ストップ・メイキング・センス | akaneの鑑賞記録

akaneの鑑賞記録

歌舞伎や演劇、映画、TVドラマなど鑑賞作品の覚書

 

 

 

 

1980年代の音楽シーンに変革をもたらしたアメリカのロックバンド「トーキング・ヘッズ」が1983年に行った伝説のライブを記録したドキュメンタリー。

Talking Headsは1983年6月にアルバム『Speaking in Tongues』を発表。キャリア絶頂期にいた彼らは、全米ツアー中の83年12月にハリウッドのパンテージ・シアターで4日間にわたってコンサートを行なった。そのうち3日間の様子をカメラに収め、一夜のライブのように再構成したのが『ストップ・メイキング・センス』だ。

バンドのフロントマンであるデビッド・バーンの躍動感あふれるパフォーマンスに、彼を象徴する衣装「ビッグ・スーツ」、エキセントリックなダンスとエキサイティングな演出による圧巻のステージを映し出す。

監督のジョナサン・デミは6台のカメラで3公演を追い、最高のパフォーマンスを厳選、MCなしでライヴそのものが体感できる89分に仕上げている。
「ブレードランナー」のジョーダン・クローネンウェスが撮影を担当。1992年から眠っていた本作のネガを基に、バンドメンバーのジェリー・ハリスン自らサウンド監修を手がけた4Kレストア版として今回リマスターされた。

 

 



 

 

 

この映画が非常に素晴らしかったので、伝説のライブと言われるこちらも鑑賞。



アメリカンユートピアを思わせる演出が色々あります。


バンドはデヴィッド・バーン(ボーカル、ギター)、クリス・フランツ(ドラム、バック・ボーカル)、ティナ・ウェイマス(ベース、バック・ボーカル)、ジェリー・ハリスン(キーボード、ギター、バック・ボーカル)の4人編成。

 

 


まず、何もない舞台にデヴィッド・バーンが一人で登場して、ラジカセでリズムを流し、アコースティックギター1本で“Psycho Killer”を歌います。
ステージも裏側が全部見えていて、むき出しの壁や鉄骨なども見えている状態。

 


次の曲で、ティナ・ウェイマス(ベース)が登場

 

 

 

ジェリー・ハリスン(キーボード、ギター)、

 

 

クリス・フランツ(ドラム)と、1曲ごとに1人ずつ登場します。

 



そのあいだに引き枠のステージが追加されていき、サポートメンバーとして、バーニー・ウォーレル(Key)、アレックス・ウィアー(Gt)、スティーヴ・スケールズ(Per)、そして2人の女性ボーカルが次々に参加して、9名全員が揃ったところでバンド最大のヒット曲“Burning Down the House”が演奏されるというドラマティックな展開!

 

 

 


最初は静かに座っていた観客も、このあたりでもう総立ち!

 

 



全員揃ったところでステージの後ろにも幕が下ろされ、様々な映像や文字が映し出されたり、アーティストの前面から照明を当てて、シルエットを映し出したりといった演出があります。

 

 

 

 


衣装も基本的にグレーなんですよね。

 

 

 

 


有名な「ビッグ・スーツ」は、来日公演をした際に、歌舞伎などを見て刺激を受けて作ったそうです。

 

 

 

いわゆる着物の裃を見たのかな?

 

 

 

肩幅が非常に広くて、しかも張りがあって落ちてこない、直線的(長方形)のシルエットにインスピレーションを受けたらしい。
エンディングのスタッフロールには、ちゃんとビッグスーツを作った人の名前もありました。

 


ジャケットだけでなく、パンツもビッグサイズになってるの、面白いですね。どうやって履いているんでしょう?

 

 




この予告編が凄く面白いよ!

 

 



演奏している最中に、黒い衣装のスタッフが出てきてステージをセッティングするのも、歌舞伎で黒衣が出てくるのを意識しているそうです。

 

 

 


完璧に演出された「アメリカンユートピア」より、ミュージシャン同士がアイコンタクトをしたり、お互いに動きを見て真似たり、

 

 

 

カメラがステージ上でのメンバーの表情を映しているので、まさにその瞬間に生まれたパフォーマンスといった感じがスリリングでもあり、やはり「ライブ」の熱い勢いがあります。

 

 

 


当時30台前半のメンバーもパワフル!

楽器を演奏しながら、歌いながら、動き回って、ずっとその場で駆け足をしたり。
でも全然息もキレないし演奏も乱れない!

 

 

 

紅一点、ベースのティナさんが、すっごく可愛くてカッコ良くて好き!!

 

 



サポートメンバーは、R&B/ファンクシーンで活躍するアフリカ系アメリカ人のミュージシャンなので、非常にファンキーでグルーヴ感もあり、同じ音型やリズムを繰り返すことによって生じるトランス感とか、今でも全然色褪せないカッコいいライブでした。

 

 

 


物語性やメッセージが明確になり、パフォーマンスとして完成されている「アメリカン・ユートピア」に比べると、「ストップ・メイキング・センス」は、もっと荒削りで瑞々しいエネルギーに満ちています。

スタジアムで大掛かりな照明や演出でのロックコンサートが流行になっていた時代、ミニマムなセットでありながら内容は非常にゴージャスで、新しい音楽と表現の融合を追及しているバンドの熱気と高揚感が溢れていました。

 



監督のジョナサン・デミは、ステージに渦巻いているこの「ライブ」の本質をしっかりとカメラで捉えていて、人種やジャンルを超えて音楽を生み出す喜びと興奮を余すところなく描いているところが、今も時を超えて感動を呼び覚ますのでしょうね。

 

 

 


当時は、バンドメンバーの音楽の方向性の不一致や、デイヴィッド・バーンがかなり尖っていたこともあり、ライブツアーはこれが最後となってしまいましたが、今回、世界初披露となった第48 回トロント国際映画祭には、デイヴィッド・バーンを始めとするトーキング・ヘッズのメンバーが21年振りに集い、「アメリカン・ユートピア」(2020)のスパイク・リーとQ&Aなどを行ったそうです。




私は時間が合わなくてIMAXでは見られませんでしたが、ぜひともスクリーンで体験してほしい映画です!

 

「アメリカン・ユートピア」に感動した方は絶対!!必見!!