最初のキャスティングが大成功ということでしょう。パトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガには感謝しかないですね。なんで二人とも実生活では違う人と結婚してんだよ、なんて野暮なことまで思ってしまいました。まさに名優、ということなんでしょうね。

 

 話的にはですね、そもそも、なんですよ。そもそも悪魔が主題なわけですから、事が起こっても肉弾戦になってしまうわけで、そうなるとやはり「ラ・ヨローナ ~泣く女~」のような心霊的な怖さはなくなってしまい、日本人にはウケない、すなわちいうほど怖くない、ということになってしまうのですね。それが如実に出た映画が本作、というわけです。しかももっと悪いことに、話がラストに進むにつれて、主題は「悪魔を召還した犯人を捜す」ということになってしまうのです。これではもうホラーではなくサスペンスですよ。そういう感じになってしまったのです。

 

↑夫妻、証拠集めのために死体に聞こうと、葬儀場に忍び込みますが、これ実話というならほんとにしたのでしょうか。エドは「書置きしておけばいい」と言ってガラスを割って侵入するのですが、ほんとうにそんなことで許されたのでしょうか。まあ夫妻ですからね、警察からの信頼も厚いので大丈夫なのでしょうけれども、ちょっとやることが雑な気もしないでもないシーンではありました。

 

 で、ここらへんでわたし思い当たりました。いえね、なんか開始からずっと違和感があったんです。観ていてなんかしっくりこない、いうか、疲れる、いうか。それで思ったのですが、オープニングでエドが重傷を負っていて、それからこの映画全編でずっとエドの調子が悪そうなんですよ。血管を拡張させる薬を飲まなきゃいけないのに、その薬を忘れて倒れてしまうとか。これも実話なのかどうかはわかりませんが、そういうエドを見せられると、ちょっとこちらも痛々しくなってしまって、とってもツラいということがわかったのでした。

 

 もう明らかにこれまでとは違うテイストです。なんなら「死霊館」だけでなく「アナベル」も含めたシリーズ全作の中でも異質な光を放ってますよ。もちろんおもしろくないわけじゃないです。実話ですしね。でもザンネンながら、怖くないんです。怖い思いをしようとホラー映画を観ているのに、それが怖くないとなってしまったら、致命的じゃないですか。だからほんとにザンネンなんですね、ファンとしては。

 

↑悪魔に憑依されて夫人を殺そうとするエドをドルーが必死で抑えてます。ものすごくいい仕事をしているドルーですけれども、でもやっぱり怖くないです。なんならアクションシーンの様相ですよ。

 

 で、犯人がわかりますけれども、魔女だそうです。魔女探しが物語の根幹、というわけですね。それではやっぱり、弱いわなあ、という印象にしかなりません。いくら魔女でも、相手は人間ですからね。シュワルツェネッガーとかスタローンならイチコロですよ、きっと。

 

↑アーニーの悪魔祓いをしようと神父、聖書読んでますけど、相変わらず役に立ちそうもないですし……。

 

 で、そうなってくるといよいよその魔女がですね、実の父親であるカスナー神父を殺します。でもこれ、ただの殺人事件ですね。まあ殺人事件に「ただの」はないですけど、ホラー映画では「ただの殺人事件」ですよ、これ。期待があまりにも高かったので、ほんとザンネンでならないわけです。

 

↑父親に覆いかぶさって首の骨を折ろうとしてます。頑張れば反撃できるかもです。

 

↑アーニーは頑張ってました。とってもいいヤツだったので、かわいそう、という気になります。ショボーン

 

↑今回はエドが手負いなので、こうしてよく悪魔につけ入れられるのですけれども、なんか演出凝りすぎて、何が起こってるのかはよく見えませんでした。

 

 いやまあもちろんですね、最後はちゃんと解決するのですけれども、とはいえなんか最後まで大団円はなく(もちろん、大団円らしきもの、はありましたけど……)、犯人捜して対峙して、悪魔祓って終わり、という感じでした。

 

 愛は貫いてましたよ。そこは不変で普遍で不偏でしたので、それだけはほんとによかったです。なんなら、クスリを忘れてしまってというエドに、夫人が自分のペンダントからその薬を取り出すシーンは、ちょっぴり感動してしまいましたしね。でもやっぱり、期待度は高かったので、期待しすぎちゃったかな~、の感は否めませんでした。4つがせいぜい、という感じの観了であります。m(_ _)m

 

 まだまだたくさん話があるそうですので、次回作に期待することといたしましょう。でも過度の期待は禁物、ということなのでしょうかね。

 

↑元凶はこちらの魔女の方でした。

 

↑アーニーとデビー。クリスピン・グローヴァーとめるるです。ここはホッとするいいシーンでしたよ。

 

↑いつもの笑顔ですが、終わり良ければ総て良し、とはいかないわけです。えーん

 

 

今日の一言

「手に汗にぎ……、らない」

 

 

レビュー さくいん