今年の春から、ご縁があり地元で、児童養護施設の
子ども・若者支援のNPO団体でボランティアをしています。
※児童養護施設とは
児童虐待や貧困などの理由で親の養育が難しいと判断された2歳~18歳までの
子どもたちが生活をしている、家に代わる場所。
全国には30,000人以上の子どもたちが約570の児童養護施設にて生活をしている。
ボランティアをする中で、おすすめ本として紹介されたのがこちらの本⬇
働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む
/英治出版¥1,575
同じ子ども・若者向け支援をするNPO団体として、
運営が非常にしっかりしていると評判の団体の代表の方の著作です。
働くこと、社会へ貢献することについて、リアルに考え、
整理ができる素敵な本でした。
※著者 Living in Peace代表 慎 泰俊さんプロフィール
1981年東京生まれ。朝鮮大学校政治経済学部法律学科卒,
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
モルガン・スタンレー・キャピタルを経て,現在はPEファンドの
投資プロフェッショナルとして様々な事業の分析・投資実行・投資先の経営に関与。
仕事の傍ら,2007年にNPOであるLiving in Peaceを設立し,
カンボジアやベトナムなどで貧困層の金融へのアクセスを拡大するために
日本初の「マイクロファイナンスファンド」を企画。
国内では,児童養護施設向けの寄付プログラム「チャンスメーカー」の実施
および子ども向けのキャリアセッションを行う。
社会貢献のあり方について私が思うこと
この本から学んだことを書く前に、社会貢献について私が思っていることを
まず書いてみたいと思います。
3.11以降、「社会貢献」という言葉や「ボランティア」が注目を浴び、
本屋に行くと「社会起業家」や「社会を動かす女子」といった
言葉が増えたと感じます。
企業のCSRとして、また社員教育の一環として、
ボランティア制度を整えたり、社員を被災地などに派遣する企業も
増えたのではないでしょうか。
周囲を見渡しても、
「誰にも受け入れられなくても、俺は俺のやりたいことをやる!」というより、
「自分の力を活かして周りの人のために役立ちたい、貢献したい」という
ソフトな情熱を持っている人が多いように感じます。
社会の不条理や不公平に触れたとき
自分にも何かできることをしたいと思うのは自然なことです。
じゃあ一体何ができるの?と考えた時、
例えば3.11の直後に私が考えたこと、実際にできたことは、
募金をすることニュースを見ること、blogなどで現地の様子を知ることくらいでした。
直接現地でボランティアに行くとか、募金を自ら呼びかけるとか
選択肢は色々ありましたし、色々な人が思い思いの活動をしていました。
私は、同じ国に住む人間として、直接何かしなければ、と思いつつ、
電気も水道も食料もない中で、サバイバル力のない自分が行けば、
助けるどころか助けなければならない迷惑な存在になる、と考えると
とても直接現地に入る勇気はありませんでした。
だから、現地に続々と入るボランティアの人や、具体的な支援活動をする人を、
尊敬と後ろめたさと嫉妬が入り混じった目で見ていました。
そんな時、印象的だったのは尊敬する方からの次のようなお話です。
「震災によるダメージは、経済的なダメージもかなり大きい。
企業活動により経済を回し続け、納税をし、雇用を生み出すことも
非常に大切な支援だ。目の前の仕事を頑張ろう」
この話を聞いて、ざわざわとしていた心がふっと落ち着きました。
人には社会の中での役割がある。
がれきの中から人を助け出すのは、レスキューの方が適任。
負傷者の治療は、医者、看護師の方が適任。
食料等の物資の配達は、運送会社の方や地元を知る人が適任。
私が一番貢献できることは、
経済活動の末端を担う人として、目の前の仕事に取り組み、
経済活動を止めないこと、顧客企業の役に立つこと。
そう思って一層仕事に打ち込んだことを覚えています。
社会貢献は、自分が一番貢献できる分野で行うのが一番。
この考えは今も変わっていませんし、
これからも変わることはないと思います。
本業の傍らパートタイムで社会貢献
では、「社会貢献は、自分が一番貢献できる分野で行う」といった際に、
具体的にどうやるのか?
この点について、新たな発見をさせてくれたのが前述の本です。
それが「本業の傍らパートタイムでやる」ということ。
Living in PeaceというNPO団体は、
全員パートタイムのボランティアで運営しています。
もちろん代表の慎さんも、平日はばりばり本業の投資ファンドで働いています。
求められる能力も高く、かなりハードな仕事です。
メンバーの方も金融系を本業にしている方が多いとのこと。
投資ファンドという、一見、「児童養護施設」とは関係がなさそうな業界で
働く人々が、どう貢献しているのか?
ぜひ、詳細は本を読んで下さいませ、、というのが本音ですが^^;
一言で言えば、
「資金調達に苦しむ児童養護施設にお金を集めてくる」
ことで貢献されています。
具体的なやり方のポイントも多くありますが、
どんな分野の社会貢献にも共通して言えることは、
「本業で培ったスキルこそが、異分野での支援に役立つ」ということ。
そして、
「パートタイムでやる人だけでも組織をつくれる」ということ。
児童養護施設の子どもたちへの直接的な支援は、
専門性を持ち働く児童養護施設の職員の方以上のことはできません。
むしろ、素人がよけいなことをすることで、逆効果になりかねません。
ただ、児童養護施設の職員の方は「お金を集めてくること」についての
専門家ではありません。日々の仕事に追われながら、隙間の時間で
施設の運営やよりよい子どもへの支援に向けて必要な資金を集めています。
だから、時間がかかったり、十分に集められないのが実態です。
しかし、そこは、金融業界の専門家集団の得意分野。
できることが沢山ありました。
平日の夜と土日の活動だけでも、きちんとコミットをする人が
集まれば実現できるのです。
支援を必要としているところに「プロ」の支援が届き、
支援をする人にとっても、貢献実感と、異分野での活動から得られる
新鮮な体験が本業に活かせる、という好循環が回ります。
長くなりましたが、、
働き方、社会への貢献の仕方について考えたい人には
ぜひ読んでいただきたい本当におすすめの1冊でした!
働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む
/英治出版¥1,575