きのうの夕方、いろんな用事で帰宅が遅くなり、暗がりの中、自分ちの玄関に近づくと、人がたたずんでいてビックリした。
そのかたは、女性で、義母の昔からのお友達のKさん。
毎週、日曜日の朝、ヨガの教室へ一緒にいこうと、義母を誘いにきてくれる人。
この人のこと、わが家では「マダム」とよんでいる。(有閑マダムの略)
義母と親しくしてくださって、うれしいんだけど、裕福な人で、何もかもわが家とは正反対。
女優さんみたいに美しくて、ヨガ教室にいくときの普段着でさえきれい。
ダンナさんはお医者さんで大きい病院を経営されていてお金持ち。
そのマダムが、平日のおそい時間に、ビンボーなわが家の玄関前に、突っ立っているのは似合わない光景だった。でも用があるからきたんだろうなーと思い、「どうぞ」と貧しい部屋に招き入れた。
義母の友達だから、義母が応対するだろうと、あんまりかかわらないようにした。
「ダンナとケンカでもしたんじゃないか」というような、わるい空気を感じたし…。
でも、義母はあけっぴろげな性格なものだから、マダムとの話の途中でも、私たち家族に「ちょっと、Kさんたら○○なんだってー」と話しかけてくるので、いつのまにか義父と私まで、マダムの話をきく状況になっていた。
マダムがケンカした相手は、ダンナさんではなく、銀行員だった。
毎月、取引銀行から担当者がマダムを訪ねてくるそうだ。(お金持ちの人はちがうわね)
で、マダムは、少し前から「自覚がまったくないままに」担当銀行員のすすめで、証券取引をしていたみたい。
なんで、自覚がなかったかというと、長いつきあいの担当者を無防備に信頼していて、定期預金継続の時に書類にハンコを押すような感覚で、証券取引の書類にも、OKを出してハンコをついていたそうだ。
(つまり、書類上は、自分の意思で契約している)
そして、損失を出したことで、ようやく自分が証券取引をしていた事実に気づいた。
「わたしは、全然認識がないまま、契約させられていた」と銀行に文句を言いにいったが、担当者は貝のように口を閉ざし、ついに一言も発しなかったそうだ。
マダムが悔しさをかかえて、わが家にやってきたのは、うちの義父(ダンナの父)が長いあいだ、証券会社に勤めていた経験がある人だったからみたいだ。
義父は、「説明を十分にしないまま契約をさせていた銀行員を罪深いと思うけど、その落ち度を法的に問うのはむずかしいかな…」と言っていた。
マダムはわが家に来る前に、弁護士のところに相談にいっており、そこでも義父が言ったようなことを言われたらしく、「そうだよねー、くやしさをきいてほしかったの」と言って、深夜1時くらいまで、うちにいた。
この方の事、「世間知らず」とか「自己責任」とかいう言葉で片付けるには、胸がいたむ。(義母がお世話になっている人なので)
しかし、昔から、ある話だよね。
資産がある人に対し、銀行の担当者が「お客さまの資産を有利に運営しましょう」と言って、金融商品をすすめる話。
その際、リスクは軽めに、メリットは強調して…というかほとんどメリットしかないかのような印象をあたえつつ、契約させていく。
バブル経済が崩壊して20年以上になるのかな。若い人は崩壊後の世界しか体験していない。だから崩壊直前の時代に売り出された悪夢のような商品が、社会問題になったことを知らないだろうね。
被害を受けた人々は、やはり人並み以上に資産をもつ人たちだった。。。という事でビンボーなわが家には、直接は縁がなかった話。
でも、マダム来訪をきっかけに元証券マンの義父が、当時のことをイロイロ語り始めたので、次回つづきをかきたいと思います。