昨年のピティナのコンクールで幼稚園児だったRくんは、あまりコンクールの意味が分かってなかったのか、なかなか曲にならず、最後追い上げたものの、予選落ちでした。
家のピアノが電子ピアノなので、できるだけ、教室の2階にあるアップライトピアノを使って練習してくださいと、お母さんにお話ししたのですが、あまり必要性を感じておられなかったのか、下の子供さんが小さいためか時々しか弾きに来られなかったです。
でも、幼稚園児ですから、あまり厳しく追い上げたりせず、「そのうち分かってもらえるかな」と思っていました。
同じ年の生徒さんが次々本選で賞を取ったり、全国大会を決めたりしていきました。悔しかったと思います。
その年の発表会は、とても頑張って弾きました。
「表現力がついてきたねー。ピティナの課題曲が出たらがんばろうね。」と励ましました。
Rくんは一年生になりました。Rくんの小学校は5月に運動会があるので、春休みが終わると、運動会の練習が始まります。ただでさえ、一年生に入学した時は生活自体が大変です。その上、1日何時間も暑い中体育の授業があります。
Rくんは学校が終わると、電車に乗り、木屋町で降りて、汗をかきながら歩いて、毎日私の教室に来ました。
そして2階に上がり、練習を始めます。
お母さんが途中から来られて、練習を見られて、連れて帰られます。
Rくんがランドセルをしょって汗だくで歩いている姿を、他の生徒さんのお母さんが見かけて、涙が出たそうです。
それから再々グランドピアノをレンタルして練習に行って下さいました。
神様は見てくださってたんですね。
予選当日。
娘が会場で聴いててくれて、演奏が終わったらすぐ「Rくんうまかったよ。」
とラインをくれました。
なんと今年は2つも予選優秀賞です。
そして、広島本選では音が抜けてしまい、賞はもらえませんでした。
「固さが取れたらもっといい音になるし、音もぬけないのに。もう、それだけ。音楽はできてるから。」
「下半身をしっかりして、肩の力を抜いて、あとは沢山弾くのみ」
とアドバイスしました。
最後まであきらめなかったRくんは四国本選で優秀賞をいただきました。
精神的にひとまわり成長したRくん!おめでとう。
竹本喜代美
