四年生のRくんのお母さんが、「野球が忙しくなるし、塾にも行き始めたので、今回のコンクールを最後のコンクールにしようと思います。」
と言われたのが、去年の秋です。
Rくんがピアノを習いに来始めたのは年中さんの時です。
人の言うことが聞けない。なかなか強情で、ちょっと眠いと機嫌が悪く、レッスンにならない事もしばしばでした。
こうなれば根比べ。
納得いけば言うことを聞いてくれるだろうと、
なぜ指を丸くしないといけないのかとか、手首を下げたらいけないのか、よく説明しながら指導しました。
ある日レッスン中に「先生、僕は先生の教え方がうまいからここに通っているんだよ。」と笑顔で言われて、大笑いしました。
しだいに、彼は自分で考えて行動したいのだと分かってきました。
お母さんと相談してコンクールに出す事にしました。男の子は目に見えるトロフィーや賞状、つけられる点数などで分かっていく部分もあるかなと思ったからです。
やはり、
「ここはこう弾いた方がいいよ。」
というと、
「しよる。」とか、「できとる。」
という返事が返ってきます。
でもコンクールに出ると講評にできてないところが書いてあって、点数も書いてあります。
コンクールに出るたび、彼は学習し、成績が少しずつ上がってきました。
そしてついに、小学生4年のコンクールでは、
私のする注意に対して積極的に直そうと練習し、
「良く弾けてるよ。」
といっても
「いや、納得いかん。もっとうまく弾きたい。」
と言って熱心に練習し始めました。
ピアラのコンクールで自由曲を弾き、
結果の発表です。
次々と入賞者の発表があります。でも、名前が呼ばれません。
とうとう、銅賞の発表になりました。
Rくんの小さい時からの友達で、私の娘の教室で2年ほど前からピアノをならっているRくんが呼ばれました。
彼は、ピアノを始めて2年しか経っていない友達に負けたのかもしれないと、不安になりました。
銀賞の発表になりました。
やはり名前は呼ばれませんでした。
Rくんの家族みんなRくんをなぐさめました。
「今回だめだったけど、良くがんばったけん!」
ところが
金賞の発表でしっかり名前を呼んでもらえたんです。
お母さん、泣きながら喜びました。
そして、友達と一緒に広島本選に!
友達はバスケット、Rくんは野球で忙しい中少しずつ練習時間を工夫しました。
広島本選ではなんと、友達と2人全国大会行きを決めました。
全国大会に行く日は朝6時の電車でしたので、5時半からレッスンをして、どうか彼の最高の演奏が出ますようにと、祈っていました。
ちゃんと弾けたようです。
賞はもらえませんでしたが、本当に良くがんばりました。
メロディーラインを出すために指使いを全部かえたり、自由曲はルバート入れたりしましたが、素直にがんばりました。
いつの間にか、彼は野球をして、塾で勉強して、ピアノも上手で、妹にもとても優しい素晴らしい少年に成長しました。
全国大会の演奏をDVDにして購入しているようなので、見せてもらえるのを楽しみにしています。
竹本喜代美