豊橋市には今では珍しくなった路面電車が走っています。路面電車は昭和40年代以降の自動車社会によって、道路を占有する邪魔な存在となり、廃線が相次ぎ、東海地方では唯一の路面電車になります。正式名称は豊橋鉄道東田本線と言います。
その歴史は古く、大正14年(1925年)7月14日に豊橋鉄道の前身、豊橋電気軌道によって、駅前、神明、札木十字路間0,8キロ、および支線となる神明、柳生橋間1,1キロが開通。7月21日に札木十字路停留所から赤門前停留所1,1キロが開通。そして12月25日に赤門前停留所、東田停留所1,2キロが開通しました。
戦後、昭和25年9月27日に競輪場前停留所まで延伸。昭和35年6月1日に赤岩口停留所まで開通しました。
昭和51年3月7日に、柳生橋線が廃線となるものの、昭和57年7月1日に、赤岩口停留所の一つ手前、井沢停留所から運動公園前停留所の間0,6キロが開通しました。路線総延長は5,4キロ。軌道幅は1067ミリ。駅前停留所から井原停留所までが複線となり、井原停留所から運動公園前停留所に分岐するカーブは半径11メートルと日本一きついカーブとなっています。
路面電車の軌道
豊橋市公会堂前の歩道橋より、西方面を写しました。国道一号線を走っています。
モ3200形
以前は名鉄岐阜市内線を走っていたモ580形になります。昭和51年、56年に合計3両、名鉄より譲り受けました。幅は2236ミリとなっています。
以前にはなかった、天井にエアコンの設備が乗っているのが、現代の路面電車なのでしょう。
モ3200形
豊橋駅前停留所で写しました。
交差点を曲がるモ3200形
モ3500形
東京都電荒川線を走っていた7000形を平成4年、11年に合計4両、譲り受けました。都電の軌道幅は1372ミリだったのを1067ミリに変更しています。昭和29年から31年にかけて製造された、モ3200形に似た古いタイプの路面電車でしたが、その後改造され、角張った現代的なスタイルとなっています。
モ3500形
モ3500形内部
モ780形
名鉄岐阜市内線、揖斐線を走っていたモ780形です。平成9,10年に7両製造されました。平成17年に揖斐線が廃止された後、7両全て譲渡されました。幅が2100ミリと、他の車両に比べ幾分狭くなっています。
駅前でモ3200毛糸すれ違うモ780形
東田線には他に、名鉄美濃町線、田野神線を走っていたモ800形1編成と、豊橋鉄道が平成20年に東田線開業以来83年ぶりに新造したT1000形1編成があります。どちらも低床のLRV(ライトレールビークル)です。