トランプ大統領がつtwitterでティラーソン外相に対して「北朝鮮との交渉は時間の無駄」と批判して、一体この問題がどのような結末を迎えるのかは筆者には全くわかりませんが、今回は北朝鮮の問題を少し俯瞰して考えてみようと思います。

 

まず最初に指摘したいのは近代に入ってから朝鮮半島の国家体制を決める要因となったのは朝鮮半島に住む人々の意向ではなく、外部の勢力によって決められてきたという冷酷な事実です。

 

日本が日清戦争に勝利し、朝鮮半島から中国の影響力を排除し、大韓帝国と自ら名乗ります。

 

日本への三国干渉により大韓帝国はロシア寄りの外交をとりますが、日本が日露戦争に勝利したことで、ロシアの影響力はなくなり、日本に併合されることになりました。

 

ところが、日本が第2次大戦に敗れたために、ソ連が支持する北朝鮮とアメリカが支える韓国という分断された国家が朝鮮半島に誕生したのです。

 

北朝鮮の金日成はスターリンの許しを得てから韓国に侵攻しますが、アメリカに反撃されて大失敗してしまいます。

 

朝鮮半島においてソビエトのスターリンはアメリカと直接戦いたくなかったので、金日成に亡命を勧めますが、その時に中国の毛沢東が参戦したことで金日成は生き延びることができたのでした。この時点で北朝鮮のパトロンがソ連から中国に変わったのです。

 

米ソ冷戦中、北朝鮮は中国とソ連が対立していたことを利用して、両者から無償で食料や燃料を手に入れて生き延びました。

 

冷戦が終了したことで、ロシアは北に対する援助を取りやめて、基本的に現金ベースで動いています。一方中国の場合はそうでなく、年間50万トンと言われる石油を無償でパイプラインで送っているのです。食料の援助も無償で行なっています。

 

テレビなどで北朝鮮に対して現在もロシアが中国並みの影響力を持っていると指摘する評論家がいますが、絶対にそんなことはありません。

 

あくまでも中国の無償の燃料や食料の援助によって北朝鮮は生き延びているわけです。

 

つまり現在において朝鮮半島が未だに2つに分かれている理由は、東アジアにおいて北朝鮮を維持したい中国とデモクラシーの韓国を支持するアメリカが対立していることが朝鮮半島で映し出されていることにすぎないのです。

 

もし現在アメリカが米韓同盟や日米同盟を破棄してハワイまで引き下がれば、北朝鮮主導で統一が進むでしょうし、中国は統一された朝鮮がデモクラシーになり中国との国境と隣り合うことを嫌がりますから、北朝鮮主導で統一された朝鮮半島は絶対にデモクラシーではあり得ないでしょう。

 

一方、中国において共産党の一党独裁が崩壊し、民主化することがあれば、北朝鮮のような残酷な体制の国家に対して無償で燃料や食料を援助することに疑問を感じるかもしれませんし、中国のような巨大な国家で一党独裁がなくなれば当然北朝鮮の独裁にも影響を及ぼすでしょう。この場合は韓国主導で統一が進むでしょう。

 

現在の朝鮮半島情勢が分断されている根本的な理由は、一党独裁を維持したい中国とデモクラシーを支持するアメリカの根本的なイデオロギーの違いが東アジアにおいて厳然と存在しているからです。

 

ところが、このような単純な理解を妨げているのが、アメリカにおいて中国とアメリカは決して米ソ冷戦時代のようなことがあってはならないというやたら中国に甘い考え方が根強いからです。

 

アメリカが中国に対して「封じ込め」政策をとらない理由についてジョセフ・ナイは、ソ連は共産主義を輸出しようとしているが、中国はそんなことをしていないから「封じ込め」は必要ではないと答えていますが、私にはあまり納得できるものではありませんでした。

 

というのも、中国が維持しようとする一党独裁とアメリカが支持するデモクラシーの対立はそうそう簡単に妥協できるものではないからです。

 

では、朝鮮半島の分断が東アジアにおける共産党の一党独裁とアメリカのデモクラシーの対立を反映していると仮定すれば、どのような結果が得られるでしょうか。

 

北朝鮮の核やミサイルの問題でアメリカが北朝鮮と戦争を行なってもほとんど無意味で、いずれは中国が出てくるでしょう。朝鮮戦争の時、国連軍が鴨緑江に近づいた時点で中国軍が参戦したのと同じです。

 

一方、アメリカと中国が北朝鮮の問題で談合して決めるという案もほとんど不可能でしょう。中国が北朝鮮に必要以上の圧力をかけるとは思えないからです。

 

東アジアにおいて、アメリカと中国のイデオロギー対立に決着がつかない限り、それを反映した朝鮮半島の問題も解決しないのです。

 

希望の党が左翼を切り捨てることができて、自民党以外に有力な保守政党ができれば日本にとって外交でも内政でも良い影響が出てくるのじゃないかと思っています。

 

なぜなら、一度自民党という政党を客観視すれば、この政党はかなり「幕府」化が進行していると思われるのです。

 

現在の安倍総理の祖父は岸信介であり、父親は晋太郎で、3代に渡る政治家です。

 

安倍総理を支える麻生財務省も祖父が吉田茂というサラブレッドです。

 

そして、次に総理大臣になるかもしれないと言われている石破茂氏も父親が政治家でしたし、岸田文雄氏も父親と祖父が共に政治家でした。

 

さらに自民党のライジング・スターである小泉進次郎や外務大臣の河野太郎も3代続く政治家なのです。

 

一概に世襲が悪いとは思えませんが、ここまでくると少し異常です。

 

日本の政治がなかなか官僚主導から脱することができないのも、専門性を持たないゼネラリストの世襲政治家が政策を官僚に丸投げするからでしょう。

 

このような自民党に本当に日本の舵取りができるのか、このところ疑問に思えてきました。

 

 

私は安倍総理が「消費税増税の使い方を決めるために」選挙を行うと語ったことについて残念に思うと共に財務省との戦いに敗北したことを実感しました。

 

消費税増税を延期することを掲げて選挙を戦った政権がやるような選挙とは思われなかったのです。

 

おそらく三橋貴明さんが指摘したように消費税増税派の前原氏が民主党の代表についたことで、このことが争点にならないと踏んだのでしょう。しかし、そのことが小池百合子氏に付け入る隙を与えてしまったのです。

 

青山繁晴氏が『虎ノ門ニュース』で消費税を増税することの危険性を訴えていましたが、そのことが現実になった訳です。

 

それにしてもあれほど安倍総裁の「一強」とマスコミでは書かれていたのにもかかわらず、安倍総理は財務省に抵抗できなかったのでしょうか。

 

前にもこのブログに数回書きましたが、フランシス・フクヤマは安定したリベラル・デモクラシーを運営するためには3つの要素が必要と書いています。

 

1つ目は法による支配。

 

2つ目は選挙などのアカウンタビリティー。

 

そして3つ目が官僚制などを含む強い国家。

 

この中でフクヤマは日本において官僚制度が強すぎることを問題に挙げ、戦前の満州事変について指摘しています。

 

本来。国家目標は選挙で選ばれた政治家が決めるはずなのですが、日本では現在もそのようになっておらず、ほとんど官僚が決めているのです。

 

消費税増税の問題も民主党政権の後半に財務省主導の3党合意によって決められ、それが国会で議論されることもなく、現在の政権を束縛しています。

 

3党合意の「しがらみ」をなくすには、有権者としては選挙でそれをひっくり返すしかないのでしょう。

 

現在の日本国憲法では明治憲法に比べて格段に総理の権力は強化されているはずなのですが現実にはそのようになっていません。

 

ただ明治憲法の欠陥は制度的には修正されています。戦前の近衛内閣のように総理が中国からの撤兵を陸軍大臣に要求して、陸軍大臣がそれを拒否して内閣が瓦解するような事態は現在は考えられないでしょう。

 

だから現在の官僚制度を飼い慣らす力はあくまでも政治家に責任があって安倍総理には残念ながらそのような力がなかったのです。

 

安倍政権とは財務省に抵抗しようとして無残にも敗れ去った内閣だったのです。