これは中編マンガなんだけど、本当は長編で描いてもらいたいようなお話でした。
そしてものすごくひとみ先生らしい。ひとみ先生の良いところがいっぱいの内容でした。
先生の初期の頃の歴史小説タイプのストーリーです。「ハプスブルクの宝剣」や「ブルボンの封印」みたいな歴史ロマン。
面白かったけど、マンガだからページの制約のせいでかなり端折られている印象が強くて、そこが残念です。
中世のポメラニア公国の王女さまが主人公。悪役ナポリ王妃によって国を乗っ取られて、自分も殺されそうになって・・・。
ところが幼馴染のお医者さんに助けられ、復讐のために男として生きていく。
罠に掛けられたり、海賊になったり、初恋の相手と敵対する立場になったり、波乱万丈なんだけど、最後には復讐を遂げることができる。でも、自分の血なまぐささに虚しさを感じていると、そこにはいつも支えてくれていた幼馴染がいた・・・。
このストーリーを小説にしようっていう話は出なかったんだろうな。
私が編集者さんだったら、長編小説として書き直してくれ!と言うだろう。絶対面白いものを書いてくれそうなのになー。
最近読んだ作品(スズと新銀薔薇)が続けて納得のいかない内容だったので、とくにそう思ってしまう。
歴史小説を書き始めた頃の先生の情熱が好きなんだけど、最近の作品はそういう情熱が感じられないんですよね。ベテランの人ほど昔のような情熱を持ち続けるのは難しいということは、なんとなく想像がつくのだけれど、されど先生の情熱カムバーーーーック!!(叫)