「YさんのTOEFL ITPの勉強方法とは?」
私と出会って1年4か月で、テンプル大学ジャパンのBridge Program に合格したYさんが、どうやってここまでたどり着いたかをご説明させていただきます。
最初の6か月は英検準2級と2級の合格に使いました。そのあとの10か月で、TOEFL ITPの受験対策をしなければなりませんでした。その時に使った教材は、6冊になります。
「あなたは、この6冊をすべて5周させなさい!」
そう言われたら、どんな気持ちになりますか?与えられた時間の制限があります。Yさんもクラスメートと一緒に卒業して、この4月から大学生になった彼らを見つめながら、せめて9月始まりの学期には入学させてあげたいと思うなら、無理を承知で対策するしかないのです。
TOEFLそのものの対策本は、非常に少ないのが現状です。それは、海外の大学への進学者数が少ないからです。そのために、教材の売り上げが多くは見込めないという、出版社側の経営上の理由もあります。
だから、東大の大学院に進学希望する人たちの使っている教材を探して、Yさんにもやっていただきました。Yさんの住んでいる地域では、実際に海外の大学へ学位留学する人はいません。また、TOEFL対策の予備校もないです。TOEFLなんか聞いたことがない人の方が多いのです。当然、高校の先生も全く受験したことがないのですから。
そんな環境の中で、英検2級合格の時点から、どうやってTOEFLを指導していいかを考えました。無理を承知で、高校の英文法よりもレベルの高い問題を解いてもらうために、「特訓」をしてきました。
「毎日が特訓。」
お母様が見て来たYさんのいつもの姿なのです。
教材で言えば、文法とリスニングの教材は、すでに10周以上回しています。そして、英単語も5周は越えています。そこまでやっても、TOEFL ITPを2回受験した段階で、480点なのです。それは、脳に定着するまでには、実際に時間がかかるということです。すぐには結果が伴わないのが、外国語の習得です。しかしながら、ここで奇跡と呼ぶにふさわしい変化がありました。
リスニング 52
文法 48
リーディング 44
合計が480点。
ここで注目していただきたいのは、リスニングです。このリスニング52という点数は、実はTOEFL ITP550点のリスニング力に値します。つまり、2回目の受験の時に、すでに550点ラインのリスニングの力をつけていたということになります。大勢の日本人受験者は、文法とリーディングで点数を稼ぐ方向で対策しますが、Yさんは全く逆の傾向になりました。
550点レベルのスコア関係
リスニング 52
文法 58(48は450点レベル)
リーディング 55(44は450点レベル)
合計550点。
それは、どうしてリスニングが飛躍的に伸びたか、お判りでしょうか?
それは「たぐいまれなる聴覚の持ち主」だからです。
小さい頃からずっとピアノを弾いていることで、聴覚が鍛えられているのです。練習する際に音を聞きながら、自分のピアノの引き方を調整するはずです。だから、音そのものを聞き分ける才能を持っているわけです。従って、英単語の意味さえわかれば、リスニングの際に聞こえてくる音をつかんで、そのイメージを脳の中で作り上げて、全体の意味をつかむことがYさんには容易にできることになります。だから、こうして時間をかけて練習することで、リスニングの点数が実際に短時間で上がってきたのです。
「吹奏楽の部員や音大の学生は、語学にはぴったりの聴覚をお持ちです。」
私が10年くらい前に家庭教師で担当した姉妹の中学生は、ともに吹奏楽の部員でした。だから、高校入試のリスニングはともに満点だったのです。鍛えると、すぐに反応して来て、頼もしかったです。だから、Yさんも同じようにリスニングで結果が出るのです。
「U君も、10年間ピアノの練習をして来た。」
日本人が苦手とするリスニングですが、楽器を演奏する人たちには特別に鍛え上げられた聴覚があります。だから、他の受験者と違い、あまりストレスを感じないで、英語を聞き取れることが出来るのです。
「部活は、吹奏楽部!」
「通うのは、ピアノ教室」
「輝かしい未来のために、お前もやるんだ!」
こんなことを言う親御さんが増えて来るのではなかなあと思っています。
ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。
感謝