人生を変える旅路⑦ 卒業と旅立ち | あなたの人生が一瞬で変わる田仲真治のブレイン・アップデート・キネシオロジー

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 この1年間は本当にいろいろなことがあった。


入ってすぐに、先輩に連れられて、近くに飲みにいったら、同じ会社で、酒癖の悪くて評判の年配のAさんがいて



 「てめえ、何しに来たんだ! その歳で鳶をはじめるだ~!


てめえ、鳶をなめてるのか!」





と、もの凄く怖い顔でつかみかかってきたこともある。



 Aさんは職長で、よく一緒の現場になり、怒鳴られまくった。自分がこんなに物覚えが悪く、ドジだったのか…と落ち込むこともあった。
 

 足場に登ろうとした時に、腰からぶら下げている安全帯が鉄筋に引っかかり、急激に引き戻され、危うく鉄筋で串刺しになりそうなところを何とかかわし、胸の強打と口を切るだけですんだこともある。







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 逆に、自分の不注意で、パイプが人に当たって、ケガをさせてしまったこともある。幸い大事には至らなかったが、身体ひとつで生きている年配の職人さんに対して本当に申し訳なかったと深く反省した。

 鳶を辞める決意をした時、最初に職長のAさんに話した。

また「テメエ、なめてんのか!」と一喝されるかと思いきや、

とても穏やかな声で、



 「そうか、お前の人生だから、俺はとやかくは言わないが、

俺は、『50歳までにお前が一人前になりたい』っていったから、いろいろな仕事もさせたし、口うるさくもいってきた。若いのだったら、2~3年ほっといて、何にも言わないよ。

お前はもう歳だし、後がないと思ったから、怒鳴りもしたけど、





それは、決してお前が憎かったからじゃないからな。お前を育てようと思って言ってきたことだ…。


どこへ行っても同じだ。俺が言ってきたことは、これから、どこで何をするにしても、役立つことだと思うよ。」





そう言ってくれた。そして、人に話したことのないような自分の過去のことや、将来の夢などについて話してくれた。
 
 私は、この言葉を聞いたとき、



「ああ、このことを本当に分かるようになるため、この一年があったのだな…」




と悟った。



 「あなたが憎いから言ってるのじゃないのよ!

あたなの為を思って言ってるのに、どうしてそれが分からないの?!」
 
 
これは、分かれた妻からも、そして、私の育ての母からも、ずっと言われ続けてきた言葉だ。

生みの母2歳で亡くなり、5歳から15歳まで、二番目の母が私を育ててくれた。


 私の為にとても厳しく躾てくれたのだが、あまりに反抗ばかりするので、



「なんでよその子を育ててあげているのに、もっと感謝しないの!」と言われ、



「親が子を育てるのなんか当たり前じゃないか!

 本当のお母さんでないから、こんな仕打ちを受けるのだ」




と卑屈に思い込み、少しも言うことを聞かなかった。

 15歳の時、母が、

「私には実の子が居て、その子が、『お母さん一緒に住もう』っていってくれてるの、信二はどう思う」


と相談を持ちかけてきた。



 その時、



「やっぱり本当のお母さんじゃなかったんだ」



と思うと同時に、



「お母さんを、その子に返してあげなくちゃ…」



と思った。



 「お母さん、本当にありがとう。今まで反抗してきたけど、育ててもらって、とっても感謝しています。僕たちのことはいいから、どうか、その子のところへ帰ってください」

本当はそんな風に言いたかったのだが、口から出たのは



「勝手に出てけよ!その方がこっちだってセイセイするわ!」

 
その数日後、父が不在の夜、兄と自分が眠っている間に、出て行った。

 私は、本当の気持ちを伝えられなかったことを、ずっと後悔していた。 だが、同時に頭ごなしに何かを言われると、素直になれない自分がいた。

 そして、「女は、みんないつか僕を捨てていく」と思い込むようになっていた。 このことは、セラピーを通して、何度も扱ってきたつもりだったのだが、なかなか解決せず、妻とも別れることになった。
(後日談ですが、この問題も完結させることができました。)

http://ameblo.jp/mindupdate/entry-11151657404.ht



一人になって、Aさんから


「お前が憎くていってきたんじゃない。お前を育てようと思ったからこそ怒鳴りもしたんだ」

という言葉を思い出していたら、この言葉が、なんども私の中でこだまし、子供時代から、今に至るまで、沢山の人からいっぱい怒られてきたことが蘇ってきた。


 「そんなの絶対ウソだ!」と思っていたけれど、そうじゃなかったんだ!

 自分のことを否定され、やりたいことを妨害されていると勘違いしてきたけれど、そうじゃなかったんだ!

 その全ては愛だったんだ。

 俺は、沢山の人に、本当に愛されてきていたんだ!



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と、心の底から受け入れることができたら、涙が溢れてとまらなくなった。

 Aさんは、普段口うるさく怒鳴ってばかりいるので、周りからは敬遠された存在で、誰もAさんと腹を割って話した人はいないようだった。


 私は、以前から、現場から帰る車の中で、Aさんに意味が分からないまま怒られていても、とにかく最後まで聞くようにしてきた。そうすると、周りの人以上に深くいろいろなことを考えているからこそ怒っているのだということが、理解できるようになってきた。





長年一緒にやっている人でもAさんの話をそこまで聞く人はいないので、誤解したままだと思う。



 自分にとって、ずっとテーマだった、

「自分の考えを脇に置いて、素直に人の話を聴き、実行する」





ということが、この1年間、職人の世界に飛び込むことで、トレーニングされた。

 そして、あれだけ最初に怒鳴られたAさんと、最後には、誰よりも深く話せる関係を作ることができた。これだけでも、この1年間、ここで働いた意味があったと思った。


さあ、1年間お世話になった部屋を片付けて引越しだ!



《つづく》
《人生を変える旅路⑧ プレイバックシアター》
http://ameblo.jp/mindupdate/entry-11151674562.html