今昔饗宴千本桜 | akaneの鑑賞記録

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歌舞伎や演劇、映画、TVドラマなど鑑賞作品の覚書





仕事中、後ろに誰か来ないかビクビクしながら、なんとか視聴!
面白かった!
ちゃんと現代の映像技術と歌舞伎のケレンを融合させて
きちんと1時間の作品に仕上がっていて、楽しめました。
今昔饗宴と「はなくらべ」と読ませたり
屋号や大向うの説明も的確だし、会場のみならずネットユーザーも含めて
観客がすごく盛り上がってた。
ほとんどが「初音ミク」のファンだと思われますが、所作が美しいとか
歌舞伎カッコイイとか、そういう素直な感動コメントが一杯で嬉しかったですね。
青龍の持っている鉄杖が「自撮り棒」とか、NTTに対して「電話屋」とか
面白いコメントも一杯。

獅童さんはもちろんのこと、澤村國矢さんの青龍がカッコ良くてさすが!
悪役がカッコよくないと、ヒーローも小物になっちゃうからね。
「エターナルチカマツ」の澤村國久さんも素晴らしかったけど
大歌舞伎の舞台ではほとんど活躍できない役者さんも
ここぞという時には圧倒的な華や存在感を発揮していて本当にすごいと思う。
歌舞伎という伝統芸能の凄さと、日々の鍛練の賜物ですね。
初音ミクはもちろん映像ですけど、藤間勘十郎さんの動きを
モーションキャプチャーしたということで、とてもなめらかで美しい動き!
指の1本1本さえ、とても細やかにしなやかに動くんです。
着物の裾さばきや髪の揺れる様子もすごく自然で綺麗でした。
きちんと膝を折って動いてるし。でも時々太ももが見える!
映像と人間が躍っていても、全然違和感がなく、電子音声なのにセリフの掛け合いもみごと。
獅童さんからは、後ろにあるスクリーンは見えづらいと思うんですが
動きもピッタリで驚きです。

青龍と白狐の戦いなど、最新ゲーム世界のような迫力ある映像シーンと
ぶっかえりや六方、トンボを切ったりする歌舞伎の立ち回りや、
「蘭平物狂」さながらの梯子のシーンなど
見どころもバランスよく組み立てられていて。
忠信が痛手を負ってピンチになると、みんなで怒涛のコメント送って千本桜を咲かせると
忠信も復活!
最後は初音ミクの楽曲「千本桜」でエンディング。
観客総立ちでサイリウムは振られるし
「ハイ!ハイ!」の掛け声に合わせて獅童さんもノリノリだし
コンサート会場みたいになってました。
「あらしのよるに」も良かったし、最近の獅童さんGJ!

人が演じている部分もさることながら、このCG映像を作るのも大変だったと思うんですよ。
それを動画だけでなく、会場で観るのも無料とは!!
ドワンゴ太っ腹!!
さすが歌舞伎座タワーに本社を構えるだけある。
これからもこの試みは続けて行ってほしいな。
「会場で観たかった!」「もう1回みたい!」「ありがとう!」
そういう感想が出るときは大成功。

「ワンピース」もそうだったけど、主役のキャラクター認知が確立していて
観客が世界観を分かっている前提での上演とか、
観客も一緒になって参加して盛り上がるとか
これが本来の歌舞伎の姿なんじゃないかなぁと思います。
昔は「忠臣蔵」も「曽根崎心中」もリアルタイムの出来事だったわけだし
昼間っからお酒飲みながら「つまんねーぞー!」なんて
野次飛ばしながら観てたんじゃないのかな。
そういうお客さんの注目を集めるために、度肝を抜くような演出も考案されたんですもんね。
もちろん、基本をちゃんと勉強して精進し、古典を後世に伝えていくことも大切ですが
「今」を生きる歌舞伎も、もっともっと活性化していってほしい。
今回の「超歌舞伎」を見て歌舞伎に興味を持った人が、もし歌舞伎座に来てくれたとして
同じように面白かった!と言ってくれるのかどうか。
もっともっと観客を巻き込んで、どんどん進化していってほしい。
ラスベガス公演も成功するといいな。