ようやく見に行けました。
絶対花道近くで見たかったので、花外でしたけどかぶり付きをゲット。
弁慶の目力と気迫に殺されそうでした。
まず最初の富樫の登場で空気が一変 謳い上げる台詞の美しいこと。
そして義経の登場でため息…
いやー、美しい…
義経は戦上手の猛者ではありますが、やっぱり美少年のイメージありますもんね。
台詞はまだまだでしたけど、あの佇まいはちょっと中学生とは思えなかった。
出てくるだけで納得させられるって、やっぱり凄いですよ。
自分のせいで皆に迷惑かけて済まないと家臣を思う気持ち、見知らぬ者の手に掛かるぐらいならいっそ…と覚悟を決めた憂いとか、若いからこそ胸を打つ悲壮感がありました。お父さんが義経を演じた時より、そういう哀しみが出てたように思います。
「判官、御手を」のポーズのところとか、本当に綺麗なんです!!
子供じゃないもんね、ちゃんと「一番偉い人」になってるもんね。
幸四郎さんの弁慶
2回目ということで、こちらもやや落ち着いて見られました。
前よりも大きさがあって、歌舞伎座の舞台が小さく思えるぐらい。
見ている方としては親子ということもあり、義経を命懸けで守る気持ちが痛いほどです。
奇をてらわず、まさにお手本のような弁慶からは、これを後世に伝えていくのだという覚悟がひしひしと伝わってきました。
「名を残すことより、いかに歌舞伎の戦力になれるかを考える。目指すのは、そんな歌舞伎職人としての生き方です」
そういう謙虚なところが幸四郎さんの持ち味だし、凄く好きなところ。
そびえ立つ壁のように大きな富樫。
まさに
「ここを通るなら俺を倒してから行け」
国境で対峙する逃亡者と刑事
白熱する駆け引き
男同士暗黙の了解
これ、リメイクしたらハリウッド映画になりそう。
それ以上に「これが富樫だぞ、目に焼き付けておけ!」という吉右衛門さんの命懸けの叫びが聞こえてくるようでした。
延年の舞からの飛び六方
あれはキツいわ
そりゃ鳥屋で倒れますよ
花道を踏み鳴らすと客席まで地響きがするほどの迫力
手拍子など許さない気迫
客席一堂固唾を飲むとはまさにこれかと
前回もそうでしたけど、結構見終わるとグッタリします。
他の役者さんだとここまでの緊張&集中はないかな。
ご本人もおっしゃっているように、多分この先、回数を誇れるほどは弁慶を演じないでしょう。
ここぞ、という公演でしかやらないように思いますが、それこそ1回に10回分のエネルギーを込める、それが新幸四郎さんの弁慶だと思います。
何度も見ている演目ですが、良くできた作品だなぁとつくづく思いました。
メリハリのある構成、テンションの上がる音楽、台詞劇と舞踊のバランス、全て完璧ですね。
名作足る所以に納得です。