名古屋城本丸御殿
6月1日から名古屋城本丸御殿の第二期工事部分、対面所、下御膳所が公開され、見学してきました。
上の写真は玄関部分、唐破風の式台。左が表書院です。屋根は薄い板を重ねた杮(こけら)葺となっています。
本丸御殿公開部分見取り図
右下から玄関、表書院、対面所が左上に向けて雁行状に並んでいます。対面所の北側に台所、右に料理などを温める下御膳所があります。
対面所の左側に上洛殿がくることになりますが、こちらはまだ工事中です。
上洛殿は寛永11年(1634年)、三代将軍徳川家光が上洛する際、宿泊に使われた殿舎で、本丸御殿の中で最も豪華な殿舎です。
対面所内部
対面所は藩主と、家族、または家臣との内向きの対面、宴会に使用されました。
玄関や表書院同様、元和元年(1615年)頃までに完成したと言われています。
対面所見取り図
表書院に比べてやや小さい殿舎です。
南側に対面所上段之間、次之間。北側に納戸一之間、ニ之間が配置されています。
上段之間天井
対面所の天井は黒漆塗りの二重折り上げ小組格天井となっています。
格天井とは格縁と呼ばれる部材で正方形の格子を造り、その中に小組と呼ばれる小さな格子を組み込んでいます。
対面所上段之間は、藩主が座る場所の天井がさらに一段高くなっている、二重折り上げ格天井と呼ばれる最も格式の高い天井です。
亀の尾(支輪)
格天井の縁の曲げ物の部材を「亀の尾(支輪)」と呼びます。
亀の尾によって折り上げられ、折り上げ格天井と呼ばれました。
次之間天井
上段之間と同じく黒漆塗りの小組格天井ですが、一段しかない折り上げ格天井となっています。
表書院天井
こちらは表書院の天井です。こちらは格縁は素木で、格子の中に素木の小組が入っています。
亀の尾が一段しかない折り上げ小組格天井となっています。
対面所、襖絵などの説明
対面所上段之間には愛宕山、上賀茂神社、吉田神社など、京都の名所が描かれ、次之間には紀三井寺、玉津島神社、和歌浦天満宮、和歌山城下の賑わいなどが描かれています。
初代尾張藩主、徳川義直の正妻、春姫は、和歌山藩主、浅野幸長の娘で、生まれ育った和歌山の風景が描かれています。
上段之間帳台構え
帳台構えは、いざという時に、武者を隠しておいたり、逃げ込む設備です。
しかし裏の納戸にはそれらしい引き戸がないので、ダミーということになります。
次之間
次之間北側には、和歌浦天満宮や、和歌浦での塩造りなどの風俗が描かれています。
付け書院欄間
付け書院の欄間には緻密な組子細工が填め込まれています。