「ニコラ」 | こだわりの館blog版

「ニコラ」

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ニコラ

【真夏の夜のホラー特集】第8弾ではフランスの「ニコラ」を取り上げましょう。
これは【ホラー映画】じゃないでしょ、と思われるかもしれませんが、
なぜこの特集で取り上げたかは後ほどゆっくりと…。

真夏の夜のホラー特集第8弾
2001年劇場公開作品
監督:クロード・ミレール
出演:クレモン・ヴァン・デン・ベルグ、フランソワ・ロイ、イヴ・ヴェローヴェン、ロックマン・ナルカカン、
    エマニュエル・ベルコ、他


「ニコラ」は「なまいきシャルロット」クロード・ミレールが監督した1998年の作品。
1998年のカンヌ映画祭審査員賞を受賞していますから、立派な芸術作品とも言えましょう。


  子供を取り巻く社会に不安を感じている厳格な父のもとで、
  学校にも行かず家庭での教育で育った内向的な少年ニコラ。
  そのニコラがは冬期林間学校に参加する。
  もちろん事故に巻き込まれてはかなわない、
  と皆が乗るバスとは別便で父はニコラを車で送り届ける。
  学校にもロクに行っていないニコラは不安でたまらず、
  どんどん悲観的な妄想が頭に浮かんでしまう。
  やがて親しい友人もできるが、ニコラの妄想は止まらない。
  悲観なものから、残酷なもの、ある時はエロティックなものまで…
  仕舞には友人たちに妄想を現実に起こった事として話すようにまでになる。

  そんな或る日、学校のそばで殺人事件が起きる。
  ニコラと同じ位の年の少年が殺されたのだ。
  学校は一時パニック状態となるが、
  この殺人事件が、まさかニコラを妄想から現実の世界へと目を覚ますきっかけになるとは…。

子供は時々、大人が見たらビックリするくらいの
えらくグロテスクな世界を好んだり、想像したりしますよね。
私の子供の頃もそうでした。
コワイのが苦手なのにホラー映画が好きでしたし、
漫画なんかでも「ゲゲゲの鬼太郎」や楳図かずおのものなんか好きでしたし…
今でもホラー映画が好きなのは、この子供の頃の趣向が残っているからなのかもしれませんね。
この残酷なまでの子供の頭の中を「ニコラ」ではクロード・ミレールが実にうまく映像化しています。

オープニングの不気味なまでの車の疾走シーンから、なにやら怪しいムード満点で始まります。
これ全てニコラの視点で描いているからこそ、全編が怪しい雰囲気になっているのですね。
特にニコラは、厳格な父親に育てられた【社会】を知らない極端に内向的な性格ですから、
残酷な妄想もしだすと歯止めがききません
妄想の中では人は平気で殺しますし、
ごく日常的な風景でも、必ずこれはその後残酷な世界へと変わると決めつけて、
グロテスクな妄想し始めます。
しかし林間学校のそばで起こった殺人事件は、
やがてニコラの目前に残酷なまでに現実の世界を突きつけて、
彼を厳しい現実社会へ叩き落し「妄想している場合じゃないぞ」と目を覚まさせる事となります。
クロード・ミレールのそれまでのニコラへの優しい眼差しは、
後半厳しいまでに冷たい視線へと変わり、見る者をゾーッとさせるのです。

作品の異様なムードやちょっとグロテスクな物語展開やらで、
「ニコラ」はフランスという【お国柄】だからこそ芸術作品に成り得たのでしょうが、
アメリカあたりでこの題材を映画化したら、
ニコラが妄想するえげつないまでの【恐怖】を、
さらに誇張した立派なホラー作品になってしまったでしょうね。

描き方によっては立派なホラーになる題材だ、という事で
だから…今回の特集に本作を取上げた次第です。

■過去の記事はこちら
 ●ドーン・オブ・ザ・デッド(【真夏の夜のホラー特集】第1弾)
 ●テキサス・チェーンソー(【真夏の夜のホラー特集】第2弾)
 ●ゴシカ(【真夏の夜のホラー特集】第3弾)
 ●4人の食卓(【真夏の夜のホラー特集】第4弾)
 ●デビルズ・バックボーン(【真夏の夜のホラー特集】第5弾)
 ●ノロイ(【真夏の夜のホラー特集】第6弾)
 ●シャドウ・オブ・ヴァンパイア(【真夏の夜のホラー特集】第7弾)

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