ちょこっとずつ変わるのよね。犬のクッシング症候群。 | みなとまちアニマルクリニックの「裏」ブログです。

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こんにちは。こちらは「非公式」ブログです。書いている内容は、あくまでも著者の一意見であり、賛否のご判断はお任せします。読み飛ばす程度に呼んでください。僕は自戒のつもりで書いてます。

 

今日書きたいことはクッシングについてというよりは

 

チョビーっとずつ医療って変化するんだよというのを趣旨にしてます。

 

クッシング症候群といえば

 

副腎からホルモンが出過ぎちゃって

 

  • たくさん飲んでたくさんおしっこをする
  • たくさん食べる
  • はあはあする
  • お腹がぽこってなる
  • 毛が薄くなったり抜ける
とか
 
  • なんか元気ない
  • 色変わった?
  • ニキビができたり皮膚が薄くなったり
とか外見的にわかりやすい感じで起きてきます。
 
検査所見も
 
  • 内分泌性脱毛
  • 肝腫大
  • 全身性高血圧
  • インスリン耐性
  • 血栓塞栓
  • 顔面神経の痙攣
  • ミオトニー(筋肉の緊張)
  • 精巣萎縮
などなどまあ結構わかりやすいです。
 
問診、尿検査、血液検査、エコーの検査くらいで診断できちゃう
 
お馴染みの病気です。
 
案外見逃されていたりするので
 
例えば皮膚炎のセカンドオピニオンとかで
 
いや、これクッシングしょって時に検査の説明とかするのには苦慮します。
 
見逃してると思いますとは口が裂けても言えないので。
 
で何が変わってきたかって診断の方法です。
 
LDDSTという少量の低用量デキサメタゾンを注射することで行う試験が
 
第一義的に推奨されるということです。
 
細かいんですが
 
僕ら世代でもACTH刺激試験という
 
簡単にいうと脳味噌から
 
おらー副腎、ホルモン出せやーというホルモンが出るんですが
 
そのホルモンを医学的に注射してあげて
 
副腎がどんな反応するかという
 
囮捜査的な試験をするのが常だったんですね。
 
第2議的にLDDSTだったんですが
 
立場が逆転したようです。
 
そしてUCCRという尿の中のクレアチニンとコルチゾール比を測定するのもいいらしいです。
(院長はよくやってる)
 
UCCRでクッシングを診断するというよりか
 
低値を示せばクッシングじゃないことを証明できるんです。
 
LDDSTでクッシングを診断することは容易いですが
 
偽陽性つまりクッシングじゃないのにクッシングだと誤診する可能性もあるわけです。
 
尿の検査(侵襲性が高くない検査かつ廉価な検査)で誤診の可能性を少なくできるなら
 
やっていくべきですね。
 
昔ながらのACTHはあくまでも
 
副腎の予備能や産生能の検査だよということです。
 
細かいんだけど
 
こういう修正が日々行われる世界です。
 
めんどくさいんですが
 
常に追うわけでございます。
 
ACTHをいまだにやっていたら
 
全然勉強してないことバれてしまうわけですが
 
多分未だに8割はACTHでしょう。
 
なぜなら患者さんに中々そういうところはバレないので。
 
僕は小賢しく勉強してますアピールです。
 
こういうところに価値を見出してもらえるようになって欲しいなと願いを込めて。
 
では。