二月大歌舞伎 祇園一力茶屋の場 | akaneの鑑賞記録

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いや~
尊い…
尊いものを見ました…
初めて生で仁左玉を見たのです。
私のように、新しくなった歌舞伎座以降、歌舞伎ファンになった者にとっては、恐らく初めての共演ですよね。
もう、一生見られないかと思っていたから…感無量。

2013年12月の歌舞伎座こけら落し公演で、初めて玉三郎さんのお軽をみて、その愛らしさ美しさに仰天しましたけども、あくまでもその時は、平右衛門である海老蔵強化レッスンの要素もあったと思います。

ただ今回は、受ける平右衛門が仁左衛門様ですからね。
どんな変化球だってお手の物!みたいな雰囲気。
めちゃくちゃ色っぽい魔性の女だったり、ちょっと頭の足りない子だったり、すっごく幼い女の子になったと思いきや急にチャキチャキ田舎娘に戻ったり、超絶可愛い妹キャラ全開だったり、健気な若妻だったり…もう目まぐるしくコロコロと変化するんですよ。
それがごくごく自然に次々と繰り広げられるんだから、もう振り回されっぱなし。
技の宝石箱や!もう可愛すぎるやろ!!


勘平さんが自害したと聞かされた時のショック状態!

こちらまで心臓が止まりそうでした。
「わたしゃどうしよ!」のところで、もうこっちも「どうしよ!」ですよ。涙涙ですよ。
あまりにもお軽ちゃんに肩入れしてしまうものだから、「お前の首を差し出して仇討ちに参加させてもらう」の兄さんがちょっと鬼畜に思えてしまいます。
由良之助に同行を許された時も、手放しで喜び過ぎで「いや、妹の心配もしろよ」とか思っちゃたりして。

あ!もちろん仁左衛門様平右衛門は、文句なしに素敵です!

平右衛門だって、色々辛いんだよ。頑張ってるんだよ。

仁左衛門様の「ねい!」が聞けるなんて!あ~~~幸せ。

あんなカッコイイ兄さんだったら、なんだって言うこと聞くよ。

 

一力茶屋はよく上演されますけど、他の役者さんだとこの兄妹のやり取りが「長い!」って思っちゃうんですよね。
もうおまえらはいいから早く由良之助出せ!って。
でも今回の上演だと、平右衛門とお軽の方がこの段の主役、由良之助が脇役に思えるぐらい。
なんか歌舞伎って感じがしないというか、普通にお芝居見ているような気がしてきます。

七段目のお軽はとても大役だから、誰でもできるお役ではないですが、次の世代で引き継いでいくのは、まず菊之助さんだったのでしょうね。
美人で華やかだし、ピッタリ。その次は七之助さんかな。
そしてその次は、絶対米吉君にやってほしい!!
浅草歌舞伎でやらないかな~。
由良之助は松也さんで、平右衛門は巳之助さんか歌昇さんかしら。

こういう奇数日と偶数日で分けて配役するの、とってもいいと思います。
私は偶数日は見に行けませんけど、若手も教えてもらうだけではなく同じ舞台で演じながらだともっと色々学べるだろうし。
やり方が違うと周りの役者さんには負担なのかな?
でもこれからもこういう企画、続けて行ってほしいと思います。

真面目な菊之助さんのこと、きっと玉三郎さんの教え通りにきっちり演じてるんだろうなぁ。
全部ちゃんとやらなきゃ!って思って盛りだくさんに演じてしまうのと、玉三郎さんのようにそぎ落としてそぎ落として、自由にふんわりと演じるのとではかなり違うんでしょうね。

 

2015年12月の歌舞伎座公演で妹背山婦女庭訓の通しがあり、お三輪の役を、杉酒屋と道行恋苧環では七之助さんが、三笠山御殿では玉三郎さんが演じました。
七之助さんのお三輪も透明感があって可愛くてとっても良かったのですが、玉三郎さんのお三輪が登場した瞬間、もう比較的できないほどさらに可愛くて純粋無垢で、なんかもう驚愕でした。
そんな可愛いお三輪が嫉妬に狂い、でも愛する人のために死んでいくのが可哀想で可哀想で。
こんなふうに、通しを別々の配役で演じることもありますし、花形世代に少しでも多く、歌舞伎の命を伝えて行ってほしいと思います。

今月は予定が一杯で幕見も行けないし、この素晴らしい七段目が1回しか見られないなんて、ほんと私が可哀想。
衛星劇場様、絶対映像放送してくださいね!