町田そのこ「ぎょらん」 | 虹がでたなら

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去年読んだ本の中で、一番泣いた本⋯、町田そのこ「ぎょらん」。

人が死ぬ際に残す赤い珠。
赤くて小さくて魚の卵のようだから「ぎょらん」と呼ばれている。
見つけた人がその珠を噛み潰すと、死者の最期の願いが分かると言われている。
かつて友人のぎょらんを潰してその思いを知ってしまったことから引きこもりになった青年、朱鷺。
「ぎょらん」にこだわり続け、調べる一方、葬儀屋で働くようになる。
「ぎょらん」にまつわるエピソードで、様々な人と関わっていく。
7つの短編がどれも切なくて、でもそれぞれに希望があって、涙、涙…でした。

親しい人が亡くなったとき、後悔する気持ちがきっとある。
もっとこうしていれば、もっと話していれば、もっと大切にしていれば…。
そんな気持ちが「ぎょらん」となって、自分の思いが相手の気持ちのように見えてしまうのかも。