三月大歌舞伎 | akaneの鑑賞記録

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歌舞伎や演劇、映画、TVドラマなど鑑賞作品の覚書

 

日生劇場はアンコールをすっ飛ばしてタクシー飛び乗り。
10分弱で歌舞伎座到着。ほっ。

今月は夜の部だけ。
まずお染久松

「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり) 小梅莨(たばこ)屋 瓦町油屋」の玉三郎の土手のお六、仁左衛門の喜兵衛は、41年ぶりの顔合わせで・・・


41年ぶり!!!なんと貴重な。

悪い仁左衛門様。ホント素敵。
声もドスが効いてて、あと一番素敵なのは、目だよね。
普段は眼鏡の奥でニッコニコなのに、ギロッて睨む目線がホント怖いの。
ひえ~って感じ。
お約束の「着物はしょって刃物咥える」もやってくださいます(笑)
お褌も黒!ですのよ。
客席から丸見えになるの分かってるから、黒なのかな?
玉三郎さんも、伝法っていうのかしら、蓮っ葉な感じで、でも細やかな気配りもありつつ
本当にお二人の相性がバッチリで。
なんでしばらく共演してくれなかったのかなぁ?
いよいよ危機感に見舞われて、少しでも手本を残しておかないと!と思ってくれたのかしら。
仁左衛門様、今年は年明けから飛ばしてますよね!
ついていきます!博多だって!

結局は久作さんが現われるので、ゆすりたかりは失敗、すっごく間抜けな状況で退散なんですけど、それすら微笑ましいというか「二人で仲良く駕籠担いで帰ればいいよ」ってニマニマしちゃう。

で続いての神田祭がもう!!!お祭り!!!
なんだもう、エロすぎるぞ!濃密。空気が濃すぎる。

これが「ジャパニーズしっぽり」ですかね。
もう目線絡ませちゃって!
チュッとかしちゃうし!!
二人でドヤ感凄いですよ。

 

私のイイ人、どうよ?カッコいいでしょ?ふふん!

 

みたいな。
イヤホンガイド借りればよかったな~。
なんか芝居仕立て色々な仕草してたから、もっと意味が分かると面白かったかも。
それにしても玉三郎さん、お美し過ぎる。
もう美しさが罪。出てきただけでため息出る。

鹿賀丈史と市村正親さんも頑張ってましたけどね、ちょっと桁違いだよ。
もう全然レベルが違うよ。ホント凄いな。歌舞伎って。


後半はぐっと変わって「滝の白糸」
普通なら三越劇場とかで、これ1本の上演ですよね。
ちょっと後半重すぎ。内容も重すぎ。
壱太郎君、若いのにちゃんと主役でしたね。凄い。
溌剌として恋に高揚する若い太夫から、だんだん追い詰められてしまう過程もとても自然に演じていました。
最後の幕は裁判シーンだから、ず~っと客席に背中を向けたままなんですが、緊張感が途切れることはありませんでしたし、全編2時間強の芝居を、ちゃんと引っ張ってました。
かなり玉三郎さん写しではありますけど、まぁ初役ですし、こういう役の経験もないし、玉三郎さんを真似して演じるしかないでしょう。
発音がちょっとこもっているのが残念ですよね~。
姿形も美しいし、芝居も踊りも上手いのに。

歌六さんの春平が、とっても滋味深く温かくて良かったです。
歌女之丞さんのお辰とともに、滝の白糸一座も、今回の歌舞伎座一座も、しっかりと支えてくれてました。
吉之丞さんの裁判長も凄く良かった!
罪人を裁くというよりも、本当に親身になってきちんと話を聞いてくれる、公明正大な司法官。

松也さんはピンポイントの出番ではありますが、彼は弁舌爽やかなので、最後の裁判所での長台詞は聴かせましたねー。
彼は真山青果とかとっても向いているのかも。御浜御殿も凄く良かった。
「将軍、江戸を去る」もできるんじゃないかな~。
このところ色々お忙しいのに、どのお芝居でもしっかり結果を残していて素晴らしいと思います。
こういう真摯な姿勢、たゆまぬ努力が、今の彼の地位に繋がっていますね。

自分が勉強する仕送り金を工面するために、愛する人が殺人を犯したと知ってしまったら、生きていられないのもわかりますが、ようやく東京での勉強を終えて、故郷の金沢に母親を連れて赴任してきた初日にこの悲劇はねー。
非常に清廉潔白な青年だから仕方ないですけど。
こういうのが新派のお芝居なのかな。
う~ん、あんまり好きな世界観じゃない。
ピストル自殺とか、舌を噛み切って自殺とか、いかにもあの時代っぽいお涙頂戴って感じで湿っぽいなぁ。

これが江戸時代の設定で、お家騒動が色々あって、愛する人とは結ばれず切腹だと、まだフィクションとして受け入れられるのかも。