ソフィア・コッポラの「椿姫」 | akaneの鑑賞記録

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国立劇場からTOHOシネマズ日本橋へ。

『椿姫』は、ジュゼッペ・ヴェルディが1853年に発表したオペラです。
原題は『堕落した女(道を踏み外した女)』を意味するLa traviata(ラ・トラヴィアータ)。
初演当時は、娼婦を主役にした作品なので問題視されましたが、ヒロインが最後に死ぬということで上演がゆるされたと言われています。

舞台は、19世紀パリ。
裏社交界の花、高級娼婦であるヴィオレッタ(椿姫)は貴族の青年アルフレードから、誠実な愛の告白を受け、戸惑いながらもその愛に身を任せます。
ですが、青年の父は家名のために彼女に身を引くことを要求。ヴィオレッタはアルフレードとその家族のために、自ら彼のもとを去り、裏社交界へ戻ります。その後、別れたアルフレードからは罵倒され、その悲しみと病が彼女の身体を蝕んでいきます。
アルフレードとその父が自分達の過ちを知り、彼女のもとへ駆けつけますが死が彼女に迫っていました。

「マリーアントワネット」を撮ったソフィア・コッポラ監督だから期待していたのですが、単なるライブ映画でしたね。
引きの画とアップが交互に来ますよ、ぐらいの。私でも撮れそう。
METライブビューイングやシネマ歌舞伎の方が、よっぽど凝ってます。
ヴァレンティノの衣装は豪華でセットも綺麗でしたけど、特に斬新な演出アイデアもなくてつまらない。
マシュー・ボーンのバレエの方が数倍良かった。
もちろん、歌手の方々の歌は素晴らしかったですけど。
まぁ基本オペラの人は歌をちゃんと歌うことがメインなので、あまり動きません。
椅子に座っているか立ってるか、少し歩くかぐらいです。
その点、歌舞伎は色々な感情が型となっていて確実に表現できるっていうのは非常に合理的ですね。

ワーグナーなんかは、セリフも全部歌になっているので、割とミュージカルのようにどんどんお話が進んでいく感じがしますが、椿姫は非常にオーソドックスなオペラなので、喋れば30秒ぐらいで済む話を延々10分ぐらい同じ歌詞を繰り返し繰り返し歌うシーンばかりで退屈でした。


椿姫の初演は1853年、霊験亀山鉾の初演は1822年。
割と近い年代なんですよね。イタリアと日本の物語ではありますが、意外と椿姫って歌舞伎になりそうですよ。

 

高級娼婦は花魁ですよね。
稼ぎのないボンボンと恋仲になり、廓の世界から足を洗って自分の財産を切り売りしつつ二人でひっそりと暮らしているところ、父親が乗り込んできて「息子には許嫁がいるから別れてくれ」と言われ、泣く泣く縁切りの手紙を残して身を引きます。
元の廓に戻った女に「別の男に走りやがって!」と青年はブチ切れて博打で儲けた金を叩きけ、お座敷で彼女を罵倒。

心労が募った花魁は、持病の結核が悪化し、死は目前。

誤解が解けて彼が駆け付けた時には、すでに彼女の病は重く死んでしまうのでした。

どうでしょう?