★★★★★★★★★

2019年 93min.

ネタバレ うん、してますね、めいっぱい。ウインク

敬称略

 

 

 さて、ちょっと「死霊館(死霊館 | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」シリーズとは離れてのスピンオフ作品、ということですが、製作がジェイムズ・ワンですし、音楽もジョゼフ・ビシャラが担当してますし、ペレス神父も出てきますので、やっぱり「死霊館」の血を引いている、ということです。製作年は2019年ですから、前回紹介した「アナベル 死霊博物館(アナベル 死霊博物館 | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」と同年となりまして、まあジェイムズ・ワン、大活躍なのです。監督はマイケル・チャベス。最新作「死霊館 悪魔のせいなら、無罪。」などというわれわれ映画ファンをクソバカにした(失礼!プンプン)邦題の映画の監督さんでもありますね。

 

 さて、ということで、期待半分、不安半分で観ることといたしましたのですが……。いえね、初めに言っておきますけど、これの数が示してますように、わたしめっちゃ怖かったのですよ。ホラー映画なんてもう何本観たか数知れず、すっかり慣れっこになってしまっていると思っているのですけれども、そんなわたしでもめちゃめちゃ怖かったです。まあ、先日の8月21日に56歳になったという年齢もあるのかもしれませんけれどね、それにしてもわたしはこれ、ほんとに怖いと思いました。え、じゃあ10個やないんかい、との突っ込みには最後でお答えすることといたします。m(_ _)m

 

 1973年、ロスのお話、というところから実話感がでてきますが、じつは実話ではなくって、中南米の伝説いうか怪談に基づくお話、とのことですよ。えと、ざっと説明しますと、ある中南米の小さな村に夫婦がおりまして。その夫が旅でこの地を訪れた絶世の美女と浮気をしてしまう。すると嫉妬に狂った妻が、夫の宝物、すなわち自分たちの二人の子供を川でおぼれさせて殺してしまいます。しかし我に返った妻は、その自分の行動を嘆き悲しみ、その川で自殺してしまった。するとその日からその妻が街に現れて、子供を取り返しにやってくる、というお話ですよ。ぐずる子供をおとなしくさせるための伝説、という触れ込みですね。なるほど、よくある怪談話、ではあります。

 

 で。

 

 とりあえず音楽が同じ人ですから、オープニングのその怪談話の映像から始まって、1973年のロスになってガルシア一家の紹介みたいなところまで、ものすごい安心感で進んでいきますよ。なにしろもうのっけからひとつ、その怪談話で盛り上がってますから、1973年に移って一家のシーンになっても、すっかりのめり込んでいる、という形にさせられます。なかなかに良い演出ですよ。びっくり

 

 お母さんアンナ役は、リンダ・カーデリーニ。あ、ドラマ「ER」のサマンサ(サム)やん、てなります。「ER」のときと同じで気は強そうですよ。2019年当時で「ER」からもう10年ですか。やっぱりちょっと老けたかな感はありますが、でもかわいいです。ラブ

 

↑「ER」サム役のリンダ・カーデリーニ。どう見ても1973年感は無いですね。現代的な顔立ちの、めちゃめちゃかわいい方です。

 

 なんて言ってましたら、娘の役名がサマンサ(サム)でしたよ。なにか狙ったのでしょうかね。爆  笑

 

↑サマンサ役のジェイニー=リン・キンチェン。欽ちゃんではないです。かわいい子役さんですね。

 

 で、ここで家族の状況が説明されます。すなわち、一家のお父さんは警察官だったですが、どうやら殉職したようだ、ですね。こうした家族背景は、やっぱり最初に教えておいてほしいですよね。前回紹介しましたように、同年の作品である「アナベル 死霊博物館」ではなかなかダニエラの背景がわからずイライラしたものなのですけれども、だからこそこちらの良さが際立ってますね。どうしてダニエラのほうもちゃんと教えてくれなかったのでしょうね。脚本家が違うから、ということもありましょうが、でも「アナベル 死霊博物館」で脚本やったゲイリー・ドーベルマンは本作では製作やってますしね。なんか前回作の話ですけれども、ますますザンネンになってしまいました。まさか話がかぶらないように、なんて配慮したとも思えないですしね。

 

 さて、それはそれとして。で、リンダ・カーデリーニはケースワーカーとして、二人の息子を持つアルバレスという名前の母子家庭を担当しておりますが、どうにもこの家族に問題がある、と。始まって15分ですから、まあまだ、なにもわからなくってもいいのでしょうけれども、とはいえ全編90分のうちですからね、たかが15分、されど15分、でもありますよ。もうそろそろなにかが起きないと、とは思って観てました。じらし作戦なのでしょうかね。それならそれで、それが吉と出るかどうか、なんて。

 

 て言ってましたら、そのアルバレス家の二人の息子が川で溺死してしまいます。お、てなりました。びっくり

 

↑次男のカルロスくんはめっちゃいい演技してたのに……。

 

↑お母さんのパトリシア・アルバレスがどうしてここで捕まってるのかはわかりません。このお母さんが殺した、と思われてるんですかね。そうだとすると、これまたヒドイ仕打ちやわなあ、なんて思いましたよ。

 

 ちなみにお母さんのパトリシア役の方は、パトリシア・ヴェラスケスという方なのですけれども、名前かぶりはなんかのあれなんでしょうかね。「アナベル 死霊館の人形(アナベル 死霊館の人形 | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」では、主人公ミア役の方がアナベル・ウォーリスで、これはもう狙ったやろ、とは思ってましたけどね。

 

 なんて言ってましたら、さあいよいよ一発目がやってきますよ。

 

↑いやこれ、怖いやん!てなりました。

 

↑車の窓ガラスに突然現れるわけですよ。観ているこっちもそうなることはわかってて、しっかり身構えてましたが、やっぱり怖いもんは怖いわけです。窓が勝手に開きよるし、怖ええっ、て思いながら、いいよいいよ、やってくれるじゃん、この調子で!っても思ってましたね。ホラー映画ファンはちょっとMっ気があるわけです。子供が襲われるってのも、定番ですけど、やっぱ弱い存在ですからね、恐怖は増幅されますしね。

 

↑長男のクリスくん(ローマン・クリストウ)もいい演技ですよ。照れ

 

↑で、ペレス神父が出てくるという。まさかのペレス神父が狂言回し!?と思いましたが、それは違ってました。

 

 演出は凝ってましたねえ。いちいち怖いんですよ、これが。ただ、傘開いたらそこに白いドレスの女が現れて、なんていうシーンは、怖いのは怖いんですけれど、下手したら観逃しちゃうかもですね。観ていてボッとしてるわけでもないでしょうが、瞬間瞬間も集中しないと、映画館ではタイヘンかもです。なんでこんなこと言うかっていいますとですね、実際わたしここを観逃しましてね、あれっどうやって出てきたんや、なんてことになって速戻しして観直した、なんて邪道なことしてしまったからですね。DVD様様ですが、反省しなくてはならないところです。メモ取りながら観てるとこういうことになったりはします。ショボーン

 

↑観ててもわからないかもですが……。

 

 あとですね、もうひとつ演出の妙でいいますと、たしかに今まで通り突然出てきてビックリさせるっていうシーンは、あるにはあるんです。でもこれまでと決定的に違うのは、その際の大きな音ってのが、ここでは極力抑えられてるってことなんですね。どっちかっていうとこの、「ホラー映画の邪道」とも言うべきビックリシーンは、大きな音でびっくりさせる、っていうのが定番ですからね、その音がほとんどないものですから、観ているほうも出演者と同じ恐怖を味わえる、という塩梅なわけですよ。よく考えられてると思いました。拍手喝采ですね。爆  笑

 

 若干このシリーズとして趣が違うのは、幸せな家族という構図ではなく、夫がいなくて奮闘するお母さんの話、という点でしょうかね。これまでの、家族愛を前面に押し出す話とは、若干ですけど違ってます。こうしたところは、スピンオフだから、ということもあるのでしょうが、ちょっと差別化が図られてて、わたしには苦にはなりませんでした。あ、こういう話もありなんだな、的な。愛は愛に変わりないですし。

 

 出演者は、このシリーズ同様そうとう限られてます。そこらへんはやっぱりひとつの「愛」をテーマにしているから余分なものを排除している、という感じでして、これもすごくいいです。下手な脚本だったら、夫の警察官仲間がすごく活躍して、最後は銃ぶっぱなしながら悪霊を追い払う、みたいなことになってもおかしくはないところですよ。

 

↑実際、刑事クープ役のショーン・パトリック・トーマスが出てきた時は、お、このお方が救世主なのか、なんて思ってしまいましたからね。けっきょく全然違ってました。要するにわたしはチープな脚本家というわけで、でもだからこそ映画が楽しめるのだ、と思ったりもしますよ。深く考えず、映画にのめり込む方がはるかに楽しめる、というもんですね。自分に脚本の才能がなくてよかった、といつも思うわけです。小説は書いてますけど……。(あふれ湧く愛の泉に輝いて - 小説投稿エブリスタ (estar.jp)

 

 それにしてもこの映画、ほんとにけっこう怖いんですよ。「死霊館」のように畳みかけるというわけではないのですけれども、じれったくもないわけです。ただザンネンながら、いくらなんでもちょっと暗いですかねえ。映画館でもそうとう暗いと思いますから、DVDをテレビで昼間に、なんてのはゼッタイにムリだと思います。これだけちょっとなんとかならんかなあ、と思いました。ショボーンショボーン

 

 あとですね、主人公のアンナがパトリシアと接見して、どうしてアンナ家族が呪われるのかの理由がパトリシアから語られるところがあるんですね。いわく、パトリシアの息子たちが呪われて狙われて、ってなったので、代わりにアンナの子たちを連れていけ、って言って、そっちが狙われることになった、てことなんですけどね。それはなんなんですかね。逆恨みか、ひねくれてるのか。まあけっきょくパトリシアの息子たちは殺されてしまったわけですから、その逆恨みってことなんでしょうけれどね。いい迷惑です。

 

↑いい迷惑の最中です。

 

 でもって、白いドレスの女に傷つけられた子供の傷を医者が見て、母アンナの虐待を疑う。ここらへんはちょっと下手なドラマのようではありました。まあそうなるのはわかってたところでしょうけれども、霊の話とは関係ないので、余分だったかなとは思います。

 

 でもね、怖いですからそこらへんもさっと流すことができてしまいますよ。まあそういうところにはそもそも重きを置いてないので、違和感はないですけれども。

 

↑おいおい、もうたのむてー、て思わず名古屋弁で言ってしまいました。笑い泣き

 

↑ところでこのお風呂、どうやってシャワー浴びんですかね?ナゾではあります。

 

↑などと言ってる間もなく、やっぱり怖いのです。ガーン

 

 ここまでもう50分が過ぎてますけど、ほんと時間はあっという間でしたよ。

 

 で、ここでペレス神父の参戦となりますね。クープ刑事ではありませんでした。でも、その後の説明で、救世主はペレス神父でもないということが判明します。そもそも教会では悪魔祓いをするには認可に数週間かかるわけですよ。そんな悠長なことは言ってられませんね。そこで神父は、別の人に頼むこともできる、と助け船を出すわけです。まあ、てことは救世主っちゃ救世主かもですが。で、ここでわたし、えっ、てなりましたよ。いやいやクレジットなかったけど、まさかの夫妻か、て。そんなサプライズ、うれしいじゃん、て思ったんです。でも違ってました。そこはまあ、なんでやねん、ですが、いやほんとなんでなんですかね。ここぞウォーレン夫妻の出番だ、てことでしょうに。そこらへんの様々な大人の事情は知りませんけど、ザンネンではありますね。えーん

 

↑で、頼まれたのがこの人、レイモンド・クルス。元神父だそうですが、教会は信じてなかったそうで、神のみを信じていたという、まあ言わば一匹狼的な存在の方、みたいですよ。「沈黙の戦艦」でスティーヴン・セガールと一緒にコックとしてゲイリー・ビジーやトミー・リー・ジョーンズと闘ってましたね。「沈黙の戦艦」のときは1992年で、本作当時はそれからもう30年弱ですか。立派になられましたね、の58歳です。びっくり

 

 ここで今さらながらに思いましたけれど、やっぱり音楽の力ってのはスゴイですね。これ無音だったらなんもおもんないと思いますよ。まあ、それはそれで怖いのでしょうけれども、さらにそれを増幅させる音楽ってのは、ほんとにスゴイです。

 

 さあ、で、レイモンド・クルスが新たに参戦しまして、いよいよ家族で悪霊と闘う、ということになります。そう、「死霊館」シリーズの根本テーマですよね。おおっ、てなりました。ていうか、本作はれっきとした「霊」の話なんですよね。「死霊館」のこれまでのシリーズでは敵は「悪魔」だったわけですから、趣が違う話になってきましたよ。え、じゃあひょっとすると、最後はアンナの夫が良い霊となって出てきて悪霊を退散させるのか、なんて思ったりもしてしまいましたが、またまたそんなことはありませんでした。まあ、三流脚本家のわたしが考えるのは、そんなもんなのです。ショボーンショボーンショボーン

 

↑子供たちだけに分散させられます。机の下に逃げ込むと、こちらも力が入りますよ。まあ、力入る、いうか、身体がこわばりましたね。

 

 ここからはもう怒涛の攻めを見せてくれます。実はまだまだこの新参者であるラファエル(レイモンド・クルス)を信じ切れてない部分が浮き彫りになったり、

 

↑この人形を撮ろうとするところは手に汗握ります。びっくりびっくり

 

 やったらいかん、言うてるのにするし、で案の定、致命傷になりかけるし。

 

↑プールに飛び込んで、ママ・リンダ・カーデリーニ、文字通り体当たりの演技ですよ。好感度急上昇です。照れ

 

 いやもうほんとに、いいです。ここまで「死霊館」を踏襲しながら、それでも新鮮な話になってるのは、脚本力のすごさを感じます。お父さんがいてくれたら、と思ったりもしますが、それではたぶんテーマとする「家族愛」が強すぎるのでしょうね。

 

 で、白いドレスの女がいよいよ家に侵入してくるところの演出は、とっても斬新で、わたしちょっと感嘆してしまいました。文章でも口でも説明しにくいので、これはもし興味がおありならぜひ観てみていただきたいと思うわけです。えと、白ドレスの女が、実はこれパトリシアだったわけですが、そこのカット割りです。今までにない演出だと思いますよ。

 

 で、そうなんです、ここへ来てパトリシアが絡んできますね。自分の子が呪い殺されて、その腹いせにアンナの子たちを呪えと言った、あのおばはんですよ。でもこれが、もうとってもうまい流れなんですよ。なるほどそうくるか、的な。

 

↑しかもこのシーンではちょっと泣けるという……。

 

 そして最後の最後で霊が消えるところは、CGも凝ってましたね。ここまでずーっと着ぐるみ、メイクできてたので、このCGはとっても新鮮でした。

 

↑ちょっと観たことない映像でした。

 

 なんかですね、全体的に日本の怪談なんですよ。ものが悪魔でなく幽霊なわけですから、そうなのかもしれませんね。幽霊自体の見てくれは、やっぱりこれはアメリカだなと思うような、悪魔的形相なわけですけれども、やってることはまさに「怪談」なんです。わたし、「牡丹燈籠」を思い出しました。とにかくだから、ほんとめっちゃ怖いんですよ。久々に、ずっと鳥肌たってましたね。けっきょく幽霊自体も家族愛だった、というところも日本的ですよね。もうなにしろほんとに、怖くて怖くて、ホラー映画としてはめっちゃ楽しめる映画でありました。今日の夜はちょっと納涼で、なんていうときはぜひこの映画を観ていただければ、背すじは寒くなると、わたしは思います。

 

 えー、ということでほんとは10にしたいところなんですが、あまりに教会がだらしなさすぎるので、そこで一つ減らしました。ちょっと弱すぎでしょう。ガーン

 

↑ラファエル、いやあんたも何もしてません。笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

 

今日の一言

「ええい、教会なんも役に立たんやないか!」

 

 

レビュー さくいん