パシフィック・リム アップライジング | akaneの鑑賞記録

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2013年に公開されたSFアクション『パシフィック・リム』のシリーズ第2弾。平穏を取り戻した地球に進化したKAIJUが再び出現し、人類と激闘を繰り広げる。
巨大兵器イェーガーを駆使する人類とKAIJUたちとの激闘から10年。今は亡き英雄ペントコストの息子でイェーガー・パイロットとしての活躍を期待されていたジェイクは、環太平洋防衛軍(PPDC)を去って違法なイェーガーのパーツ売買を行っていた。だが、戦地からイェーガーのパーツを盗んでいたアマーラと共に逮捕され、PPDCのパイロット養成施設へ送られる。そこで彼は義姉のマコ(菊地凛子)に命じられ、イェーガー・パイロットの候補生の教官を務めることになる。

 
前回がなかなか面白かったので続編を楽しみにしていたのですが、前評判はかなり厳しいご意見が飛び交っています。
まぁ3Dだったし映画館ではわ~!って見てたんですが、見終わってから何も残らないというか、不満がフツフツと湧いてくる感じですかね(苦笑)


やっぱり一番引っかかるのは中国資本のあからさまな進出具合。
無人イェーガーを作っているのも中国企業、訓練生の施設も中国。

ゴマすり白人にまで中国語を喋らせるのはあまり良い印象を持ちませんでした。

世界を守る為、新型イェーガーの開発に心血を注ぐシャオ産業のトップ、リーウェン・シャオ役のジン・ティエン。
グレートウォールでの将軍役でも活躍していました。相変わらずお美しい。
前半はクールで非情なCEOだったのに、後半、無人イェーガーは配備した途端トラブルに見舞われ全滅(全くいいとこなし)。
最後には髪を振り乱してイェーガーに乗り込み(操縦できるんかい!)主人公を助けるって…キャラ激変してないか?

対して日本の扱いがひどいです。
森マコ(菊池凜子)は結構最初の方であっさりと死にます。
バーター出演?の新田真剣佑も、訓練生の中で一番下のポジション、ほぼセリフ無し、映るのも一瞬。
最後の決戦が東京ですけど、全く東京じゃないですね。

都市デザインぐらいもうちょっと作りこんでほしい。
富士山の規模がセコいし、最後の仕留め方もセコい。
前回のように命を懸けて異次元の裂け目に突っ込んでいったカタルシスはないです。

KAIJUの脳とドリフトするという荒業で勝利に貢献したニュートが、今回は洗脳されて操られているというのもねー。
どちらかというと除け者のハーマン一人だけが頼りになる存在なのもなんだかな~。

そして最大の欠点は、イェーガーとパイロットの没個性。
主役のアマーラ・ナマーニを演じたケイリー・スピーニーはすごく良かったです。
ミュージシャンなのかな?演技も映画も初経験のようですが、全然!!
ティーンの無鉄砲さや繊細さ、応援したくなる感じ、充分だったと思います。
どっちかっているとスターウォーズの世界観に近いですけどね。
それ以外の訓練生は、まぁどうってことないですよ。
フューチャーされるのは気の強いロシア人の女の子と、友達になる中国人の男の子ぐらいで。
ともかくパイロットが全然いなくて、主役のジェイクとネイトの二人以外で出動するのはこの8人の訓練生ってのがね。
実戦経験なしですよ。無理でしょ。
しかも「俺たちは家族だ」「イエッサー!」みたいな掛け声って、モロ軍隊じゃん。特攻隊じゃん。
それぞれのキャラの背景が希薄だから、ヘルメット被っちゃうと、誰が誰やら、どのイェーガーに乗っているのか全然わかんないし、そうなると応援の気持ちも希薄になるよね。


まぁこのパシフィックリムの世界観は、前作でやり尽くしていると思うんです。
日本のアニメには数多く存在するけれど、ハリウッドSF映画では珍しい「人が乗って操縦するシステム」という発想がまず第一。

ハイテクでありながら、操縦士と同期して動くことがとてもアナログで、自分も一緒に体を動かしているような一体感があります。
KAIJUの正体、KAIJUがどこから発生して何を目的としているのかが全く分からない状態にハラハラドキドキ。
そして今、世界がどんな情勢になっていて、どんな対策を講じていて、かなり絶望的な状況の中で最後の砦としてのイェーガー出陣、という流れをまずきちんと見せてくれる。
防衛軍がお手上げのなか、独自の危ない方法で命懸けでKAIJU分析をするハーマンとニュートコンビの存在も大きい。
イェーガーそれぞれにも個性があって、乗り組むパイロットたちの過去、トラウマ、訓練の様子、挫折、成長、そういったストーリーもよく描けているし、整備士やその他の出演者たちも、それぞれきちんと見せ場があって、その上での戦闘ですから、見ている方も一緒に戦っているような思い入れが沸くんですよ。

独創的なアイデアが満載で、これだけの要素を詰め込んでも、非常にバランス良くエンタテインメントに仕上げられるのは、やはりデルトロ監督の手腕によるものなのでしょうか。

それに、彼のオタク魂を感じるというか、とても暖かさがあったように思います。

前作で完全にやり切ってしまっているので、これの続編を作るのはかなりハードルが高いですよね。どうやっても越えられないですもん。


私はデルトロ監督リスペクトでもないし、アニメも全然見ないし、特に戦闘や怪獣が好きでもないんですが、これだけ不満が出てきてしまうのですから、熱狂的なファンの方々はさぞや物足りなかっただろうと。。。

1つ良かったのは、この5年間でのCG技術の発達で、昼間の戦闘シーンが多かったことかな。前回は夜のシーンばっかりだったので。

(2018.4.11)