「28日後...」 | こだわりの館blog版

「28日後...」

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
28日後... 特別編

【真夏の夜のホラー特集】第9弾ではイギリス映画「28日後...」であります。
「トレイン・スポッティング」のダニー・ボイルが手がけた【ゾンビもの】という事で、
最初は意外だなぁ、と思いつつ、
見ていくうちにダニー・ボイルの描きたかった事は【ゾンビの恐怖】より他のところにあったようで、
それがホラーの王道【ゾンビもの】と繋がって不思議な感触の作品となっております。

真夏の夜のホラー特集第9弾
2003年劇場公開作品
監督:ダニー・ボイル
出演:キリアン・マーフィ 、ナオミ・ハリス、クリストファー・エクルストン、ミーガン・バーンズ、
    ブレンダン・グリーソン、他

オープニングは【ゾンビもの】の王道をいくストーリー展開でありました。

  怒りを抑制する薬を開発中のとある霊長類研究所に、
  ある夜、動物愛護を叫び動物愛護活動家たちが侵入する。
  彼らは研究員を射殺し、隔離されていたチンパンジーたちを解放するが、
  そのチンパンジーたちはウィルスに感染している実験用チンパンジーであった。
  チンパンジーたちは檻から出た直後、活動家の一人を襲い、
  襲われた活動家もチンパンジーに噛まれたことで豹変、仲間に襲い掛かる…。
  研究所は阿鼻叫喚の様相となる。


  28日後…。
  交通事故で昏睡状態に陥っていたバイク・メッセンジャーのジムは、
  ロンドン市内の病院の集中治療室で意識を取り戻す。
  ベッドから起き廊下をさまようジムだったが、何か雰囲気が違う。
  院内に全く人の気配がなかったのだ。
  人影を求めて街へ飛び出したジムは、そこで驚くべき光景を目にする。
  街に人がひとりもいなかったのだ…


ダニー・ボイルが描きたかった点のまず1点目はココ。
誰もいない荒廃したロンドンの街並みであります。
オープニングでご承知の通り、
チンパンジーによりウィルスに感染した人間たちは次々と【ゾンビ】化し殺し合いを展開。
生き残った者たちも集団でイギリスを脱走し、
ジムが目を覚ました28日後にはロンドンの街は【もぬけの殻】状態になっていたのであります。
誰もいないロンドンの街並みをさまようジム…このシーンが異様な迫力で目前に展開されます。
さぞかし撮影は大変だったろうなぁ、言うのはゲスの勘繰りで
サイバーパンクの基本は、まずは【荒廃した世界】を描く事ですから、
ダニー・ボイルはまずはこの世界に並々ならぬ力を注いでいます。
しかも“28日後”という非常に短い期間での荒廃ですから
、昨日まで見なれていた風景が一挙に荒廃した状態で、
そのリアルさと迫力はへたくそなSF映画なんかより数段上であります。


  ジムは荒廃したロンドンを歩き回っているうちに、数少ない生存者たちと遭遇。
  昏睡状態の間に起こった出来事もその人たちから事情を聞きます。
  ゾンビたちの絶え間ない攻撃をかわしながらも必死に生き長らえる生存者たち。
  やがてジムは緊急避難場所に軍隊が陣取り、生存者たちを守っているという情報を聞き、
  生存者たちと緊急避難場所へ向かう。
  向かう途中で犠牲者は出してしまうものの、なんとか目的地に着いたジムたち。
  しかし、陣取っていた軍隊は無法地帯の強暴集団に成り下がっていたのであった…。


ダニー・ボイルが描きたかった点の2点目はココ。
生存者たちの醜い権力争いそしてそこから起こる殺し合いであります。
本来、生存者たちの敵はゾンビたちであり、
一致協力してゾンビたちと戦わなければならないはずなのに、
知らず内に生存者たちの間で権力の奪い合いが生じ、遂には殺し合いまでが展開する。
ダニー・ボイルは皮肉な視点いっぱいで、
この生存者たちの目的を見失った愚かな争いを描いていきます。
その様は後半、ゾンビの影もかすむほど、生身の人間のほうが数段恐ろしい存在に成り下がります。


ようは、ダニー・ボイルはゾンビという表現手段を借りながらも
【人間の愚かさ・怖さ】をサイバーパンク調に表現したかったのでしょう。
だったら【ゾンビもの】という手段で主題をぼやかさず、
もっとストレートに物語を展開させた方が説得力を持ったのでは…とも思いつつ、
ウィルスに感染した【ゾンビ】たちは、他の映画のゾンビと違ってただひたすら狂暴で、
その表情はまるでこの世に対して【怒りをぶつけている】かのようであります。
その怒りの表情をダニーボイルの【社会に対する怒り】として置き換えてみると、
やっぱり【ゾンビもの】の手段は本作では必要不可欠だったのかなぁ、
と改めて思った次第です。


■本作はゾンビ版のこれ、っていう感じ

  
  ジェネオン エンタテインメント
  トレインスポッティング 特別編

■過去の記事はこちら
 ●ドーン・オブ・ザ・デッド(【真夏の夜のホラー特集】第1弾)
 ●テキサス・チェーンソー(【真夏の夜のホラー特集】第2弾)
 ●ゴシカ(【真夏の夜のホラー特集】第3弾)
 ●4人の食卓(【真夏の夜のホラー特集】第4弾)
 ●デビルズ・バックボーン(【真夏の夜のホラー特集】第5弾)
 ●ノロイ(【真夏の夜のホラー特集】第6弾)
 ●シャドウ・オブ・ヴァンパイア(【真夏の夜のホラー特集】第7弾)
 ●ニコラ(【真夏の夜のホラー特集】第8弾)

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