【ゆらぐ季節、ゆらぐ私】

第5話:

雨が明けるころ、私の“心の声”が聞こえた


― ゆらぎの季節の終わりに ―




湿気、気圧の変化、寒暖差──

この時期、季節が梅雨に向かって動き出すとき、
私たちの体や心にも“微細なゆらぎ”が忍び寄ってきます。


5月末の「なんとなく不調」は、
ただの季節のせいじゃない。
40代という、ホルモンや神経、代謝の変化が重なる世代では、
体の声と心の声が複雑に絡み合いながら、サインを送ってきます。


このシリーズでは、そのサインに気づき、自分を見失わないための5つの視点を分子栄養学の知見も交えて掘り下げてきました。



▽第1話

梅雨前に感じる体の「違和感」に気づく力
→ セロトニンや自律神経の調律を整える視点から

▽第2話

「寝ても取れない疲れ」と湿度・睡眠環境の関係
→ マグネシウムとビタミンB群の役割に注目

▽第3話

気圧と血糖値のダブルパンチが感情に与える影響
→ 血糖コントロールとイライラの因果関係を考察

▽第4話

雨の日に思考が重くなる理由──それは「脳疲労」だった
→ 脳の酸化ストレスとグルコース代謝の視点から



そして今回、第5話では、
“ゆらぎの季節”を越えたその先で浮かび上がる「心の声」に焦点を当てます。

変化を乗り越えたあと、私たちは何に気づき、どう整えていくべきか──?




季節が一段落するとき、「心」が動き出す



気圧や湿度が徐々に安定し始めると、
体調は小康状態を取り戻しつつあります。
すると、その静けさの中から「感情の輪郭」が浮かび上がってくるのです。


まるで、霧が晴れたあとに心の声がふいに聞こえてくるような感覚。


「このままでいいのかな」
「何かを変えたくなってきた」


それは“疲れのあとに訪れる正常な反応”です。

分子栄養学的には、ストレス環境下で分泌されていたコルチゾールが落ち着き、
神経伝達物質の再合成(とくにセロトニンやドーパミン)がゆっくりと立ち上がるタイミング。


心が「止まったまま」でなく「動き出す」のは、
回復力=レジリエンスが働いている証拠なのです。




「何かを変えたくなる」のは、本能かもしれない



ふとしたときに感じる、暮らしや人間関係への違和感。
それは、内側のエネルギーが再構築されるサイン。


疲れが蓄積すると、交感神経が優位になりがちで、
本来の「心の声」に気づく余裕がなくなります。

でも、副交感神経がじわりと戻ってくるこのタイミングでは、
“今のままでは違和感がある”という小さな気づきが感情として浮上します。


例えば、
💡ルーティンに飽きてきた
💡家族との距離感にモヤモヤしている
💡もっと自分に時間を使いたいと思い始めた


これらはすべて、「変化の必要」を知らせる本能の声。


分子栄養学では、ビタミンB6不足によって情動が不安定になることも知られています。
気持ちのムラは、自分の性格のせいじゃない。
栄養状態も含めた「体からのメッセージ」なのです。




「ほんとうに必要なもの」に目を向けるとき



ここからのセルフケアは、
“足し算”よりも“引き算”。


情報、物、タスクに囲まれた暮らしは、
それだけで副腎(ストレス応答の臓器)に負荷をかけます。
とくに、40代以降は副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)にも注意が必要。


5月末から6月初旬は、環境を整えるのに絶好のタイミング。

たとえば──
💡スマホの通知を一時オフにする
💡予定のない週末を1日つくる
💡キッチンの引き出しをひとつ整える


小さな「引き算」は、
ノルアドレナリンやアドレナリンといったストレスホルモンの過剰分泌をリセットする時間になります。

結果として、
“今の自分”を取り戻す余白が生まれてくるのです。




感情を丁寧に扱う、というセルフケア



不機嫌、イライラ、落ち込み──
どれも「なくす」のではなく、「そのまま」にしておくことが
真のセルフケアにつながります。


感情は、神経伝達物質(セロトニン・GABA・ドーパミンなど)のバランスと密接に関係しています。
その合成には鉄・亜鉛・ビタミンB群などが不可欠。


だから、感情の揺れに対して、
「自分を責めない」ことがとても大切です。
✅頑張れない朝があってもいい
✅イライラする日があっても当然
✅ひとりになりたくなる夜も、体のSOSかもしれない


そうした「ゆらぎ」こそが、
今の自分のバロメーターです。




「自分を整える」とは、力まずに日々を味わうこと



「ちゃんと生きる」より、「ちゃんと感じる」を。


梅雨入り前の静けさの中で、
小さな“心地よさ”を見つける力が、
あなたの神経系とホルモンバランスを、そっと整えてくれます。

✅朝、好きな香りを深く吸い込む
✅雨音をBGMにぼーっとする
✅湯船にじっくりつかる


五感をとおして、今を感じることが、
心身を再起動するきっかけになります。

分子栄養学的にも、五感の刺激は副交感神経の活性とセロトニン分泌の後押しになります。




まとめ:変化のあとに、ほんとうのケアが始まる



5月末の「ゆらぎ」は、
体調を通じて、心の奥にアクセスさせてくれる「変化の予告編」。


この時期、私たちにできることは、
がんばることでも、整えすぎることでもなく──


“ただ今の自分を受け入れる”こと。


整えるとは、立て直すことではなく、
“そっと寄り添う”こと。

それが、この時季にいちばん大切なセルフケアです。



【シリーズ完結に寄せて】


全5話を通じてお届けしてきた「ゆらぐ季節、ゆらぐ私」。
5月末という、気候も心身も不安定な時期に、
少しでも「自分と向き合うきっかけ」となっていれば嬉しく思います。


変化の波を、どうか無理せず、やさしく越えていってください。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。



次回予告



この5月投稿シリーズを振り返る「まとめ」記事を、近日公開予定です。
分子栄養学の視点と、セルフケア実践ポイントを再確認できる構成になります。
ぜひそちらもお楽しみに✨