楽園 | akaneの鑑賞記録

akaneの鑑賞記録

歌舞伎や演劇、映画、TVドラマなど鑑賞作品の覚書

 

 

実は今月、まだ1本も映画を見に行けていません(泣)
先月鑑賞したものですが、忘れないうちに。
 


『悪人』『怒り』などの原作者・吉田修一の短編集「犯罪小説集」の一部を、『64-ロクヨン-』シリーズなどの瀬々敬久監督が映画化。ある村で起こった幼女誘拐事件、少女行方不明事件、養蜂家にまつわる事件を通して、人々の喪失と再生の物語が描かれる。


12年前、青田に囲まれたY字路で幼女の誘拐事件が発生した。事件が起こる直前までその幼女といたことで心に傷を負った紡(杉咲花)は、祭りの準備中に孤独な豪士(綾野剛)と出会う。そして祭りの日、あのY字路で再び少女が行方不明になり、豪士は犯人として疑われる。1年後、Y字路へ続く集落で暮らす養蜂家の善次郎(佐藤浩市)は、ある出来事をきっかけに、村八分にされてしまう。

 

 

 


前作「怒り」がとても素晴らしかったので期待していたのですが、う~ん…ちょっと…微妙。
犯罪の裏に見え隠れする人間の醜さ、弱さを描くという原作のポリシーは同じですからね。

監督力、制作陣の差かなぁ。

「ジョーカー」と同時期の公開だったのも、少しもったいなかったかも。
同じように弱者が追い詰められるお話なのですが、3つの短編?を無理やり組み合わせた感じで、全体の流れが散漫になってしまったように思いました。

 

 


あるアジアの国から流れてきた母と子。
偽ブランドを売る母親と、友人もなく、母親の仕事やリサイクルショップを細々と手伝っている青年・中村豪士(綾野 剛)。

言葉も多少カタコトで、体にも少し障害があるような感じ。
こういった綾野剛さんの役作り、ホアキンに通じるものがありました。
子供の頃からどこへ行ってもいじめられ、母は地元の羽振りの良い男の愛人、どこにも居場所がなく、息を潜めるように暮らしています。

 

12年前、そして今また、山間部へ向かうY字路で少女が消息を絶つ事件が発生し、全く犯人の手掛かりがつかめないことに業を煮やした住人たちが、「よそ者の豪士が怪しい!」と犯人に祭り上げ、追い詰め、自殺に追い込んでしまう。

 

 

誰かを犯人に仕立て上げないと気持ちが収まらない!という集団心理はわかるのですが、「彼が怪しい!」と声を上げるシーンがあまりにも唐突で…え??って感じ。
豪士の母を演じていた中村洋子さんが、素晴らしかったです。
本当に外国の女優さんなのかな?って思っちゃうぐらい。



Y字路の奥にある集落。
善次郎(佐藤浩市)は、妻を亡くし、1人で養蜂業を営んでいます。
年齢は50~60歳ぐらいですが、村の中では一番の若手なので、色々な雑用や力仕事も請け負うなど人気者でした。
が、養蜂で村おこしをしようと提案し、村の長を通さずに役場に掛け合ったりしたことで、一気に村八分にされてしまいます。
その陰湿ないじめに耐え兼ね、善次郎は次第に精神を病み、やがて村人を手にかけることに。

 

 

佐藤浩市さん、かなり役作りしていましたが、やっぱり二枚目というか正義の人のイメージが強いので、そんなに変人というか気持ち悪い人にはみえないんですよね。当然、村八分をしている住人の方が間違っていて、彼は正しいわけですし。
あと「善次郎を案じる集落住民の娘 片岡礼子」という女性(未亡人?)が絡んでくるんですが、自分から混浴の温泉にまで誘っておきながら彼を拒否!ってのが良くわからんかったです。




12年前、同級生の愛華とY字路で別れた後、彼女が行方不明になってしまったことに罪悪感を覚え、心の傷をずっと抱えて成長した紡(杉咲 花)。

 

 

友達とはいうものの、本当はわがままな愛華のことは好きではありませんでした。
村の中で、なんとなく居場所のない寂しさから豪士と惹かれあいますが、彼は自殺。
地元を離れ、東京で一人暮らしを始めます。
それぞれの物語を繋ぎ、こういった負の連鎖に満ちた村気質を打開する、未来を拓く若者、としての立ち位置に置かれていたように思うのですが、あまり存在意義がなかったような。
何をした、という訳でもありませんしねぇ。

これから何かするってことなのかなぁ。




で、もっと意味が分からなかったのが、紡の同級生である野上広呂(村上虹郎)。

 

 

ずっと紡に思いを寄せているのですが、叶わず。

つかず離れずいつもそばにいる彼は、ある時、紡を追って東京まで出てきて、同じ青果市場でバイトをするようになります。
と思ったら急にガン?になったりして入院し、またいつのまにか退院している。
とりあえず紡の傍にはいて「お前はガンバレ」とか言ってるんですけど、う~ん意味が分からない。
 

 

 


弱者に対するジメジメとした陰湿ないじめ。
誰かが声を上げるまで誰も何もしないくせに、きっかけを与えられると右へ倣えとばかりに全員が暴徒となる。
どこの世界でも起こりうる、最も恐ろしい行動パターン。
対象者が死ぬか、対象者に殺されるか、結果がその二択になってしまうのも悲劇です。

 


こういった問題提起はわかるのですが、結局、少女の遺体も見つからないし、誘拐した犯人も分からないまま。
今ひとつストンと腑に落ちない映画でした。

 

 


ちょっとこの映画に関するお仕事をする機会があり、鑑賞は試写会で。
舞台裏にもいたので、俳優さんたちの普段の姿も拝見できました。


佐藤浩市さんは、画面の印象よりは小柄。
スレンダーな体にピシッとスーツを着こなしてダンディでした。

 

綾野剛さんは、金髪ヘアーに真っ赤なスーツをひるがえし、素足にサンダルで颯爽と。とても気さくな感じでした。

 

村上虹郎君は、可愛かったですね~。

結構変わったデザインの洋服着てます。
ずーーーっと佐藤浩市さんとお話ししてました。

 

杉咲 花さんは、いやもう顔が小っちゃくてびっくりです!!

お人形みたいに可愛らしかった。

 

女優さんあるあるなんですけど、ヘアメイク、スタイリスト、マネージャーなどなど、大名行列のごとく、周りにスタッフがいるんですよね。
ヘアメイクさんはずーーーーっと髪の毛とかしたり、パフを当てたり。
いや、そんな崩れないでしょ(笑)

まぁ何かやってないと手持無沙汰なんだろうけど。
う~ん、若いうちからそういう環境にいると、やっぱり多少弊害はあるんだろうなぁ。
勘違いしちゃったり、うざくなって飛び出そうとしたり。
いや、杉咲さんが、という訳ではなく一般論としてね。