(陶片を塀の屋根にてんこ盛りにした土塀=岡山県備前市伊部 2024年1月6日撮影)
千年以上にわたり焼き物を作り続けてきた岡山県備前市伊部(いんべ)は、焼き物の産地ならではの光景がそこかしこに見られます。
そんな伊部の里の様子を「千年の窯業地 備前焼 伊部の里」と題しシリーズでお届けしています。
伊部には数多くのバリエーション豊かな土塀が残されており、まさに "土塀の宝庫" です。
その中から今回ご紹介するのは、塀の屋根に備前焼の陶片がてんこ盛りにされた土塀です。
陶片がオブジェのように誇らしく飾られていますので「陶片オブジェ土塀」と呼ばせて頂く事にしました。
陶片は備前焼の甕や壺、鉢など。
塀には骨材として陶片や石、レンガと言った廃材が埋め込まれ、塀に独特の趣きを与えています。
こうした廃材再利用土塀は伊部のあちらこちらで見られます。
日本から失われつつある土塀は、庶民の暮らしに寄り添り、庶民の暮らしと共にあった名もなき建築遺産ですが、こられが注目されることは残念ながら余りありません。
さて、この陶片オブジェ土塀は南秋窯さんのもの。
塀越しに登り窯の煙突が見えますね。
少し分かり難いですが、軽トラの奥に見える塀がそれです。
ストリートビューで国道2号線から撮影されたもの。
JR伊部駅からほど近く、伊部の地に降り立ったビジターの皆さんがこうした塀を目にすると「備前焼の里に来た!」と言う実感も増すのではないでしょうか。
陶片オブジェ土塀はもしかすると、そうした "おもてなしの心" なのかも知れないですね。
以上、伊部散策にお役立て頂けましたら幸いです。
(写真)陶片オブジェ土塀 岡山県備前市伊部 2024年1月4日、6日撮影