「この世界の片隅に」 | 虹がでたなら

虹がでたなら

わくわく・どきどき・しみじみ…なものたち


ほのぼのとしていて切なくて。
悲しいけれど温かくて。
見終わったときにいろいろな感情が押し寄せて、じわっと涙があふれてくる映画でした。

戦時中、呉にお嫁に行ったすず。
見初めてくれた周作さんとご両親、離婚して戻ってきた義姉とその娘と、ささやかな日常を送る。

厳しくなる戦争の中で、工夫を凝らして料理をしたり、大好きな絵を描いていて憲兵にとがめられたり、クスッとするやりとりがたくさんあります。

だんだん空襲が激しくなり、つらい出来事が次々と起こるけれど、周作さんと支え合いながら乗り越えていく。

最後ははるみの代わりとも思えるような女の子と出会い、希望が生まれます。

家族や大切な人が笑って暮らすことが何よりも幸せなこと…としみじみ感じました。
そして、この世界の片隅に、うちを見つけてくれてありがとう…という言葉が心に沁みました。

映画のテンポが早く、ことばも広島弁なので、展開についていけなくなりそうな場面もあったけれど、原作を読んでおいたので、大丈夫だった。
原作を読んでから観ても、かえって感動が深まります。

原作では、かつて周作さんと関係があったりんさんとの関わりが描かれていたのですが、映画はそこははぶかれ、その分、周作さんとの真っ直ぐな愛がいっそう強く感じられました。
それでも、りんさんが持っていた周作さんのメモに使われていた、帳面の切り取られた部分が、映画でもしっかり描かれていた!
そして、エンドロールのイラストの中で、そのメモが登場していました。
私は感動にひたっていて、エンドロールはそれこそ「ぼ~っとして」観ていたので、りんさんのエピソードをかなり見逃しました。
もう一度観て確認したい!

それにしても、のんさんの、ほんわかした雰囲気とのんびりした話し方が、本当に「ぼ~っとしている」すずさんそのもので、可愛らしかった!