31歳軟弱獣医師の考察 〜よく使う抗がん剤〜 〜ビンクリスチン〜 | みなとまちアニマルクリニックの「裏」ブログです。

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こんにちは。こちらは「非公式」ブログです。書いている内容は、あくまでも著者の一意見であり、賛否のご判断はお任せします。読み飛ばす程度に呼んでください。僕は自戒のつもりで書いてます。

この前はドキソルビシンという抗がん剤について書きました

 

今日はビンクリスチンという抗がん剤について書いて見ます

 

この抗がん剤は「微小血管阻害薬」という種類の抗がん剤です

 

そもそもがんというのは

 

細胞分裂に失敗したエラー細胞が

 

どんどん増えてってしまうことが問題です

 

なので上の図のように細胞分裂する周期のうちの

 

どっかをターゲットにすることで分裂を抑え込めますよね

 

 

うまく説明できないのでwikipedia先生によると

 

微小管 is

 

細胞中に見いだされる直径約 25 nm の状の構造であり、主にチューブリンと呼ばれるタンパク質からなる。細胞骨格の一種。細胞分裂の際に形成される分裂装置(星状体紡錘体染色体をまとめてこう呼ぶ。星状体・紡錘体は中心体・微小管複合体そのものをその形態からこう呼んだ)の主体は、この微小管である。

 

こんなんだよと書かれてます

 

簡単にいうと

 

細胞の中の1つの臓器みたいなもんで

 

その臓器が成長するタイミングの

 

一番初めの図でいうM期をターゲットにしている薬剤だよということです

 

微小管の細胞分裂を阻害しちゃうんですね

 

適応は

 

リンパ腫、白血病などで単剤や組み合わせで使います

 

投与経路は静脈注射のみ

 

肝臓で代謝されて胆汁中や尿中に排泄されます

 

皆さんにはこういうことはあまり関係ないかもしれませんが

 

代謝産物が尿に出てくるということは

 

帰宅した後に尿の処理などは気をつけていただいた方がいいということです

 

手袋をしてペットシーツを交換するなど

 

獣医師がちゃんと指摘できているか見てあげてください

 

この薬剤は発ガン性レベル(抗がん剤がどんくらい使う人にとって危ないかなというレベル)

 

がグループ3で人に対して発ガン性があるとは分類できない薬剤ですが

 

この辺りの配慮は必要かなと思います

 

また、使用前と使用後に

 

血液検査で肝臓の値含めて見ていく必要がありますね

 

副作用は

 

骨髄抑制(白血球や赤血球、血小板を作れなくなっちゃう)や

 

胃腸障害(食欲不振や吐き気、嘔吐、下痢など)や

 

末梢神経障害(蓄積性のこともある=何回か使ってて大丈夫だったのに今回は出たこということもある)などです

 

なのでこちらもしっかり対処してあげる必要がありますね

 

抗がん剤を使う際は

 

「何」という抗がん剤を「なんの目的で」

 

とかどういうプラン(プロトコル)で行うのかということを

 

しっかり獣医師から説明を受けるべきです

 

ネットに落ちている情報は9割間違えていることが多いですが

 

しっかりした情報を調べようと思えば調べられます

 

そして、もう一つ

 

抗がん剤は副作用として骨髄抑制がかかるくらいの方が

 

よく効いているという判断ができると思います

 

チキって使って副作用が出ませんでした

 

良かったねというのは実はあまり得策でなく

 

それならやらない方がいい

 

臨床症状として出てこないレベルの副作用がおきるくらいまで

 

しっかりと容量を調整して使用するのが

 

腫瘍内科医の腕の見せ所でもありますし

 

わんちゃんにゃんさんのためになると思います

 

では