先に案外、診察室内で説明がされない内容でポイントとなる部分を書いちゃいます。
- 軽度もしくは早期の甲状腺機能亢進症では何回かホルモンの検査が必要です。
- 治療をはじめると慢性腎臓病が明らかになる子がいます。
- チアマゾールというお薬を使うと10%から25%の子に副作用があります。
甲状腺機能亢進症の治療のうまくいくいかないや予後は
適切な腎機能の評価と慢性腎臓病の治療に大きな影響を受けます。
診断した時に隠れていた慢性腎臓病が治療をはじめて明らかになる場合や
腎機能の状態次第では甲状腺機能亢進症の治療自体を中断せざるを得なくなります。
甲状腺機能亢進症の症状である嘔吐や高血圧に対する治療を慢性腎臓病の治療と一緒に行います。
チアマゾールの副作用として食欲不振や嘔吐、元気消失があげられます。
治療開始後4〜6週間以内に一過性に現れることが多いので治療されている飼い主さんは知っておいてください。
猫の甲状腺機能亢進症は結節性過形成や腺腫を原因とする甲状腺原発の病気で
腺癌はすごく珍しいです。
甲状腺ホルモンが出過ぎてしまうことで起きる症状は色々で
体重減少、多食、たくさん飲んでたくさん尿をする、活発になる
性格が変化する、下痢や嘔吐、皮毛がサバサバになったり脱毛したり
と言った感じです。
ポイントは嘔吐や消化器症状でも甲状腺機能亢進は疑うべきだということです。
肝臓の酵素が上がるので
僕自身は症状とそのあたりで引っ掛けて甲状腺ホルモンも余った血で測定しますか?的なインフォームをします。
(まあ、とりあえず測っちゃう先生の方が多いと思いますが数千円だって無意味なら測りたくないもんでしょう)
甲状腺ホルモンの増加は心拍出量を増加させ
血管抵抗性を低下させます。
なので腎臓へ回る血液が増えて
糸球体濾過量を増加させてしまうので
その時に測定するBUNとかCreとかいう腎臓の酵素は
正確な値ではありません。
そのため上記にも書きましたが、診断時に慢性腎臓病がない風でも
治療することで隠れてたやつが出てくることが多いです。
また、甲状腺機能亢進症は肥大型心筋症と関連があることもあるので
高血圧や心雑音がある場合には
心臓の評価もしっかりすべきです。
基本的には高齢の猫さんがなる病気です。
8歳未満での発症は5%未満です。
(だから健康診断とかパッケージにして若い子も全員ホルモン測るのとかは嫌なんだよね)
10歳以上の猫さんでは10%くらいが発症するというデータもあります。
では。
明日はもっとわかりやすく書いてみます。では。