脳の病気の診断なので
最終的にはMRIや脳脊髄液を取る検査になるんですね。
で、中々それが難しい。
便宜的に仮診断することが多いんだけど
だからこそ根拠に基づいた鑑別疾患リストを作って
精密検査や治療の提案を導き出せるようにしないとなというのが本筋です。
概略はこんな流れです。
- てんかん発作が大脳に起因する特発性なのか症候性なのか。あるいは全身性の疾患に起因する反応性なのか。
- 発作以外の大脳に関連する神経症状の有無から原因をおおまかに分類。
- 問診検査結果から根拠に基づいた鑑別診断リストをつくる。
てんかんの診断にはシグナルメントの把握と問診が重要です。
シグナルメントとは品種や初発年齢(てんかんの初めて起こった年齢)です。
トイプ、レトリバーなんかは特発性てんかんに遺伝的になりやすいですし
チワワ、ヨーキー、マルチなんかは水頭症
パグなら壊死性髄膜脳炎
フレブル、ボクサーではグリオーマという腫瘍が多いなんていうのがヒントになります。
特発性てんかんの症例において
初発の発作を経験しやすい年齢は
6ヶ月から6歳と考えられています。
かつ発作以外に大脳に関連する神経症状は示しません。
7歳異常で発作以外の神経症状がない場合には
特発性てんかんと診断するケースも少なくはないですが
10歳前後を境にその可能性は低くなり
症候性てんかんの可能性が高くなります。
脳炎の発症に関しても
特発性てんかんと同様の傾向があるため
発作以外の神経症状がなくても
脳炎の好発犬種では鑑別リストにあげるべきです。
壊死性白質脳炎→チワワ、ヨーキー
肉芽腫性髄膜脳炎→チワワ、トイプ
また、てんかん発作に関連したヒストリーも重要です。
初発の発作から2回目の発作までの期間が1ヶ月〜1年と長い場合には
特発性てんかんの可能性があります。
逆に発作期間が短く
1ヶ月に複数回発作を起こす場合には症候性てんかんの可能性があります。
さらに発作以外の神経症状は重要です。
基本的には発作以外の神経症状があるなら症候性てんかんです。
旋回行動、頭を擦り付ける行為、視覚障害、片足の麻痺なんかがあれば
症候性てんかんの可能性は高いです。
ただし、脳の中でもそこに何かがあっても起きてても
なんも症状を示さないサイレントエリアなるものがあり
神経症状がないから症候性てんかんを除外することはできません。
どうすか?
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では。