新国立競技場の終焉 | 「国家戦略特区」blog

「国家戦略特区」blog

ポスト・グローバリズムの社会を考察。日本を貧しくする移民=外国人労働者受入れ政策に警鐘を鳴らしています。

「12月22日、新国立競技場は、大成建設と隈研吾氏のチームのA案が選ばれました。私が予想して懸念した一番悪い結末になった原因を考察します」


経世済民・建築論『新国立競技場と政治』

改革すると余計悪くなる見本なんですかね?との感想のお方は発信力強化の為に以下のリンクをクリックにて、ご支援、宜しくお願い申し上げます。


人気ブログランキングへ

『悪く改革されるケースもある』

いわゆる改革の一番の問題点は、改革する事で余計悪くなる可能性です。今回の新国立競技場の騒動は、悪い見本となってしまった感が否めません。12月22日に公表された結果は、980点満点中、大成建設と隈研吾氏のA案が610点、伊東豊雄氏のチームのB案が602点という僅か8点差でA案が勝利しました。

『安倍政権そのものを象徴』

安倍政権を見ていると、TPPも消費税も東京五輪も、民主党政権から続く一連のプロジェクトを安倍総理が引き継ぎ、悪い形でドンドン進めている感が否めません。今回の新国立競技場も民主党政権時代にコンペが開かれ、安倍総理がアンダーコントロールせず白紙撤回して悪い形で決定されるお決まりのパターンでした。

「日経新聞:新国立、「工期短縮」の体制決め手 僅差で決着」
「建築エコノミスト 森山:新・新国立競技場計画でB案押しの理由」


『工期で差がついた事への疑問』

両案で差がついたのは工期についての評価で、A案が177点でB案は150点でこの27点差が結果に繋がった様です。ところが解せないのは、新国立競技場反対運動の第一人者、建築エコノミスト森山氏は、B案の方が工期が短縮出来ると真逆の評価をしていました。真相は藪の中ですが、下記の記事は決定前の稿です。



『建築と政治』

政治家と建築家は似た職業だと考えています。共に存在しないモノを構想するという意味でです。例えば今は更地の国立競技場の跡地に東京五輪のオリンピックスタジアムを構想するなど正にその職能を発揮する最たるモノです。ただ、建築の場合、我々が拘束されるのは、建物の内部と周辺環境に限定されます。

『制度と拘束』

ところが政治の場合は、法律や、指針や、暗黙の合意により、より広い範囲で我々を支配します。例えば、失われた20年と呼ばれる日本社会の停滞には、構造改革という設計図に基づき、社会の隅々までその害悪が及んでいるのです。建築は狭い範囲で物質的に我々を支配し、政治は広く薄く我々を決定的に拘束します。

『改革が良くならない見本』

新国立競技場は、問題が多いとはいえ、コンペで決まったザハ・ハディドの設計案が着工直前に、安倍総理の政治的決断で白紙撤回されました。ザハは、自らの案が何故良いかという「言い訳」動画を公開しましたが、そこで提示された様々な懸念が現実のモノとなったのが、12/14公開の再公募案でした。



『僅か二案の公募』


A案として公開されたのは、隈研吾氏と大成建設のチーム案、B案として公開されたのは、伊東豊雄氏と竹中工務店+清水建設+大林組のチーム案でした。大量の応募案で巨額の審査費用が掛かるとされる同じく白紙撤回された五輪シンボルマークと異なり僅か二案の公募に留まったのは、条件のハードルの高さです。

『ザハ女史の懸念が実現化』

真夏の東京で施設に冷房を付けない等の「緊縮財政」措置で、絞り込まれた1500億円の予算の結果、工期と予算優先が見て取れます。ザハは、コストを優先させると客席の高さが全体的に高くなり圧迫感が高まると指摘しました。実は、ザハ案は評判の悪いキールアーチの採用で近くから見ると威圧感が無いのです。

『業界を駆け巡った噂』

実は建築業界では、ザハが降ろされた時に、設計者は隈研吾に決まったとの噂が流れました。新国立競技場を意地でも受注したい大成建設が隈氏をパートナーの建築家に決めたのが理由です。隈氏は、歌舞伎座など、大手ゼネコンが設計した建物の一部をデザイン監修するのが得意な建築家です。


「周辺環境に配慮していたコンペ3位SANAA(妹島和世+西沢立衛)案」


『建築監修の「巨匠」隈研吾』

正直、隈研吾さんは、良く言えばデザインの力の入れドコロが解った賢い建築家です。実際に彼の建物を見ると、ポイントの見せ場だけ力を入れて設計しています。悪く言えば、彼は建築家ではなくインテリアデザイナーなのです。つまり、全体性の欠落です。部分部分を上手くまとめる器用なデザイナーです。

『見えない部分も設計するか否か?』

私も建築設計を生業とする人間ですが、例えば写真を撮らない建物の裏側まで考えます。見えないところまで、しっかり作り込むか否かが、全体の建物の質に関わると信じているからです。ところが隈研吾氏の設計にはそれが感じません。だから大手ゼネコンからするとコントロールし易い設計者なのでしょう。

『隈案ならザハのままで良かった』

全体の構成は、大成建設の意向に沿ってそつなくまとめて、エントランスや、ロビーや、控え室など上手くまとめたのが隈研吾案です。皆さんがスタジアムを訪れれば、「良いんじゃない?」と思うでしょう。しかし和のテイストのインテリアはザハ案でも採用されていました。実際に図面を書いたのは日本人ですからね。

『伊東豊雄の集大成か?』

日本の建築界を過去30年間引っ張って来た伊東豊雄氏は、東京で大規模な建物を手掛けた事がありません。前回のコンペ時に気の抜けたビールみたいな案を応募しましたが、今回のB案は、少しは考えたと思います。30年後に皆さんの記憶に残るのは、間違い無くB案(伊東案)ですが、ザハ案を超えたかは微妙です。


人気ブログランキング参加中。安倍政権と今の日本を象徴しますね。とのお方は以下のリンクをクリックにてご支援のほど宜しくお願い申し上げます。


人気ブログランキングへ



「ディック・デイル/ミザルー」

『進撃の庶民』は行き過ぎたグローバリズムなどに警鐘を鳴らすブロガー支援目的のサイト。本エントリーは同ブログ水曜日に連載中のコラムを転載。







コメント欄ルール:ご意見ご批判を含め自由に議論して頂いて結構ですが、社会常識や礼儀を伴わないコメントは、適宜削除しアクセス禁止としますので、ご注意ご容赦下さい。