★★★★★★★★☆☆

2014年 98min.

ネタバレ まあまああります。

敬称略

 

 監督 ジョン・R・レオネッティ

 製作 ジェイムズ・ワン、ピーター・サフラン

 脚本 ゲイリー・ドーベルマン、サンライズ・ダンゴ

 音楽 ジョセフ・ビシャラ

 

 ミア:アナベル・ウォーリス

 ジョン:ウォード・ホートン

 ペレズ神父:トニー・アメンドーラ

 エブリン:アルフレ・ウッダード

 シャロン:ケリー・オマリー

 ピート:ブライアン・ホウ

 アナベル:ツリー・オトゥール

 

 

 ので、今回は前回の続き、2014年の作品ですね。このあと「死霊館(死霊館 | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」に続く、ということになります。いずれにしても前作が、ちょっと、な出来でしたので、わたし的にはやっぱり「どうなりますやら」という感じで観始めましたよ。

 

 監督はジャン・R・レオネッティ。撮影監督出身の方だそうで、監督作で有名どころは本作だけです。ただ、もちろんですけれど、製作にはジェイムズ・ワンが名を連ねてますから、そこらへんは絶対的な安心感めいたものはありますね。音楽もジョゼフ・ビシャラですから「死霊館」と同じとなれば、期待感はあります。実際、オープニングからの音楽はスゴイです。さすがとしかいいようがないですね。

 

 そのオープニングは「死霊館」と同じです。ザンネンながらパトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガさんのシーンはありませんが、あ、そうだったわ、と思い出すには十分ですね。「死霊館」の翌年の作品ですから、まだまだ前作の衝撃は薄れてないでしょうけれど、ジェイムズ・ワンのこだわりも含めて、イヤミはないです。

 

↑あれ、DVD入れ間違えたかな、と思ってしまいました。爆  笑

 

 こだわりといえば、原題もそうなのでしょうね。なにしろ “ANNABELLE” ですからね、もう、そのまんまです。でもそこに、ジェイムズ・ワンのこの作品に対する愛情が感じられていいです。照れ

 

 内容も、とっつきやすいですよ。前回、つまり前回ここで紹介した「アナベル 死霊人形の誕生(アナベル 死霊人形の誕生 | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」のラストで、女の子のジャニスが自分のことを「アナベルよ」って言ってもらわれていった家の両親が冒頭に出てきます。そこにはジャニスはいず、家出した、と。ふむふむ、です。やはりジャニスは悪魔に憑依されたのだな、ということがわかりますね。その両親の隣の家の若夫婦は奥さんが妊娠をしていて、どうやらその若夫婦のお話のようです。うまくつながってます。まあ、公開順でいったら「アナベル 死霊人形の誕生」のほうがあわせてるんですけどね。それを言い出したらなんかもうわやくちゃになっちゃいますが、シリーズとしてつながっているので、どうしてもそういう話にはなってしまいます。このあともちょいちょいそうしたギモンが出てきますので、ご容赦ください。

 

 で、10分過ぎると早々にあの人形が出てきます。

 

↑どう見てもキモいですよ。かわいくもなんともないです。ガーン

 

 この人形、今回はその若夫婦の旦那ジョン(ウォード・ホートン)のほうが、奥さんミア(アナベル・ウォーリス)のリクエストで、なんと出産の前祝で買ってきたそうです。ありえないですよね。頭どうかしてんのちゃうか、ってわたし、思わず笑ってしまいました。間違いなく、胎教には悪いです。笑い泣き

 

↑並んでる人形もおかしいですし。

 

 赤ちゃんのベッドの上に下がっているオルゴールの曲が、シリーズ最初の「死霊館」の、ピエロのオルゴールの曲と同じでした。なるほどそうくるか、て感じで、ちょっと身構えますね。

 

 で、その後すぐ、全体として15分過ぎには、あやしげな姿が画面に映りますよ。展開が速くて、とってもいいです。あっという間にのめりこんでいく、という感じです。

 

↑そもそももう怖いんです。ちょっと見にくいですけど、電話する奥さんの後ろを正体のわからない子供の影が通り過ぎますよ。ショボーン

 

 最初のうちはホラーではなく、殺人事件て感じでもありますが、でもそれにしたってやっぱり人形が絡んでいて、そもそも殺しに来たのはアナベルなわけです。なかなかにひきこまれますよね。この映画公開当時は、この時点でアナベルが前回のジャニスっていうことはわかってませんから、それを知ったうえで観たわたしはとくによくわかりました。なかなかに順番は大切だなと思ったわけですが、それはそれとして、なにしろ全編不穏な空気が漂いまくってます。アナベル・ウォーリスがおなかの子供と一緒に助かった、っていうのも不穏でしかないです。

 

↑あの人形を抱いて死んでいるのが、アナベルです。あ、死んじゃったのか、ですが、まあそもそももう悪魔に憑依されてたわけですからね。で、そうなると悪魔はどこ行った、となるわけですよ。

 

 まあちょっとわたし的に、どうしてもナットクできないセリフはありましたよ。アナベル・ウォーリスが夫のウォード・ホートンに「何かあったらわたしよりおなかの子を助けて」って言うところです。これ、実際問題として、いくら母親だからって言ってもそんなこと言うのでしょうか?わたし的にはそれは信じがたいです。父親ではなく夫だから、なのでしょうかね。でも、妻がいないこれからの生活なんて考えられません。愛する妻がいなくて、一人で子供を育てる?わたしにはムリです。妻がいなくては生きていけないと思いませんか?まあ、妻がいないと下着がどこにあるかもわからないわたしだからなのでしょうかね。アメリカ人はそうなのでしょうか。ちょっとナットク行かない部分ではありました。ショボーン

 

↑ピクルスにかぶりつくのもナットク行きませんが...。ミア役のアナベル・ウォーリス。いや、アナベルて...。なんか狙ったんでしょうかね。びっくり

 

 まあ、それはそれとして。ところでここで思ったのですが、あの人形はどこから出てきてどこにあったのでしょうか。えと、前回の「アナベル 死霊人形の誕生」では、なんか得意げな神父に「早い者勝ちだ」とか言われて、孤児の女の子たちがウンザリした顔して車のトランクにしまい込んだ、ってところで終わってましたけど...。えー

 

 そんな人形ですが、このあとアナベル・ウォーリスが「すぐに捨てて」っていうシーンが出てきますが、まだ持っとったんかい、とは思いました。まあ夫としては自分がプレゼントしたものですから、捨てがたいのかもしれませんけど、アナベルが(なんかアナベルが二人いてわからんくなりますので、奥さんのアナベル・ウォートンは役名のミアで呼ぶことにしますね。ので、夫のほうもジョンです)死んだときに抱えてたやつでしょ?早よ捨てんかい、とみんなが突っ込んだことでしょう。

 

 あと、ジョンが「妊婦さんが好きなものを作るよ」とか言ってポップコーンつくろうとするシーンがあるのですけれども、コンロに乗せたまま、いったん火を消すんですね。ところがジョンったら、そのままポップコーンをおろさずにその場を離れるものですから、そのあとがとってもタイヘンなことになるわけですよ。わたし、こういうズボラというか気配りのなさってのはちょっと信じられません。わたし、留学してたときに思いましたけど、だいたいアメリカ人てみんな大雑把なんですよね。後先考えないし。で、案の定、なんて結果になることが多いんですよね。今回のポップコーン事件は、その後の展開に必要だったのかもしれませんけど、わたしのように、ほら、ちゃんと下ろしていかないから、なんて突っ込むアメリカ人はいないのだと思います。偏見じゃないです、経験なのです。なんて、まあそんなこたどうでもいいですけどね。

 

↑ここういうことするからタイヘンなことになるわけですよ。

 

 まあ、とはいえですね、愛が基調になっているのは「死霊館」と同様で、とてもいいですね。わたし、「死霊館」はなんなら愛の話だと思ってますから、それをしっかり踏襲しているのは好感が持てるというものです。照れ

 

↑おなかに赤ちゃんもいますしね。ほっこりします。

 

 パトリック・ウィルソンもそうでしたけど、こちらも旦那のジャンがめっちゃ優しいです。なので夫婦げんかもゼッタイしないです。そこらへんはやっぱり「死霊館」と通じてて、心地よくホラー映画を満喫できるというものです。だいたいホラーって、だれかとだれかがいがみあったり、仲良かったのに突然ケンカしたり、ってなって、なんかその都度イヤな気持ちになりますからね。こちらは、どうなんでしょ、ジェイムズ・ワンがとってもいい人なのでしょうね。だから安心して恐怖にどっぷりつかれる、というわけです。

 

 そしていよいよミアがおかしくなってきますよ。

 

↑ほら、こんな愛おしそうにあんな人形抱いてます。ガーン 時間は40分。展開の速さと、時がたつのが速すぎる感で、前回の「アナベル 死霊人形の誕生」とはえらい違いなのです。

 

↑次の瞬間、もうこうなってます。怖いです。

 

 ミアがおかしくなってしまいましたので、若干夫婦で亀裂が入りそうになるところがあるのですが、そこもちゃんとジャンが「神父に相談しよう」と言って、危機回避してます。話としてはめちゃめちゃ怖いですから、そうした中にこういうシーンがあると、心底ホッとします。メリハリがついてて、とってもいいですよね。なお、神父のペレスさんは、最初は融通がきいてませんでした。精神科医とおなじことを言っていたので、あかんやん、と思いましたが、これがのちのち活躍してくれることになるので、若干ガマンのシーンかもしれないです。まあ挿入するシーンとしては妥当でしょう。

 

↑ダメダメペレス神父、です。

 

 演出も凝ってますよ。

 

↑なかなかにこれ、怖いんですよ。カット割りでもちゃんと怖さを演出してます。ゾッとしますよね。

 

 そしてミアさん、地下室に行きますよ、エレベーターで。いやなにもこんな時に、こんなとこに来なくても、しかもエレベーターに乗ってまで来なくていいのに、とわたしは思いました。必要に駆られてかもしれませんけど、それならそれでジョンと一緒に来ればいい話じゃないですか。いやいや、そもそもなんでこの地下室こんなに暗いんや、てことはありますけどね。地下室いうか、地下ロッカー室、みたいな。

 

↑こんなとこにくるからタイヘンなことになるんですよ。

 

 わたし実は本作を観た翌日に、一泊家族旅行で上高地に行きましてね、中の湯温泉旅館ていうホテルに泊まったのですよ。で、お部屋は2階にありましてね、1階のロビーからエレベーターに乗るんですね。で、チェックイン済ませて2階のお部屋(お部屋は「かすみ」というとってもいいお部屋でした)に行こうとエレベーターに乗りましたらね、なんかボタンが「2、1、B1」てあったんですよ。「え、B1てなに?」て話になりましてね。だってなんの説明もないわけですよ。お風呂もレストランも宴会場もみんな1階ですよ。地下一階、なんて言葉はいっさい出てこなかったんですね、チェックインのとき。で、わたし、お風呂に入りに行って、その帰りに(わたし家族構成、わたしと妻と娘二人ですので、こういうときのお風呂は常に単独行動となります)エレベーターに乗ってB1階へ降りてみました。そしたら、ドアが開いたときに見た光景が、なんかこの映画のそれにものすごく似てましてね、チビリそうになりましたよ。冒険心はあだとなりますから、みなさんも気を付けてくださいね。ショボーン

 

 閑話休題。

 

 その後、どんどんアメリカンホラーテイストになってきます。そもそも悪魔ってのが日本にはない解釈なので、アメリカ感満載なんですけどね。悪魔は、なんでしょう、日本でいったら鬼なんですかね。まあ、としても解釈の違いは随所にありますからね、観ていてとっても面白いですよ。

 

↑これがすべてを物語ってるようなアメリカ感、ですね。人形のうしろに悪魔がいます。

 

 で、そうなってくるともうそこかしこに「エクソシスト」と「オーメン」がちりばめられてきます。教会で預かると言ってペレス神父が人形を持ち出すのですけれども、まさに「エクソシスト」+「オーメン」といった様相ですよね。

 

↑教会の神父といえども、悪魔に対して万能ではないのですね。

 

↑で、ペレス神父、こうなりました。なにせ生きててよかったです。

 

 もうね、とにかく最初っから最後までドキドキ感は消えなかったですね。純粋におもしろい(怖い)ホラー映画です。一作目の「死霊館」に匹敵するほどの映画だと、わたしは思います。まあちょっとしたザンネンなところとかを差し引いても1個引くだけでいいのですけれども、「死霊館」はやはり一番面白いと現時点では思いますので、ひとつ減らして9個、ただし本作を超えてくるシリーズがこのあとあるかもしれないので、それを踏まえて8つ、という結果にしております。ので、限りなく10に近い8だと思っていただければよいかと思います。めんどくさくてすみません。m(_ _)m

 

 最後は、救世主的に表れたエヴリンさん(アルフレ・ウッダード)がかっこよく収めてくれました。ここはまったくの「エクソシスト」ではありましたが、オマージュなのでしょうか、リスペクトなのでしょうか。でもまったく違和感ないですよ。とにかくこの怖さが終わってくれてホッとした、という感じでした。

 

↑強い味方になってくれました。おねがい

 

 パトリック・ウィルソンとヴェラ・ファーミガが出てこなかったのはちょっぴりザンネン。出てくるかと思わせといて、って感じでしたからね。この夫妻に人形が渡った経緯は描かれませんでしたから、そのうち新作として出てくるのでしょうかね。

 

 まあ、それは今後のお楽しみといたしまして、そうか、悪魔がすべてを操作しているのだから、あの人形の顔も実は当事者にはかわいく見えてんのかなあ、と思いつつ。神父の言う、「神が全霊を傾けた傑作、それは母の愛」というセリフは普通に泣けましたよ。いい映画です。照れ

 

今日の一言

「夜のエレベーターに一人で乗ってはいけません」

 

レビュー さくいん