突発性難聴?(続) | 未音亭日乗

未音亭日乗

古楽ファンの勝手気ままなモノローグ。

昨年暮れから左耳の調子がおかしくなっている亭主ですが、正月明けの週は多忙ですぐに病院に行くこともできず、週末は土曜日になってようやく近所のO耳鼻咽喉科を十数年ぶりに受診。

まずは問診ということで、とりあえず「左耳で中低音の音が残響する感じで聴き辛い」、あるいは「プールで耳に水が入った後のような感じ」といった症状を手短に説明したところ、O先生は亭主の左右の耳の中を眺め、「鼓膜はしっかりしているね」と呟いた後、聴力検査を行おうということに。診察室の片隅にある2畳ほどの小部屋に入るよう促されました

部屋に入ると、扉を閉める前にもかかわらず、すーっと雑音が小さくなり、無響室であることが分かります。検査は2通りで、通常のヘッドホンを使うものと、耳の後ろから額にかけてバネで挟み込む感じのヘッドギアを着装してのものがありました。後で調べたところ、後者は骨導聴力を調べるための装置のようです。(亭主は恐らく初体験。)いずれも「ピーピーピー」という音が聴こえたら手元のボタンを押す、というものですが、職場の健康診断と違うのは色々な音高の音でチェックされる、という点です。

さて、かれこれ20分ぐらいかけて聴力検査が終わり、結果を出力した紙(オージオグラム)を見せてもらうことに。左耳の異常を訴える亭主を前に、O先生曰く「うーん、聴力という点では左右それほど差がないねぇ…」。実際、オージオグラムを眺めると、どうやら250 Hzあたりから低周波側でグラフが下に折れ曲り、聴力が下がっているように見えますが、その傾向は左右同じです。亭主が「突発性難聴じゃないかというひともいますが…」とカマを掛けたものの、「突発性難聴が両方の耳で同時に出ることは滅多にないからなぁ」と思案顔。

ところで亭主のオージオグラム、左右の耳いずれも高周波側はほとんど一定になっており、これも想定外だったようです。O先生は年齢別の平均的な聴力曲線が描かれた表を見せながら「普通ならこういう風に年齢が上がるほど高音側の聴力が落ちてくるので、これだと逆の傾向ですねぇ…」と益々首を捻ってしまいました。ちなみに、この時見せられたのと同じと思しき図に亭主の測定結果(赤線、うろ覚えですが)を模式的に重ねて描くとこのような感じです。(なんだか「耳年齢が若い!」と言われたようで、亭主の「耳自慢」がまたムクムクと頭をもたげることに…)

 


というわけで、あまり明確な診断には至らなかったものの、とりあえず内耳の機能を回復させるための薬というものをいくつか処方して頂くということで診察室を後にしました。その足で処方箋を手に薬局に出向いたところ、渡された薬は3種類(説明書きにATP錠、カリジノゲナーゼ錠、およびビタミンB12錠とあり)。このうちATPというのはアデノシン3リン酸とのことで、高校の生物で出て来たこと(エネルゴー代謝の鍵になる物質と教わったような…)を懐かしく思い出すとともに、それが薬として使われていることにびっくり。

それにしても、風邪などで寝込んでいる時ならとにかく、(耳以外は)普通に過ごしている状態で、1日3回食後に薬を服用するというのは恐らく初めての経験で、なんだか急に「老人」になったような心境です。

ところで、翌日の午前、亭主はなんと映画館に出向いて「スターウォーズ・エピソード9」を鑑賞することになりました。この映画、もちろんあの長大なシリーズの完結編ということで興味もありましたが、それに加えて近所のシネコンではIMAXデジタルシアターという3次元立体映像版で鑑賞できるとわかり、最新の映像技術がどうなっているか見てみようということで、連休も口実にして急遽出かけることに。

 


ところが、予告編に続いてIMAXの3Dデモ映像が流れ始めると、映像だけでなく音響(独立5チャンネル)の迫力についても宣伝が始まり、旅客機の離陸時の轟音が流れたあたりから何となく不安になり始めます。(…もしかして本編もものすごい大音響なんかなぁ…)

そして、実際始まってみると、場面のあちこちで耳を圧する大音響の爆音や効果音が響き渡り、亭主は思わず耳の穴に指を詰めることもしばしば。2時間あまりの上映が終わって映画館を出た後、しばらくは何となく耳が遠くなった感じでした。(これぞ突発性難聴?!)

もちろん、3D映像についてはなかなかのもので、近景では数メートルを軽く超える奥行きが感じられます。(偏光メガネも大きめで、亭主のようにもともと掛けている度付きメガネの上から掛けてもほとんど違和感がありません。)なお欲を言えば、映像の精細度は2K相当ということで、映画館の大画面では若干不足している感じもします。というわけで、こうなったら(連れ合い曰く)IMAXレーザー/GTテクノロジーで観るしかない!ということに。このシステム、日本では東京と大阪2カ所にあるだけだそうですが、今度は耳栓を忘れないようにせねば…