「マブリットキバからみんなへ」
マブダチのみんな、そうじゃないみんな。いつも応援ありがとう、マブリットキバだ。
3月11日、オレの、みんなの住む岩手県は大きな地震を受け大きな傷をおった。
そのあと、大きな津波が沿岸に押し寄せ、多くの大切な命が犠牲になったんだ。
オレも大切な友人や応援してくれていたお友達、多くの大切な人を失ってしまった。
みんな、本当にすまない。いつも守るなんていっていて、オレは守れなかった。
マブダチのみんな、亡くなってしまった人々、本当にすまない。
でも、悲しんでばかりじゃいけないと思ったんだ。生きている命がある、
その命の為に、オレが出来ることがあれば命を賭して働きとおすつもりだ。
亡くなった大切な人達、本当にすまない。
今は生きている命の為に働くことを許してほしい。
今、オレは沿岸地域の支援や元に戻すために被災地で働いているぞ。
みんなのお父さん、お母さん、家族、国の人たち、お手伝いの人々、
いろんな人たちが、お互いに支えあって、つながって命を守っているんだ。
オレは鬼だから人じゃない。
でも、鬼だからこそ、痛みや悲しみはとてもよくわかるんだ。
命は素晴らしいんだ。
人は他人の為に傷を負って、守り、泣くことができる強さをもっているんだ。
苦しいし、つらいと思う。泣かずにいられるものか、みんな傷だらけだ。
しかし、最後には人は人を信じるしかないんだ。
何もなくなったとしても、最後に残るものはお互いを想う優しさと愛なんだ。
オレは守れなかった。
もっとみんなに防災や安全について教えておくべきだったと毎日後悔している。
オレはヒーローじゃなかった。
だからオレは「ローカルヒーロー」という称号はみんなに返すぞ。
命を守れず、安全なところからしかモノをいわない自己満足のヒーローなんてオレはゴメンだ。
そしてこれからオレは、体が動く限り、被災地へ行って困っている人たちの手となり、
足となって働くつもりだ。
今のオレは困っているみんなのかわりになって働く「道具」でいたい。
それがオレが見つけた答えだ。
オレはみんなと一緒にはたらいて再建と復興をしていくぞ。何年、何十年、何百年かかってもだ。
必ず再建しよう。必ず復興しよう。約束だ。これからオレは復興の鬼になる。
みんなも人を信じるんだ、自分をあきらめちゃいけないぞ。人の目をみるんだ。
自分が生きている事を忘れちゃいけないぞ。目には見えないけど命は必ず繋がっているんだ。
かならず前よりも美しいふるさとを取り戻そう。
そして先人や旅立っていった命を安心させような。
ゆっくりでいい。命ある限り、一緒に歩いていこう。永遠の約束だ!
復興の鬼 守人牙 マブリットキバより
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こうして、ご当地ヒーローとして活動していた「マブリットキバ」の生みの親である畠山さんは、NPOいわて・郷プロジェクトを立ち上げ、震災後の2011年3月20日から現在まで、東日本大震災において津波被害が大きい岩手県沿岸地域の一つである「山田町」の専属として、災害復興支援組織を構成し学校支援と再建復興作業に勤めているのでした。
「「マブリットキバ」の生みの親であり、子ども達のよき相談役でもある畠山さんは、山田町にまつわるいろいろなエピソードを聴かせてくれました。
そもそも「マブリットキバ」の 「まぶりっと」とは、どんな意味なのでしょう?
実は、これは英語ではなく、岩手の方言だそうです。
岩手の方言で「守る」を「まぶる」と言います。そして「まぶりっと」とは「守る人」という
意味なのです。
家をまぶる。
田畑をまぶる。
お墓をまぶる。
岩手県出身の方なら聞いたことがあるのではないでしょうか。そして若い人たちが働きに出る中、農家の留守を守り、家に残る子供たちのめんどうを見ながら、暮らしの知恵を伝えたおじいちゃん、おばあちゃんは「まぶりっと」と呼ばれました。
《つづく》