永遠の片想いをする羽目になってしまった私の目を
引いたタイトルだったので、読んでみた。
ジェンダーや生物学的な意味を超えた「生き方」を
主題にした作品だった。
ただ、リビングに転がしておいたのがいけなかったのだが
母親が「宿命」と「片想い」を勝手に読んだ挙句、
「内容が松本清張ほど複雑じゃなくてつまらない」とか
「底が浅くて面白くない」とか批評を始めたのが不愉快だった。
東野作品の初期は確かに多少そういうきらいもあるが
(漠然とストーリー展開が見えてくる)、
少なくとも、私は好きで読んでいて、
しかも「宿命」に関しては特別な思い入れがあるのに、
そういうことを言われるのは非常に不愉快である。
しかも勝手に人の本を読んでおいて、である。
「片想い」も「宿命」も憎しみや悲しみの質が白夜行よりも
少し異質だからか、読んでいても精神不安定にはならないが、
片想い、面白かった。
宿命は、ようやくすべての点と線がつながった。