仮名手本忠臣蔵 in 国立劇場 | akaneの鑑賞記録

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3ヶ月連続の通し上演、第1部を観てきました。

みなさん書いているように、普段上演されない二段目、三段目があると、その先に繋がるお話の前振りがしっかりして全体像が良くわかります。

通常はどうしても塩谷判官と大星由良之助に焦点が絞られますが、それ以外の場も見るとこの物語が様々な人間模様を描いた群像劇なんだなと。

昔はこれに四谷怪談も交えて上演していたそうですから、それはそれは壮大な物語ですよね~。

ワーグナーの「ニーベルングの指環」に匹敵しそうです。

 

国立劇場らしく、非常にバランスのとれた配役。

大序の場面、色使いがすっごく好きなんです。

背景に描かれる鶴ヶ岡八幡宮の朱色と緑、師直の黒、若狭之助の淡い水色、判官の優しい玉子色。 うしろに控える武士たちの裃も、ダークな色調でありながらなんとなく中間色で微妙にグラデーションになってるし。

 

普段、女形の役者さんが演じることの多い足利直義ですが、松江さんだと上品でありながら骨太な武士としての大きさも感じられて新鮮でした。

顔世御前の秀太郎さん、登場するだけで雰囲気あります。ちょっとお膝が辛そうでしたけど。

左團次さんの師直!もう本当に意地悪!セクハラパワハラおやじ最高!

桃井若狭之助の錦之介さん、血の気の多い若者ぶり、ハマってます。

すっごくイライラしてるー。

加古川本蔵の團蔵さんもバッチリでした。

仮名手忠臣の文字からつけられた本蔵さんですが、普段はあまりフューチャーされないから「松の廊下でいきなり登場する人」ぐらいのイメージでした。

でも若狭之助は本蔵がいたから助かり、大星がそばにいなかった判官がとばっちりを受けたという、ここもまた運命のいたずらですよね~。

その本蔵も、自分の主君は守れましたが、とっさに松の廊下で判官を止めてしまったために(少しでも罪が軽くなるようにと思った)判官は遺恨を残したまま切腹&お家断絶。

本蔵はそのことをずっと思い悩み、九段目へと繋がるんですね。

 

梅玉さん判官は、もうまさにそのもの。

こんな穏やかな人が刃傷沙汰を起こすなんてよっぽどのことだったんだと思わせます。

改めてみると、判官ってほとんどセリフないんですよね。

松の廊下で師直にネチネチやられるときに、少し受け答えするぐらいで。

それでも物語の発端として鮮烈な印象を残さなければならないですから、大変なお役です。

 

隼人くんと米吉くんの初々しいカップル。

隼人くんは頭が小さいので、本当にお人形みたい。

歌舞伎って大体女性の方が積極的なので、小浪ちゃん恥らいつつも攻めの体制。

対して隼人君は「お仕事で来たんだからダメ」みたいな感じですよ。

萬次郎さんの戸無瀬が、若々しくてお茶目で可愛いです。

後妻だからまだ20代で若いんですよね。

「あいたたたた…持病の癪が」とか言って、若いカップルを二人きりにさせてあげつつ、ちょっと途中でのぞきに来たりして。

これが九段目だけだと、結構重厚な感じになっちゃうんですよね。

 

対して壮年(?)カップル勘平おかるの扇雀さんと高麗蔵さん。

やっぱり立役の扇雀さん、いいわ~。色っぽいし、なんか「女の扱い慣れてます」って感じで。

のちのちのセリフ「色にふけったばっかりに」って場面ですからね、 二人とも仕事で職場に来てるのに、バックれてオフィスラブですから。

取引先のトイレでイケナイコトしてたらクーデター!みたいなもんでしょうか。

大事な手紙を渡すタイミングとか、このちょっとした気の緩み、が悲劇に繋がるんですよね~。

 

そしていよいよ判官切腹の場。

ひたすら静か、でも無念に満ちた梅玉さん。

どうすることもできない力弥。

そしてやっとやっと由良之助の登場!キターーーー!

こういうストーリー展開もうまいなぁ。

幸四郎さんの由良之助、もちろん立派なんですけど、私の中での由良之助は仁左衛門様一択なので。。。

あー、にざサマに「い~さ~い~」って言ってもらいたい!

 

来月も楽しみ!で、10~11月分を発券したら、2公演とも全く同じ座席でビックリ!!

全然そんなこと考えずにバラバラに予約したのに、こわっ。