一条朝の四納言の話 | 星野洋品店(仮名)

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とある洋品店(廃業済み)を継がなかった三代目のドラマ感想ブログ

一条朝の四納言の最後のひとり、源俊賢(みなもとの としかた)が、第12回で初登場しました。「イチジョーチョーのシナゴン!」なんて言うと、なんだが戦隊ものみたいですが、実態は〈ロバート秋山 被害者の会〉ってところですね。実資さんが長生きしすぎなの……。

 

 

律令制下の統治機構は、外官(地方政府の官吏)と内官/京官(中央政府の官吏)に分かれます。内官は祭祀を司る神祇官と政治を司る太政官で構成されます。太政官の長官が大臣、次官が大納言・中納言で、その下には左右弁官局と少納言局があり、八省を統括します。

 

一条朝の四納言たちは家柄が良く、若くして花形の役職である蔵人頭を経験して大納言・権大納言まで昇進したのですが、大臣になれなかったんですね。

 

4つの大臣の席のうち、最高位の太政大臣は適任者がなければ空位。最下位の内大臣は摂関家の跡取り息子の席のように思われている。左大臣は陣定(じんのさだめ。閣議)の招集権があるので、摂関家かその近親のもの。となると、なれるのは右大臣だけなんですが、そこには実資さんが20年も居座っている。あーあ。

 

 

長生き競争で実資さんに敗れた四納言たちと道長との続柄を確認しておきましょう。順序は蔵人頭への就任順。ちなみに、道長は蔵人頭をすっとばして権中納言になってます。これぞ外戚パワー。

 

藤原公任(ふじわらの きんとう)演:町田啓太

藤原北家の嫡流 小野宮流。関白 藤原頼忠の嫡子で、円融天皇中宮 遵子の同母弟。道長の又従兄弟で同い年。権大納言 正二位。

 

源俊賢(みなもとの としかた)演:本田大輔

醍醐源氏。安和の変で失脚した源高明と兼家パパの同母妹の子。道長の従兄弟で、別妻 源明子の異母兄。道長より6歳年長。権大納言 正二位。

 

藤原斉信(ふじわらの ただのぶ)演:金田哲

藤原北家の庶流 九条流の分家。太政大臣 藤原為光の次男で花山天皇の義兄。道長の従兄弟で、1歳年少。大納言 正二位。

 

藤原行成(ふじわらの ゆきなり/こうぜい)演:渡辺大知

藤原北家の庶流 九条流の本家。摂政 藤原伊尹の孫で花山天皇の従兄弟。道長の従兄弟の子で、6歳年少。権大納言 正二位。

 

 

実資さんは『小右記』で彼ら4人を含む公卿たちを、

「道長のしもべみたいに頑張っちゃってますね~」

と皮肉ってます。でもさ、いくら家柄が良くても、天皇の外戚にならなきゃ没落するのが摂関期という時代だってこと、藤原北家の嫡流 小野宮流本家の実資さんも身をもって知ってるじゃないですか。なんとか摂関に取り入ろうとするのは当然だよ。あんまりキツイことを書かないであげて。