アイガー北壁
先週から公開のアイガー北壁を有楽町で観賞。
東京ではあとは渋谷でしかやってない。
山岳映画ってやっぱり需要が少ないのかな。
ナチス政権下、ベルリンオリンピック直前に巻き起こった、
スイス:アイガー北壁ルート初登攀を賭けた登山家の悲劇を描いた作品。
迫力・衝撃凄まじく、ストーリーも映像も申し分なく、すごくよかった!
いまのような高度に開発された山岳装備はない。
ウールや綿のウェアに、重くかさばる登攀ギア。
劇場には実際に撮影に使われたゴーグルやハーケンが展示されていたが、
こんな粗末な(今のものに比べれば!)に命を託すのか…。
そんな条件で天候の不安定な高峰にバリエーションルートで挑み、
敢えなく全員が還らぬ人となった。
そういう歴史の上に、今の山岳技術があるんだなぁ。大変なことだ。
観ているこっちが震えてくるようなシーンが続き、
思わずプリマロフトのアウターにくるまりつつ観てしまった。
思えば、ドイツ映画は今まで何本観たことがあるんだろう。
ドイツ映画として意識して観たことはない。
けれどこれは当たりだ。
不自由な時代の、ピュアな精神を持ったスポーツマンの
助け合いと未知への挑戦は、観る側をシンプルにさせてくれる。
登る山は、彼等とは国も時代もレベルも全く違うけれど、
自然に対する敬意を持って登ろうと痛感した。
終わり方がまた心を打つ。
目の前で愛する恋人を亡くした女性が、その後の回想でこう放つ。
「私はまだ生きている。
しかし、誰かを本気で愛している瞬間こそ、
自分が真に生きている瞬間だ。」
愛する誰かを失うのも、愛する誰かを残して死ぬことも、
誰にとっても望むものじゃない。
そんな愛する誰かがいないボクは、また、複雑な気持ちです…。
そういや、偶然、劇場に向かう途中で弟夫婦とばったり出会い、
一人で映画館に入ったのでした。
兄貴もそろそろ落ち着かないとね。
あー、日曜の独り言にしてはちょっとシュールかな…。
いやいや、充実した週末の締めくくりだった。




