ドキュメンタリーだけど号泣!
築地は、最新の情報と最高の技術、職人たちの意地とプライド、お客様への思い、信頼、心意気、塩梅、持ちつ持たれつ、そういう日本人の魂が息づく場所でした。
それは決して「economy」や「business」という言葉ででくくれるものではない。
登場する仲卸や料理人の言葉、全てが素晴らしくて胸に突き刺さる。
就職や仕事で悩んでいる人はぜひ見てほしい。 日本には日本の仕事のやり方がある。
マニュアルやビジネス本から得られる知識ではなく、人から人へ思いと共に繋いでいくもの。
もちろんそれは単なる馴れ合いではなく、プロ同士の厳しい駆け引きやたゆまぬ精進が求められる。
そこに甘えがあれば、すぐに弾き飛ばされてしまうだろう。
歌舞伎や伝統芸能の世界でも感じるけれど、日本古来のもの、日本特有のものごとには、きちんと暗黙のルールがあって、人々の縦の規律と横のつながりが絶妙なバランスで存在していると思う。
「シン・ゴジラ」の時も感じましたが、日本人には強烈なリーダーやヒーローは必要としないのではないかと。
個々の人間が指示されることなく自分の役割を見つけ、淡々と、かつ責任を持ってそれに取り組む。
その静かなたたずまいが繋って何か大きなものを作り上げていくような感じ。
西洋から輸入した文化や職業の世界には、それが欠けているんじゃないだろうか。
つい最近起こった某有名企業における悲しい出来事。
築地の人たちのような人間関係だったら、彼女は救われただろうと思う。
「穴子のことしかわかんないから、この商売がなくなったら困るなぁ」
「海老が好きなんですよ。好きだから売ってるだけ」
すごくシンプルな言葉だけれど、本来はこれが仕事の基本。
でも今では一番の理想形。
こういう思いで仕事をしている人、どれくらいいるだろう。
もちろん、毎日ハッピーなわけではないし、胃の痛くなるようなことも一杯ある。
しかし、日々同じことを繰り返していても、決してルーティーンワークではない。
魚も気象もマーケットもどれ一つとして同じ日はない。
常に繊細な心配りと様々な知恵を最大限駆使して、時には大博打も打つ。
登場するおじさんたちがみんな、誇りに満ちていて本当にカッコイイ。
日本橋から三代続いた店をたたむ寂しさ。
学校で魚の食べ方を教えている現状。
だからこそ築地の伝統は伝えて行かなければならない。
ここにどれだけのプロフェッショナルたちが働いているのか どれだけの思いが込められているのか、 築地市場移転に関わっている人は全員、この映画を見なければならないと思う。