まだ私が吹けていないケーナたち(その1) | ふぉるくろーれ夜話/mitaquenaのブログ 

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仕事をリタイアしてから始めたケーナの演奏をきっかけに、思い出したり思いついたりした、主にフォルクローレに関するよしなしごとを綴ります。

※※超絶長くなったので続き物にします。なお最終話に「ご注意」(これからケーナを買う人へ)が入る予定です※※

 

当ブログ「ふぉるくろーれ夜話」を始めて一か月が経ち、記事数も既に20を超えた。

これも皆さんが、こんなダラダラした長文を読んで下さっていることに、生来怠惰な私が励まされた結果による。

いつもご訪問下さりありがとうございます。そしてこれからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m

 

さて、ブログの書き手が管理画面から閲覧できる「アクセス解析」によれば、現在当ブログで最も読まれている記事は、ダントツでいま私が吹いているケーナたち」である(やはり当ブログの取扱い範囲の中では、ケーナの話題は強い。フォルクローレと言えばまずはケーナ、だからだろうか。反対に、特定の曲を巡る話や、ボリビア盤レコード噺、コレクター噺は、どれだけ魂を込めて書いた記事も、ほとんど需要が無い。そらまあ、そーだろーよ、と書く前から分かってはいたけれど、現実を目の当たりにすると、少し悲しい😢)。

 

今回は、その記事にあやかり、テーマを全て裏返しにして、ちょうど対になる「まだ私が吹けていないケーナたち」を書いてみることにした。

ちょっと、調子ブッこいてるかもしれないw 

大体、自ら2匹目のドジョウ狙いに行くとズッコケる、というのが世間の相場なのだがww

まあ、一種の「B面」です。さらに言えば、一種の「懺悔話」「反省文」「始末書」でもあります…(;^_^A

 

すなわち今回は、私が所有はしているものの、そして各個体が高いポテンシャルを有してはいるものの、現状は実態として、あまり出番が無いケーナたちにスポットを当て、それぞれの①概要・特徴と、②なぜこれまで吹く機会が少なかったのか③久しぶりに吹いてみたらどうだったか)、④今後の活用の見通し――を、反省と懺悔と頭の整理とを兼ねて、一本ずつ、書き留めておきたい。

 

別記事「3オクターブのシが出ない!問題」の時と揃えて、私が今一番苦手としている課題曲「カルナバル・グランデ」を各個体で通して吹いてみた(G管のみ)。

 

今回ご紹介するのは、

1.J. C. ママニ J.C. Mamani のG管黒檀ケーナ

2.アンヘル・サンペドロ・デル・リオ Angel Sanpedro del Rio のG管寄木歌口ケーナ

3.アチャ Achá のG管リグナムバイタケーナ

4.イバン・アランドレス Iván Alandres のG管バンブーケーナ

5.ワラータ工房 Walata のG管極太バンブーケーナ

6.ヤマハのG管カエデケーナ「QEN」

7.ホルヘ・"アハユ"・ロドリゲス Jorge "Ajayu" Rodriguez のF管バンブーケーナ

8.レイナルド・ベガ Reynald Vega のD管バンブーケーナ

 

――である。

この後、いつものようにグダグダ~と長文になだれ込んでいくので、読者の時短のために、結論を先に示しておくと

 

1.自分の現在の力量や具体的な用途を全く考慮せずに、「憧れ」や「胸のトキメキ✨」先行で手に入れてしまった。

2.持っているのに吹けていない理由「あるある」は、「6過ぎ」(後述)。

  (それ以前にアンタ、ケーナ買い過ぎやろっ!!! ハイ仰せの通りです、ごめんなさいごめんなさい…m(__)m)

3.総じて良いケーナだと思うが、悲しい哉、なんせ持ち主がヘタっぴなので、各個体が秘めた高いポテンシャルを活かせていない。

4.今後私がケーナ吹きとして成長して、少しずつ「宝の持ち腐れ」状態を解消し、各個体の活用を図っていきたい。

5.今の世の中には、ちょっと探せば、良質なケーナが溢れかえっている。そんな中で、うっかりコレクター気質を発揮してしまうと、いとも簡単にケーナ・コレクションの底なし沼にハマって、ケーナ上達においては途方もない回り道になり得るうえに、大量のケーナを死蔵するうしろめたさまで抱え込まねばならなくなるので、要注意!!


さて、やはり前置きが長くなったが、これでようやくお膳立てが整った。

よって、ここから安心してグダグダとウンチク話へ突入する――

 

 

1.J. C. ママニ J.C. Mamani のG管黒檀ケーナ

(外径27、内径19、指穴最大13、歌口幅11、歌口穴深さ8.5、全長379mm)

①概要・特徴

作者は、ケーナ奏者のフアン・カルロス・ママニ Juan Carlos Mamani(通称「JC ママニ」)。

ソリスタ(ソロのケーナ奏者)として名を馳せ、数枚のソロCDを出し、一時期、一流フシオングループのWaraでも吹いていた。今の若い人には、秋元広行さんのアナタ・ボリビアで派手にケーナ吹いている人と言った方が伝わりやすいだろうか。

ロランド・エンシーナス以降の若い世代(といっても彼も今では既に中堅~ベテランの域だが)のボリビアのケーナ奏者として、いとも容易く軽やかに超絶テクニックを次から次へと繰り出していく圧倒的なパフォーマンスと、自作の黒檀ケーナで爆音なのに伸びやかで澄み切った高音を奏でることで知られる。

私の中では、ケーナは前屈みになってアゴで吹く!系の奏者として認識(同様にルーチョ・カブールは肩の張り出しと腰の捻りで、ルシアーノ・カジェーハスは首の前後運動で吹いている、ように見えるw)。

YouTubeの公式チャンネルがあるので、興味のある方はぜひ一度彼の演奏をご堪能頂きたい。

 

特に、このタイピスでのライブにおける、ケーナの名曲メドレーが圧巻。

ドラムの音に全然負けていないうえに、伸びやか滑らかな音色だ。

 

こちらはもう少し若い頃のMV。

日本では、山梨の「ファンタシア」さんが(たしか一時は「マチュピチュ」さんも)取り扱っている(いた)。

その黒檀ケーナ。彼が演奏で使っているのとほぼ同じ仕様のモデルのように見える(厳密には一世代前のモデルのため、銀色の飾りが一か所しか付いていない)。

実際に手に取ると、比重が最も重い木材の一つである(水に入れると沈む)黒檀製の太目のケーナなので、ずっしりと重い。

指穴、歌口及び口に当たる管の周りの加工処理が非常に丁寧で、指穴が大きい割には、穴を塞ぎやすい気がする。

音も、小さな音から爆音まで大小・高低・緩急も自由自在で、4オクターブのソまで、ヘタっぴの私でもフツーに出せる

まさに夢のスーパーケーナと言っても過言ではない。

 

②なぜこれまで吹く機会が少なかったのか

ひとえに私の力量不足ゆえ。そしてそれさえ自覚することなく入手したから。

 

完全に分不相応でした。誠に申し訳ございませんm(__)m

夢のスーパーケーナと書いたが、いまの私には、①管太過ぎ、②歌口広過ぎ&③深過ぎ、④指穴大き過ぎ、⑤息消費し過ぎ、そして⑥重すぎ私には合計6過ぎの過ぎ物である。

 

ハイ、まさに豚に真珠、猫に小判

コレさえあれば、ワイも明日からJCママニや~!」って、ムシのいい夢を見てしまった私が悪いんです、すんませんすんませんm(__)m

でも、そんな都合の良い夢を見させるくらいの演奏家であり製作者だと思う。

 

③久しぶりに吹いてみたらどうだったか

一応何とか「カルナバル・グランデ」を通して吹くには吹けた。

高音の出がスムーズで、音色が美しい。特に3オクターブの音はキンキンしがちで、木製ケーナなら尚更だが、このケーナはむしろ滑らかまろやかな音が出るのが、すごいと改めて感じた。

だから、ものすごい良いケーナなのは間違いないが、やはり初級者の私が吹きこなすには程遠く、名器に振り回されているというか、魔笛に息を吸い取られている感じwもした。

 

④今後の活用の見通し

ビエントス奏者が一人だけの少人数編成のコンフントで、腕っこきのケニスタがブイブイ言わせるの(例えば、JCご本人や、現サビア・アンディーナのエドウィン・エレーラみたいな感じで吹ける方)には、最適なケーナだと思う。

今回試奏する前は、既に五十路を歩む私が、本器を吹くだなんて一生ムリかも…と、弱気になっていた。

しかし、日々の練習の成果が徐々に表れ始めているのを実感している今、淡い希望も心に湧いてきた。

いま良く吹いている、管細め、歌口狭め&浅め、指穴小さめ、そして軽めの(すなわち本個体と真逆の)ケーナたちに、もう少し鍛えてもらえば、もしかしたらいつかは、このケーナを扱える日が来るかもしれない…。

少人数コンフントで、一人ビエントスを務める時に向けて、これから少しずつ、触れていきたい。(次回へ続く)