31歳獣医師の考察 〜よく使う抗がん剤 ドキソルビシン〜 | みなとまちアニマルクリニックの「裏」ブログです。

みなとまちアニマルクリニックの「裏」ブログです。

こんにちは。こちらは「非公式」ブログです。書いている内容は、あくまでも著者の一意見であり、賛否のご判断はお任せします。読み飛ばす程度に呼んでください。僕は自戒のつもりで書いてます。

よく使う抗がん剤の中にドキソルビシンというものがあります

 

抗がん剤にはいろいろな種類があるのですが

 

(後々ブログで触れたいと思います)

 

その中の抗腫瘍性抗生物質と言われる種類に入るものです

 

がんにもいろいろありますよね

 

リンパ腫や白血病、乳腺がんなど様々な適応ができます

 

作用機序ですが

 

ターゲットのDNAの規則的な羅列の中に

 

無理やり入り込みます

 

そうすることでDNAやRNAを作るためのポリメラーゼという酵素の働きを邪魔して

 

DNAを作らせなくします

 

さらに

 

異常を感知するとDNAは修復されようとしますが

 

その修復をしているトポイソメラーゼという酵素をも邪魔して

 

結果

 

DNAをぶっ壊します

 

難しいですし

 

専門家から言わせれば語弊がありそうですが

 

DNAをぶっ壊すんだなと思ってください

 

副作用は骨髄毒性(白血球や赤血球や血小板が作りにくくなる)

 

胃腸障害(食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢など)

 

脱毛

 

心臓毒性

 

猫さんでは腎臓機能障害が起こる可能性があります

 

また、血管の外に漏らすと壊死性皮膚炎がおこります

 

前にも書きましたが

 

抗がん剤による副作用は予測できますし

 

そこをいかにケアするかが重要です

 

副作用よりメリットの方がはるかに大きいです

 

どうやってケアしていくのかというと

 

まずはやる直前に必ず状態を把握する

 

身体検査、血液検査、尿検査、心臓のエコーの検査

 

そして嘔吐など予測されるものには予め先手を打って薬を使う

 

血管外に漏らすと本当に見るに堪えない皮膚炎が起こるので

 

時間をとって完璧に留置を取る

 

抗がん剤の容量は獣医師2人で必ず計算する

 

看護師にはドキソルビシンの特性を理解してもらい必要なケアを素早くできるようにする

 

点滴につないで30分ほどかけてドキソルビシンを流すので

 

必要があれば鎮静をかける

 

その後半日は病院で様子を見るなどを徹底します

 

抗がん剤については少しずつ書いていこうと思います

 

中で何やってんのかなあというのが

 

飼い主さんにも理解していただけたら幸いです