小説家の作り方 (メディアワークス文庫)/アスキーメディアワークス
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「小説家の作り方」
野崎まど、著。 2011年
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内容(「BOOK」データベースより)
「小説の書き方を教えていただけませんでしょうか。私は、この世で一番面白い小説のアイデアを閃いてしまったのです―」。駆け出しの作家・物実のもとに初めて来たファンレター。それは小説執筆指南の依頼だった。出向いた喫茶店にいたのは、世間知らずでどこかズレている女性・紫。先のファンレター以外全く文章を書いたことがないという紫に、物実は「小説の書き方」を指導していくが―。野崎まどが放つ渾身のミステリー・ノベル改め「ノベル・ミステリー」登場。
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「この世で一番面白い小説」
私にとって、現在の暫定一位は「アルジャーノンに花束を」だが、これとてその時々によって揺れ動く。
また“面白さ”というものを、どう規定するかによって結論は流動的であるだろう。
ましてや、誰が読んでも“この世で一番面白い小説”となると、現実には存在し得ないだろう。
そんな存在し得ないものを想定してしまうのが野崎まど的創作法。
前半はボーイ・ミーツ・ガール的なストーリー展開。
小説の作り方を教わる少しおかしな美少女と、主人公の普通さとのギャップがコミカルで面白い。
美少女が書こうとしている“この世で一番面白い小説”なるものへの興味が、この小説のスパイスとなって、読者をけん引する。
ほのぼのとした青春ドラマ風の展開に欺かれ、『さて、その小説とは? ♪』などと呑気な読者化していると……。
げっ!
後半、突如のちゃぶ台返し!
世界は一変する。
えええ~っ!
これ、そういう小説だったの!
と。
この驚きこそが、野崎作品を読む醍醐味。
相変わらず、なんという離れ業。
反則ぎりぎりというか、反則というか……。
突如タイツの中からフォークみたいな。
可愛い顔した少女のタイツから突如フォーク。
このギャップは悪役レスラーの比ではない。
「美少女のタイツから出されたフォーク♪」
なんて萌えはない。
「刺しちゃいますよ。えへっ♪」
などという、見せフォークじゃない。
突如、グサッ!
えっ!?
何、これ。
突然刺されてるんですけど!
━みたいな。
この突然の世界観転換のインパクトには、麻薬的魅力がある。
やはり、この作品も野崎まど。
そんな感じです。
『小説家の作り方』。
またやられてしまった♪
『2』を先に読んでしまっていたのだが、全く問題なしでした。
面白かったです♪♪♪