Claude Maury(ホルン奏者)の記事に基づいてOmnitonic Hornについて考察していく連載その8,今日は、Gautrot seniorのオムニトニック・ホルンのつづきです。
Mauryの文章から引用
1847年7月1日の特許5874最初の特許は、「ホーン、ホルン、ネオコル、トランペット、などの金管楽器の改良に関するものです。 「1847年7月1日に撮影されたものは、ベルリンの音楽博物館に保管されていたものに似た楽器について説明しています。これは、可動タップとダブルコードスライドを備え、3つのシリンダーを備えた楽器であり、さまざまな組み合わせにより、Si [b]、La、Lab、Sol、Fa、 sMi、Mib、Ré、Ut、およびSi [b]への移調が可能です。
ホルン、トランペット、コルネット、およびその他の同様の楽器のための特別な変更が非常に大きな改善とみなされることを再び思い起こされます。
調を簡単に変更できるため、これまでにシステムで実行する必要のある多数のcrookを不要にします。たとえば、通常のホルンでは、この楽器が影響を受けやすいさまざまな調で演奏するには、10のcrookが必要です。
これには、それらを一纏めにする入れ物が必要があり、奏者にとっては非常にボリュームがあり、重くて不格好なケースおなります。
奏者、とくに軍楽隊のメンバーにとっては駐屯地を変更し、窮屈な状況で宿泊施設を見つけることをしばしば求められるました。
さらに、パレード、行進、または雑誌で、奏者は、演奏しなければならないさまざまな曲に必要なcrookを事前に準備しなければならず、そのcrookをどこに置くべきかで迷い、そして長時間の演奏は出来ないことになります。
crookに取って代わるシステムです。これらの欠点をすべて回避します。楽器を調整する義務を負うことなく、奏者の意志で常に10種類の調で楽器を演奏できます。 他の管を分解または再組み立てするものは何もありません。追加部品を心配する必要はありません。ボタン、シリンダーを回す、または管を延長または短縮するだけです。
これにより、口からベルまでボアを保つことができるという利点があります。これにより、完全に規則的な音色、より大きな音、より簡単な実行、そしてより高い精度が得られます。
確かにRaoux Millereauのホルンのようなホルンは、ナチュラルホルンとしてもバルブホルンとしても使うことが出来、crookを変更することで、あらゆる調に対応可能ですが、単一楽器に比べ、かさばり、持ち運びも大変そうです。
Morley-Peggeは、ダブルコードスライドに関連付けられた可動タップを備えたシリンダーの複雑な操作は、通常のホルンと同様に音の操作と少なくとも同じくらい煩わしいと考えています。単純なホルンと比較すると、当時の楽器奏者は本発明に多くの関心を示しませんでした。
ただし、楽器にはさまざまなスペア調が組み込まれており、追加の独立した部品は必要ありません。
さらに、Gautrotは、フレンチホルンがピストンで演奏こすることとができるという説明的な着想を予見します。これは間違いなく、ピストンを備えたオムニトニック・ホルンの最初のモデルを構成します。
これらの点を検証するために、彼は論文にベルのない奇妙な形のホルンの描画を追加し、不思議なことに、2年前に特許を取得したlesssaxotrombasについてAdolphe Saxが提案したアイデアのいくつかを再び取り上げました。
私も同じ成功から初めに言ったように添付図面に従ってピストンホルン、フレンチホルン、トランペット、ネオコアなどのシステムを申請します。
4番目は、ピストンホルンのために私が想像した配置の分解図です。
スペアパーツなしで異なるサウンドを再生する利点に加えて、乗馬時に片方の手で楽器を完全に持ち、もう片方の手でガイドを保持し、非常に簡単に演奏できるという点で完全に奏者が楽器を構えられるように作られています。
一方で、このホルンはその本質的、即ちベルに手を入れて後方に向かう広いベルとその特徴的なボアの特性を失っています。-ホルンよりもサクソルンに近い図面の-
他方、Gautrotは、ここではピストンホルンに適用されるシステムに対して行われるべき補償について言及していません。ピストンのサブ管は、高音Bから低音Bまでの各音色に必要な異なる長さに適応しているとは限らないことを恐れてください。
彼が最初に特許をとった手動固定シリンダーともいうべきものを使ったオムニトニック・ホルンは、後に紹介するように、調を変更する手順は大変複雑です。それでも、沢山のcrookを持って騎乗で演奏する軍楽隊の事を考えれば、画期的な発明だったのでしょう。
さらに、彼は、そのような手動固定シリンダーとピストンを同時に有する。まるでサクソルンのような構成を追加申請していますが、この特許を実装した楽器は知られていません。
昨日のシリンダーを使った移調システムについては、Gautrotが特許申請する以前にも使用されていたことが知られています。
話は、Mauryの話からは、ずれますが、CONNから製品化されたそのようなホルンについて紹介しましょう。
図にも書かれている通りF、E♭、D、C管に瞬時に変更可能と書かれています。残念ながらコンペンセイティングシステムはついていませんし、ホルンのなかまではありますがメロホンです。
では、手動固定シリンダーを使った移調システムとは、どんなものなのでしょうか
簡便な図で説明しましょう。
丁度正八角形の接する円の各頂点を上図の円の青線のように結ぶ穴をあけたシリンダーを外の管(緑)と丁度図のようにそれぞれが接続するように配置します。
勿論、各ピストンにもサブ管がありますが、こでは省略します。
この穴があいたシリンダーを手動で回転可能なようにして、シリンダーを穴一つ分右に回します。
すると右の緑の管が、全体の管に追加され楽器の基本調がかわります。
同様に、右に回していくと
となり、4つの調の移調システムが可能となります。
4つの移調システムではオムニシステムとは言い難いかもしれませんが、実は、 Gautrotも同じような移調システムを特許に追加していますが、更に複雑です。それは、単一シリンダーによる10の調への移調システムです。この連載の中で、それも紹介できるでしょう。
1847年9月20日の特許5874への最初の追加特許出願の2か月半後、Gautrotは「いくつかの新しい修正から成る最初の追加を行いました。
実際、この最初の追加はホルンに直接関係しませんが、「形状や寸法に関係なく、さまざまな金管楽器に同じ利点を適用できます」。
移調システムは元の特許と同じですが、Gautrotは3つではなく「1つの同じバルブ、または回転シリンダー」を提供しています。
それは確かに改善というよりも修正です。
サクソ・トロンバの形式と配置を決定する際、軍事音楽に適用されるこれらの楽器が満たす必要のある条件、つまり休憩中、徒歩、または乗馬に常に演奏可能である必要がありました。
たとえば、最も注意が必要なすべてのポジションの乗馬では、楽器は腰を越えません。それ は、左腕と鞍の側面の間に保持され、いわばその体の一部を形成し、そのすべての動きに追従します。これにより、メンテナンス、口、運指がかなり容易になります。
ベルは高い位置に置かれ、左から右にわずかに傾いており、パフォーマーの頭の上の音を導き、衣服や地面でそれらのどの部分も失われないようにします。
最後に、楽器は馬の頭から適切な距離にあるため、古いモデルで作られた楽器ではあまりにも頻繁に発生した馬が頭を上げて楽器にぶつかったり、歯を折ったり、顔を傷つけたりすることを恐れる必要はありません。
アドルフサックス:15年の発明特許n°2306、1845年10月13日、ファイル1bb2306 p.2
Gautrot:特許5874、p. 9
ここでの追加特許は、明らかにアドルフサックスのサクソルンへの対抗と見えます。Mauryも述べていますが、これらの追加特許は、オムニトニック・ホルンと直接関係はありません。
つづく