木下尊惇さんの近作CDが胸熱すぎて涙が出そう ๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐ | ふぉるくろーれ夜話/mitaquenaのブログ 

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仕事をリタイアしてから始めたケーナの演奏をきっかけに、思い出したり思いついたりした、主にフォルクローレに関するよしなしごとを綴ります。

いやー知らなかった。こんな傑作CDが最近になって、しかも身近なところで出ていただなんて…。

昔は良かった爺さん」になりかけてる自分が、近作のフォルクローレアルバムに、思う存分やられ放題され放題に心を揺さぶられるとは、思ってもみなかった。

 

自主製作アルバムなのか、ネットで検索しても情報が殆ど出てこない。販路もごく限られていそうだ。よって、知らずにいるフォルクローレ愛好家も多いのではないか。

当ブログでは「埋もれた名盤」をよく紹介しているが、今回は、この素晴らしいアルバムたちを、将来の「埋もれた名盤」にしないために、微力ながら取り上げたい。

 

さて先日、「アンデスの家ボリビア」への訪問記を書いたが、店内物色中に、CD棚にボリビア盤CDに混じって、紙製ジャケットの薄手のアルバムが3枚並んでいて、どこか異彩を放っていたので、手に取ってみた。

木下尊惇(Takaatsu Kinoshita)さんの近作日本盤アルバム3枚だった。

 

 

木下尊惇さんといえば、日本のフォルクローレ愛好家で知らない人はいない、というくらいの大御所。一言で言えば「日本が生んだボリビアのフォルクローレ・ギターのマエストロ(名人)」である。

 

1982年に偉大なるチャランゴ奏者、エルネスト・カブールの強い勧めで、ボリビアへ渡り、様々なグループに参加して音楽修行を重ねつつ、「ルス・デル・アンデ Luz del Ande」のリーダーとして活躍。1990年に日本への凱旋公演も果たした。

現在は帰国し、全国各地でギター・チャランゴの演奏活動をソロやセッションで続ける傍ら、耕作放棄地を田んぼに戻す活動等にも取り組んでおられるという。

2017年ラバス市文化庁より、長年の文化功労を称えた認定表彰を受ける等、帰日後もボリビアでリスペクトされ続けている存在だ。

 

なお、2005年までの木下さんの略歴については、公式サイトよりも、Wikiセンセよりも、「ディスコアンディーノ」さん(活動休止中?)の特設ページがディスコグラフィも含まれており、非常に詳しい。

また、これまでの歩みと近況は、2024年5月に出演された鎌倉ワールドラジオの動画と説明にてご本人が演奏を交えて語っていらっしゃるので、こちらを視聴すると良く分かる(おしゃべりが日西バイリンガルで進むのに驚かされたが、番組中に木下さんがギターで弾いたA.アルテアガのチャランゴの名曲「Los Mineros」が、ギター版カランペアードのような革新的な奏法で奏でられ、すさまじかった)。

 

さて、そんな木下尊惇さんの音楽だが、正直に告白すると、私は今まであまり熱心に聴いていなかった(己の不明を恥じるばかりである)。

10代の頃、神奈川県足柄上郡松田町にあった「アンデスの家ボリビア」を訪ねると、その都度、ご主人の福岡稔さん(当時)や周りの人たちから、問わず語りで尊惇さん噺(ボリビアでの本人の活動近況や、尊惇さん経由でもたらされた最新の現地事情等)をたくさん耳にした。ネットもYouTubeも無かった時代、それは大変貴重な情報だったが、当時の私には、ギターというものの重要性が全く分かっていなかった。

やっぱ、ケーナ・サンポーニャ・チャランゴでしょ!?と。無知は恐ろしい。

(その後、ウーゴ・バランコス Hugo Balancos等を好きになり、リスナーとしてフォロクローレ・ギターの魅力を知り、今は同好会での演奏活動で、コンフント演奏の音やリズムの屋台骨としてのギターの重要性を痛感している)

また「ルス・デル・アンデ」の音盤も2枚買って聞いたが、私にはピンとこなかった。

 

そんな私にとって、木下尊惇さんは(大変失礼だが)演奏を通じてよりも、「オーラ!アミーゴス」へ寄稿や、アレハンドロ・カマラ(超絶テクニックのチャランゴ奏者)等のCDのライナーノーツなどを通じて、ボリビア音楽文化の名解説で、大きな恩恵を受けていた。

 

それが今回は、期せずして、ボリビア伝統音楽文化の偉大な表現者としての木下尊惇さんを、近作を通して痛切に思い知らされた。

 

店内で一部試聴したときは、ああ、良さげだなあ、昔の木下さんのどこか尖った演奏から随分と変わったなあ…と感じた。そこで3枚のアルバムをまるっと買って持ち帰り、自宅で改めて、ゆったりと聴いてみた。

 

――で、これが言葉にならないくらい凄かった。

言葉にしないとブログにならないので、今から試みたいが、既に導入部だけでいつもの通りの長文になったので、いったんここで区切り、次回、各アルバムの感想を述べたい。■