「関谷富貴の世界」展 | 虹がでたなら

虹がでたなら

わくわく・どきどき・しみじみ…なものたち

「妻の遺した秘密の絵」
…というドキドキするようなサブタイトルがつけられた「関谷富貴の世界」展が、栃木県立美術館で開催されています。

栃木県出身の、関谷陽さんという画家の妻である富貴さん。
夫の画家としての成功を支えるのが妻としての役割、と夫を支え続けたそうです。
虹がでたなら-2011052816110000.jpg
このポスターの絵は、その関谷陽さんが描いた富貴さん。
伏せた視線が、控えめながら、何か秘めた強さを感じさせます。

富貴さんは、陽さんを支えながら自分でも絵を描いていたそうです。
でも、決して表に出ることはなく、今回初めてその絵が一般公開されることになったらしいです。

絵の勉強をしたわけでもなく、自分の楽しみとして描いていた富貴さんの絵は、クレーを思わせるような抽象的な絵が多かったです。虹がでたなら-2011052816120000.jpg

虹がでたなら-2011052816120001.jpg

虹がでたなら-2011052816120002.jpg

絵から感じるのは「自由」。
タイトルもつけられてなく、上下左右もわからないというたくさんの絵は、
色も、線も、形も、技法も、とりとめがなくのびのび自由。

でも存在感!

パステルを何色もぬりかさねて、削って線を描いた絵は、よく幼稚園で子どもが描く絵にも似てるけど、
色の重なり具合や線から広がるイメージは、深い!です。

よく見ると、ぞうとか魚とかおたまじゃくしのような物も隠れています。

何だろう?
…と一枚一枚、発見と妄想が楽しめます!

後半ずらずらっと並ぶ「顔シリーズ」は、ちょっと違う雰囲気。
色や線の自由さは相変わらずだけど、あまり楽しい雰囲気ではない…と私は感じました。

表情がわからない、ぐちゃぐちゃと塗られた顔ばかりなのです。

夫から一歩下がって支え続ける自分…。
隠している感情があったのかな?…と思ったりもします。

それにしても。
富貴さんのように、特に絵で名を成すことを望むこともなく、
表に現れることもないまま、
素晴らしい才能を秘めている人が、きっとたくさんいるのでしょうね…。